林佳世子『興亡の世界史10 オスマン帝国500年の平和』
講談社の『興亡の世界史』シリーズ15冊目となります(2008年10月刊行)。オスマン帝国を「トルコ人の国」ではなく、多面的に描こうとする本書の基調は、オスマン帝国の領域に現在住む人々の多くにとっては、あるいは説得的ではないかもしれませんが、ポストモダン社会に突入した日本においては、わりと受け入れられやすいだろうと思います。それはまた、米国や西欧でも同様だろうとも思うのですが、トルコ人移民の多い西欧においては、あるいはそうではないのかもしれません。
本書は、オスマン帝国の前史としての11~13世紀のアナトリア史から始まり、オスマン帝国が「近代国家」の一つに変容するまでが描かれていますが、諸事象とその因果関係が過不足なく論じられているように思われます。一般向けのオスマン帝国史としては、本書はかなりよい出来ではないだろうか、というのが私の率直な感想で、今後、何度か読み直してみたいものです。
本書は、オスマン帝国の前史としての11~13世紀のアナトリア史から始まり、オスマン帝国が「近代国家」の一つに変容するまでが描かれていますが、諸事象とその因果関係が過不足なく論じられているように思われます。一般向けのオスマン帝国史としては、本書はかなりよい出来ではないだろうか、というのが私の率直な感想で、今後、何度か読み直してみたいものです。
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