ジャワのエレクトスの頭蓋の進化
ジャワのホモ=エレクトスの頭蓋の進化を検証した研究(Kaifu et al., 2008)が公表されました。この研究では、ジャワのサン=ギラン、トリニール、サンブンマチャン、ンガンドンから出土した18の成人頭蓋が分析されました。最近の研究は、ジャワのエレクトスが原始的特徴を維持してきたことを強調する傾向にあるのですが、この研究ではジャワのエレクトスの特殊化が指摘されています。
この研究では、ジャワのエレクトスの頭蓋の特徴の進化なかには、脳の拡大といったホモ属全般に共通する傾向も認められるものの、ジャワのエレクトスに限定して見られるものもあり、それは継続的・漸進的なものだ、と指摘されています。これは、現生人類のアフリカ単一起源説と整合的だと言えますが、この研究では、ジャワのエレクトス系統は、現代人の祖先に(遺伝的に)重要な影響を与えることなく絶滅した、という慎重な表現にとどめられています。
これはもっともなことで、現代人のDNA・形質に、ジャワのエレクトスが大きな影響を与えている可能性は皆無に近いでしょうが、アフリカ起源のホモ=サピエンス(現生人類)とジャワのエレクトスとの限定的な交雑の可能性は、あるていど認められるのではないか、と思います。これは、程度の差はあってもジャワ以外の在地のホモ属集団についてもあてはまり、たとえば、ネアンデルタール人も現生人類と交雑した可能性があり、その頻度はジャワのエレクトスの場合よりもかなり高いのではないか、と私は考えています。
参考文献:
Kaifu Y. et al.(2008): Cranial morphology of Javanese Homo erectus: New evidence for continuous evolution, specialization, and terminal extinction. Journal of Human Evolution, 55, 4, 551-580.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jhevol.2008.05.002
この研究では、ジャワのエレクトスの頭蓋の特徴の進化なかには、脳の拡大といったホモ属全般に共通する傾向も認められるものの、ジャワのエレクトスに限定して見られるものもあり、それは継続的・漸進的なものだ、と指摘されています。これは、現生人類のアフリカ単一起源説と整合的だと言えますが、この研究では、ジャワのエレクトス系統は、現代人の祖先に(遺伝的に)重要な影響を与えることなく絶滅した、という慎重な表現にとどめられています。
これはもっともなことで、現代人のDNA・形質に、ジャワのエレクトスが大きな影響を与えている可能性は皆無に近いでしょうが、アフリカ起源のホモ=サピエンス(現生人類)とジャワのエレクトスとの限定的な交雑の可能性は、あるていど認められるのではないか、と思います。これは、程度の差はあってもジャワ以外の在地のホモ属集団についてもあてはまり、たとえば、ネアンデルタール人も現生人類と交雑した可能性があり、その頻度はジャワのエレクトスの場合よりもかなり高いのではないか、と私は考えています。
参考文献:
Kaifu Y. et al.(2008): Cranial morphology of Javanese Homo erectus: New evidence for continuous evolution, specialization, and terminal extinction. Journal of Human Evolution, 55, 4, 551-580.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jhevol.2008.05.002
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