伊井春樹「‘旅’の変容」
「日本史のことば」を特集した『日本歴史』第704号(2007年1月号)の中の一論考です。古代において、旅とは生死に関わる厳しいもので、修行の様相さえ呈したものであり、不安な思いや望郷の念をかきたてられたのでした。
『万葉集』においても、旅は不安なものとして描かれ、平安時代の『伊勢物語』などでもそれは変わりませんが、一方で、平安時代中期以降ともなると、日常生活の場所以外での宿泊が旅とされるような、新たな概念が付与されるようにもなり、かつての悲惨さが見えなくなってくるとともに、文学的な用語として高度な発達をとげていくようになります。
中世以降になると、以前のように旅は遠隔地への旅行を意味するようになりますが、交通路や宿泊施設の整備や治安の向上などにより、娯楽としての性格を有するようになり、現在にいたっています。
『万葉集』においても、旅は不安なものとして描かれ、平安時代の『伊勢物語』などでもそれは変わりませんが、一方で、平安時代中期以降ともなると、日常生活の場所以外での宿泊が旅とされるような、新たな概念が付与されるようにもなり、かつての悲惨さが見えなくなってくるとともに、文学的な用語として高度な発達をとげていくようになります。
中世以降になると、以前のように旅は遠隔地への旅行を意味するようになりますが、交通路や宿泊施設の整備や治安の向上などにより、娯楽としての性格を有するようになり、現在にいたっています。
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