世界の哺乳類の危機

 現在、世界で多数の哺乳類(哺乳綱)が絶滅の危機に瀕している、との研究(Schipper et al., 2008)が報道されました。130カ国、1800人以上の研究者が参加し、世界にいるとされる5487種の哺乳類のうち、調査データ不足の836種を除く4651種を分析した最近の大規模調査によると、世界では陸生哺乳類4種のうち1種、海洋哺乳類3種のうち1種がその生存を脅かされている、とのことです。陸上で主な脅威となるのは生息地の消失と狩猟・採取で、海洋では汚染と漁業です。

 絶滅の危機にある哺乳類は1141種に上り、これらのうち188種が絶滅寸前だとされています。また、スペインとポルトガルの高地で百数十頭しか確認されていないイベリアオオヤマネコや、長江などに生息するヨウスコウカワイルカといった29種は手遅れの状態という。総合的に見ると、海洋哺乳類と南・東南アジアの陸上哺乳類の将来が特に暗そうで、これらの地域では霊長類の79%が絶滅の危機に瀕している、とのことです。


参考文献:
Schipper J. et al.(2008): The Status of the World's Land and Marine Mammals: Diversity, Threat, and Knowledge. Science, 322, 5899, 225-230.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1165115

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