アメリカ大陸最古の人骨?

 メキシコのユカタン半島のカリブ海沿いの水中洞窟で発見された女性人骨は、アメリカ大陸最古のものかもしれない、と報道されました。この女性人骨の他に、3体分の人骨や象・巨大ナマケモノなどの動物骨も発見されました。女性人骨の年代は13600年前と測定されましたが、暦年代なのかどうか報道だけでは不明です。もっとも、この年代が正確だとすれば(海水中の鉱物による不確定要素も考慮しなければならない、とのことです)、暦年代に補正されていてもいなくても、アメリカ大陸最古の人骨ということになります。

 アメリカ大陸への最古の人類の移住者については、クローヴィス文化集団だとする見解が長い間定説(クローヴィス最古説)とされてきましたが、近年になってこのクローヴィス最古説を覆すような研究が相次いで発表されており、
https://sicambre.seesaa.net/article/200804article_6.html
https://sicambre.seesaa.net/article/200805article_10.html
この女性人骨も、クローヴィス最古説を否定する有力な証拠だと言えそうです。

 この女性人骨も含む4体分の人骨は、クローヴィス最古説のみならず、アメリカ大陸先住民の起源がどこにあるのか、という問題にも関わってきそうです。アメリカ大陸への人類の移住については、北アジアからベーリング陸橋を経由したとの見解が有力ですが、この4体分の人骨は北アジア系集団よりも南アジア系集団のほうに似ている、とのことです。初期のアメリカ大陸住民は、現在よりもずっと多様な集団であり、その後に多様性が失われた、と考えるのがよいでしょうか。

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