テロとの戦い
米国がテロとの戦いという概念を大々的に提示し、その方針に沿った外交・軍事行動を展開したことにより、もっとも大きな利益を得た国はおそらくイランで、次に中国とロシア、それから北朝鮮でしょう。中東では大国で敵国だったイラクが無力化したわけですから、イスラエルが得たものも大きかったと言えるかもしれません。しかし、米国のイラク政策が上手くいっていない今になってみると、米国と一体とみなされているイスラエルの周辺地域における評判の悪化により、イスラエルにとって総合的には利益よりも不利益のほうが多かった、と言えるかもしれません。
イランにとっては、強力な敵国だったイラクが弱体化したのみならず、イラクにおける自国の影響力を強めることもできたわけですから、これまでのところは得たものがたいへん多かったと言えます。中国は新彊ウイグル自治区の分離・独立派を、ロシアはチェチェンを武力弾圧する大義名分を、米国とその同調国から得ることができたわけですから、やはり多くのものを得たと言えます。ただ、イランはこのテロとの戦いにおいて自らも標的にされる危険性を抱えているのにたいして、中国とロシアにはそのような危険性がほとんどないことは、大きな違いとして認識しなければならないでしょう。
このテロとの戦いが大々的に宣伝されたこともあって、非イスラーム圏ではイスラームにたいする印象がさらに悪化した感もあり、イスラーム系の独立・抗議運動には欧米では同情がいっそう集まりにくくなったように思われます。中国の民族問題としては、チベットよりもむしろ新彊ウイグル自治区のほうが深刻であるように思われるのですが、新彊ウイグル自治区がチベットよりも注目されていないのは、欧米がチベットにたいしては一種のオリエンタリズムとでも言うべき幻想を抱いているのにたいして、ウイグル族にたいしては、イスラーム系主体の分離・独立運動ということもあって、そうした幻想を抱いていないからなのでしょう。
イランにとっては、強力な敵国だったイラクが弱体化したのみならず、イラクにおける自国の影響力を強めることもできたわけですから、これまでのところは得たものがたいへん多かったと言えます。中国は新彊ウイグル自治区の分離・独立派を、ロシアはチェチェンを武力弾圧する大義名分を、米国とその同調国から得ることができたわけですから、やはり多くのものを得たと言えます。ただ、イランはこのテロとの戦いにおいて自らも標的にされる危険性を抱えているのにたいして、中国とロシアにはそのような危険性がほとんどないことは、大きな違いとして認識しなければならないでしょう。
このテロとの戦いが大々的に宣伝されたこともあって、非イスラーム圏ではイスラームにたいする印象がさらに悪化した感もあり、イスラーム系の独立・抗議運動には欧米では同情がいっそう集まりにくくなったように思われます。中国の民族問題としては、チベットよりもむしろ新彊ウイグル自治区のほうが深刻であるように思われるのですが、新彊ウイグル自治区がチベットよりも注目されていないのは、欧米がチベットにたいしては一種のオリエンタリズムとでも言うべき幻想を抱いているのにたいして、ウイグル族にたいしては、イスラーム系主体の分離・独立運動ということもあって、そうした幻想を抱いていないからなのでしょう。
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