水本邦彦『日本の歴史第10巻 徳川の国家デザイン』(2008年9月刊行)
小学館『日本の歴史』10冊目の刊行となります。江戸時代前期の日本社会の在り様とその成立過程を、具体的事例を引用しつつ叙述した一冊です。その分、一般の歴史愛好者がとくに好むであろう、人物本位的な政治史的記述が少なめだ、との印象を受けました。
本書でとくに興味深い指摘は、近世における身分移動の問題についてのものです。近世における身分固定というじゅうらいの観念は、史資料の多くが「家」を単位に受け継がれており、嫡子中心の身分論とも言うべき「嫡子史観」に陥っていたためであり、庶子・女子による身分の移動・循環も重視しなければ、近世身分論は偏ったものになる、との指摘には考えさせられるところが多々ありました。
本書でとくに興味深い指摘は、近世における身分移動の問題についてのものです。近世における身分固定というじゅうらいの観念は、史資料の多くが「家」を単位に受け継がれており、嫡子中心の身分論とも言うべき「嫡子史観」に陥っていたためであり、庶子・女子による身分の移動・循環も重視しなければ、近世身分論は偏ったものになる、との指摘には考えさせられるところが多々ありました。
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