酪農の起源

 酪農の起源を論じた研究(Evershed RP et al.,2008)が公表されました。家畜を殺すことにより、その肉・内臓・毛皮などを人間は得ることができますが、乳・牽引力などは、家畜を殺さなくても人間が利用できます。このような家畜の「二次的」利用が、家畜の利用から間もなくのことだったのか、それとも家畜の利用から数千年後のことだったのか、議論が続いています。

 牛・羊・山羊は紀元前8000年紀には飼育されていましたが、それらの乳の利用を明確に示す最古の証拠は、紀元前5000年紀後半まで下らなければなりませんでした。しかしこの研究では、近東からバルカン半島にかけての遺跡から出土した2200点を超える陶器の有機物残渣の分析により、乳の利用が紀元前7000年紀までさかのぼることが判明しました。乳の利用がとくに重要だったのは現在のトルコ北西部で、この地域の環境条件はとくに牛に適していた、と考えられます。


参考文献:
Evershed RP. et al.(2008): Earliest date for milk use in the Near East and southeastern Europe linked to cattle herding. Nature, 455, 528-531.
http://dx.doi.org/10.1038/nature07180

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