ネアンデルタール人による海産資源の利用

 ネアンデルタール人による海産資源の利用を論じた研究(Stringer et al.,2008)が公表されました。この研究では、ジブラルタルにあるヴァンガードとゴルハムの両洞窟遺跡における発見から、ネアンデルタール人による海産資源の利用が論じられています。ヴァンガード洞窟での発掘からは、ネアンデルタール人が軟体動物・アザラシ・イルカ・魚を食していたと考えられ、ゴルハム洞窟の中部および上部旧石器文化層でも、海産獣類が確認されました。

 ネアンデルタール人による海産資源の利用の指摘は、今では珍しいものではありませんが、この研究で注目されるのは、ネアンデルタール人による海産資源の利用が、特定の時期に集中しているのではないか、と示唆されていることです。これは、同一というわけではないにしても、ネアンデルタール人にも現生人類と似たような「計画性」があったことを示しているのかもしれません。


参考文献:
Stringer CB. et al.(2008): Neanderthal exploitation of marine mammals in Gibraltar. PNAS, 105, 38, 14319-14324.
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.0805474105

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