ロナルド=トビ『日本の歴史第9巻 「鎖国」という外交』(2008年8月刊行)

 小学館『日本の歴史』9冊目の刊行となります。「新視点・近世史、従来の“鎖国”史観を覆す新たな視点」とのことで、1970年代の小学館版『日本の歴史』の「日本史の社会集団」や、2000年代の講談社版『日本の歴史』の「**史の論点」の巻と似た役割を担うことになるのでしょう。

 日本で今でも根強い?「鎖国」概念を覆そうとする意欲作ですが、本書を読むような読者のほとんどにとっては、「鎖国」概念の見直しはすでに常識と言ってよいでしょうから、目新しさはあまりないでしょう。紹介されている個々の事例は興味深いのですが、冒頭で著者自身の断りが述べられているとはいえ、その後の日本に重要な影響を及ぼしたとはとても言いがたい朝鮮との関係に多くの分量が割り当てられている点には、やはり疑問の残るところです。

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