写楽の肉筆画がギリシャの美術館で発見される

 東洲斎写楽の肉筆扇面画が、ギリシャのコルフ島のアジア美術館に所蔵されていたことが判明した、と報道されました。歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」を題材にした役者絵で、浮世絵版画の世界から姿を消した直後の筆と見られる、とのことです。写楽の浮世絵版画はデフォルメが特徴とされていますが、この肉筆画では抑制された筆致を見せている、とのことです。

 写楽が誰なのかということをめぐって、戦後になってさまざまな説が提示され、その候補者のなかには、葛飾北斎・喜多川歌麿・十返舎一九のような著名人も含まれています。しかし近年では、原点に回帰して『浮世絵類考』の記述が見直され、阿波の能役者である斎藤十郎兵衛が写楽だったのではないか、との見解が有力になっているようです。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック

  • 中野三敏『写楽 江戸人としての実像』

    Excerpt: これは6月11日分の記事として掲載しておきます。中公文庫の一冊として、中央公論新社より2016年9月に刊行されました。本書の親本は、同じ題名で中公新書の一冊として中央公論新社から2007年2月に刊行さ.. Weblog: 雑記帳 racked: 2017-06-10 09:42