鮮新世における地球寒冷化

 鮮新世における地球寒冷化の仕組みについて論じた研究(Lunt et al.,2008)が公表されました。鮮新世の300万年前頃に大規模な氷河作用が始まるまで、北半球の大部分では、3000万年以上にわたって氷に覆われていたところがほとんどなかった、と考えられています。当時のグリーンランド氷床の成長を説明するため、いくつかの仮説が提案されています。

 この研究では、大気と海洋を完全に結合した大循環モデルと氷床モデルとを用いた新たなシミュレーションにより、大気中の二酸化炭素の減少が、鮮新世におけるグリーンランド氷床の成長の支配的な原動力であったことが示されました。これ以外の仮説、つまりパナマ海峡の閉鎖・エルニーニョの終息・地殻の隆起などは、このモデルで広範囲にわたる氷河作用を引き起こすのに十分ではない、とされます。ホモ属やパラントロプス属が登場するのは300万年前以降のことであり、こうした気候変動が人類進化において果たした役割は大きいだろう、と思われます。


参考文献:
Lunt DJ. et al.(2008): Late Pliocene Greenland glaciation controlled by a decline in atmospheric CO2 levels. Nature, 454, 1102-1105.
http://dx.doi.org/10.1038/nature07223

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