モロッコで50万年以上前の人骨発見

 2008年5月19日に、モロッコのカサブランカの採石場で、フランス・モロッコの共同チームにより、人類の完全な下顎骨が発見された、と報道されました。これは、モロッコにおける科学的発掘で発見されたものとしては、確認できるかぎりでは最古の人骨となります。報道では、この人骨はホモ=エレクトスのものとされています。

 この人骨は、以前に50万年前頃の人類の歯(エレクトスのものとされています)が発掘された層の下で発見されました。また、動物(ヒヒ・ガゼル・ウマ・サイ・ゾウ・小型哺乳類)の骨やアシューリアンの石器が共伴していました。この採石場では、1969年にもエレクトスの顎の骨が発見されていたのですが、考古学的管理下での発掘ではなく、偶然の発見でしたので、その意味でも今回の発見は貴重なものとなります。

 これらのモロッコの人骨は、アルジェリアのティゲニフ遺跡で発見された70万年前頃の下顎骨とは異なっています。ティゲニフ遺跡で発見された人骨は、ホモ=エレクトスとも分類されますが、ホモ=モーリタニクスとも分類されます。これらのことから、エレクトスをひじょうに多様性のある種と考えるのか、それとも更新世中期に複数の人類種がアフリカ北部に存在したと認識するのか、現時点では断定は難しく、さらなる当該時期の人骨の発見と分析が求められている、と言えるでしょう。

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