発声能力の起源

 人間も含む脊椎動物の発声能力の起源が4億年以上前になることを指摘し、脊椎動物の起源までさかのぼる可能性を示唆した研究(Bass et al., 2008)が報道されました。この研究では、鳥や人間などと同じく発声能力のあるイサリビガマアンコウが調べられました。その結果、イサリビガマアンコウの発声を促進する脳機関はきわめて原始的なもので、約4億年以上も前に硬骨魚の進化と共に進化したものであることが分かりました。

 イサリビガマアンコウの脳機関で、発声に関係しているのは後脳から脊髄にかけてで、発声器官を動かす神経細胞や、鳴き声の間隔などを調整する隣接する神経細胞の働き方が、使う器官は違うのに、同じく発声能力のある鳥や人間など他の脊椎動物とよく似ていました。

 そのため、人間などにおける発声を促進する脳回路は、その起源が脊椎動物の進化にまでさかのぼることが示唆されています。このことから、特定の筋肉や発声器官(鳥類の鳴管や人間の喉頭)などといった発声システムにおけるその他の部分は、各種ごとに独自の進化を遂げていったと考えられます。


参考文献:
Bass AH. et al.(2008): Evolutionary Origins for Social Vocalization in a Vertebrate Hindbrain–Spinal Compartment. Science, 321, 5887, 417-421.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1157632

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