更新世の人類の聴覚能力と言語能力の起源
今年パリで開催された聴覚会議における、更新世の人類の聴覚・言語能力についての報告(McDougall et al.,2008)が報道されました。この研究で分析対象とされた人骨は、大量の人骨が発見されたことで有名な、スペインのアタプエルカにあるシマ=デ=ロス=ウエソス洞窟で発見されたもので、その年代は少なくとも53万年前頃にまでさかのぼる、とされています。この人骨群の種区分は確定していませんが、ハイデルベルゲンシスまたは後期エレクトスとするのが妥当でしょうか。
この研究では、シマ=デ=ロス=ウエソス洞窟の5人分の頭骨の、外耳と内耳の構造が調べられました。その結果、シマ=デ=ロス=ウエソス洞窟の5人の外耳と内耳の構造は現代人と同じであり、他の霊長目とは異なっていることが判明しました。したがって、50万年以上前のシマ=デ=ロス=ウエソス人は、現代人と同じ聴覚能力を有していたのではないか、とこの研究では推測されています。
さらにこの研究では、会話能力はじゅうらい考えられていたよりも古く、現生人類とネアンデルタール人の最終共通祖先の時点にまでさかのぼるのではないか、と示唆されています。たいへん興味深い研究ですが、聴覚能力と会話能力には密接な関係があるとはいえ、現代人と同じ聴覚能力が、ただちに現代人と同じ会話能力を証明するものではなく、さらなる研究の進展が期待されます。
参考文献:
Mendizábal IM. et al.(2008): Pleistocene Hearing. Acoustics '08 Paris.
http://www.acoustics.org/press/155th/mendizabal.htm
この研究では、シマ=デ=ロス=ウエソス洞窟の5人分の頭骨の、外耳と内耳の構造が調べられました。その結果、シマ=デ=ロス=ウエソス洞窟の5人の外耳と内耳の構造は現代人と同じであり、他の霊長目とは異なっていることが判明しました。したがって、50万年以上前のシマ=デ=ロス=ウエソス人は、現代人と同じ聴覚能力を有していたのではないか、とこの研究では推測されています。
さらにこの研究では、会話能力はじゅうらい考えられていたよりも古く、現生人類とネアンデルタール人の最終共通祖先の時点にまでさかのぼるのではないか、と示唆されています。たいへん興味深い研究ですが、聴覚能力と会話能力には密接な関係があるとはいえ、現代人と同じ聴覚能力が、ただちに現代人と同じ会話能力を証明するものではなく、さらなる研究の進展が期待されます。
参考文献:
Mendizábal IM. et al.(2008): Pleistocene Hearing. Acoustics '08 Paris.
http://www.acoustics.org/press/155th/mendizabal.htm
この記事へのコメント