ネアンデルタール人による高水準な技術の石器?

 英国ウェスト=サセックス州のビーディングス遺跡で発見された石器は、ネアンデルタール人の所産と考えられ、技術的にはかなり高水準だ、とBBCLiveScienceで報道されました。この遺跡では1900年に発掘が行なわれ、2300の石器が発見されました。しかし、それらは長い間偽物だと考えられたため、数百個以外は井戸に捨てられてしまいました。ところが最近になって、この石器群の重要性が認識されるようになり、新たな発掘も行なわれた、とのことです。

 新たな発掘を行なったのはマシュー=ポープ博士のチームで、新たな発掘・検証により、以前に発見された石器も本物であることが裏付けられた、とポープ博士は主張しています。ビーディングス遺跡の石器群には石刃や槍の柄が含まれ、42000~35000年前頃の欧州北部の石器と類似しており、現生人類の石器に匹敵するほど洗練されたものだ、とのことです。またポープ博士のチームは、より深い層で、ネアンデルタール人の所産とされる典型的な石器を発見しました。

 こうしたことから、ネアンデルタール人は高度な技術で自然を支配したという印象を受け、絶滅の危機にあった人々とは思われない、とポープ博士は考えています。ビーディングス遺跡で発見された石器群は、ネアンデルタール人の技術水準・我々現生人類との比較という、重要な問題を解く手がかりになるかもしれません。


 以上、報道をざっと見てきましたが、ビーディングス遺跡の石器群がもし本当にネアンデルタール人の所産だとしたら、次に問題となるのは、ネアンデルタール人がどのようにこうした技術を開発したのか、ということです。ネアンデルタール人と現生人類との接触も想定されます。ただ、報道を読んだかぎりでは、ビーディングス遺跡の石器群がネアンデルタール人の所産だという根拠がよく分かりませんでした。今後の研究の進展が期待されます。

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