フンマル遺跡のムステリアン層

 まだ日付は変わっていないのですが、6月14日分の記事を掲載しておきます。今年5月8~10日にかけて開催された、「中東およびその隣接地域の下部・中部旧石器時代」というシンポジウムにおける報告の要約です(P27)。フンマル遺跡のムステリアン層はかなり研究が進んでいますが、最深部の層がまだ確認されていないので、全貌の解明はまだです。

 動物相の記録は、典型的な乾燥草地有蹄動物(ラクダ科・ウマ科・ウシ科)によって占有されています。上層(5aと5b)では人骨(上顎切歯・橈骨)が発見されていますが、ネアンデルタール人と古代型サピエンスのどちらが狩猟をして動物骨を集めたのか、まだ確定していません。

 ムステリアン層からの出土物により、石器製作にあたって異なる原料調達戦略が用いられていたことが認識できます。技術的分析の結果、ムステリアン期のフンマル遺跡はおもに三つに分類されることが判明しました。しかし、それらの年代と地域的相互関係は、まだじゅうぶんには明かされていません。


参考文献:
Hauck T.(2008): Hunting the Camels-Mousterian Occupations of Hummal (Central Syria). The Lower and Middle Palaeolithic in the Middle East and Neighbouring Regions.

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