サハラの砂漠化は緩やかだった

 サハラの砂漠化は緩やかだった、との研究(Kröpelin et al.,2008)が報道されました。更新世末期以降の温暖化により、サハラは砂漠からから湿潤で植物の豊富な環境に変わりました。しかし、7000年前以降、サハラは再び乾燥化し、比較的短期間のうちに砂漠になったとされます。

 しかしこの研究では、花粉・胞子・水棲生物の痕跡や堆積物を用いて過去6000年の気候変動を分析した結果、サハラの砂漠化は緩やかなものだった、と推測されています。7000年前以降に乾燥化の始まったサハラでは、まず豊富な熱帯植物が次第に減っていき、4300年前頃には草原地帯へと変わりました。その後さらに乾燥化が進み、2700年前頃に現在のような砂漠になったと思われます。

 前近代と現代とでは人口も人類の活動も大きく水準が異なりますが、過去の地球環境の長期的変動が明らかになれば、気候変動も含めた現在の環境問題への理解の一助になるのではないか、と期待されます。


参考文献:
Kröpelin S. et al.(2008): Climate-Driven Ecosystem Succession in the Sahara: The Past 6000 Years. Science, 320, 5877, 765-768.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1154913

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