アメリカ大陸最古の人類の痕跡
アメリカ合衆国北西部にあるオレゴン州の洞窟で、かなりの信憑性がおけるものとしては、現時点でアメリカ大陸最古となる人類の痕跡が発見された、との研究(Gilbert et al.,2008)が報道されました。オンライン版での先行公開で、まだ要約しか読んでいませんが、印刷されたら国会図書館で全文を閲覧してプリントアウトしようと思います。
人類が初めてアメリカ大陸に移住した時期をめぐって、近年になって議論が活発になっています。アメリカ大陸最初の人類は、クローヴィス文化集団だというのが長く定説となっていましたが、クローヴィス文化以前の遺跡も報告されています。しかし、その信憑性をめぐって激論が展開されており、まだクローヴィス最古説が否定されたとは言いがたい状況です。
そうしたなか、米国オレゴン州の洞窟で、糸のような人工物や動物の骨とともに、人間のミトコンドリアDNAを含む化石化した排泄物が発見され、加速器質量分析法で直接年代が測定されたところ、クローヴィス文化よりも1000年以上前のものであることが判明しました。また化石から得られたミトコンドリアDNAは、アメリカ大陸先住民のものと一致しました。
クローヴィス最古説は、無氷回廊の出現により北米大陸への人類の進出が可能になったという前提のもとに主張されていました。では、無氷回廊の出現以前に人類がどのようにアメリカ大陸へ進出したのかというと、北米大陸の西岸沿いに航路と陸路で進出していったのではないか、と考えられています。今回の米国北西部でのクローヴィス文化以前の人類の痕跡の発見は、この仮説を支持するものになりそうです。
参考文献:
Gilbert MTP. et al.(2008): DNA from Pre-Clovis Human Coprolites in Oregon, North America. Science, 320, 5877, 786-789.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1154116
人類が初めてアメリカ大陸に移住した時期をめぐって、近年になって議論が活発になっています。アメリカ大陸最初の人類は、クローヴィス文化集団だというのが長く定説となっていましたが、クローヴィス文化以前の遺跡も報告されています。しかし、その信憑性をめぐって激論が展開されており、まだクローヴィス最古説が否定されたとは言いがたい状況です。
そうしたなか、米国オレゴン州の洞窟で、糸のような人工物や動物の骨とともに、人間のミトコンドリアDNAを含む化石化した排泄物が発見され、加速器質量分析法で直接年代が測定されたところ、クローヴィス文化よりも1000年以上前のものであることが判明しました。また化石から得られたミトコンドリアDNAは、アメリカ大陸先住民のものと一致しました。
クローヴィス最古説は、無氷回廊の出現により北米大陸への人類の進出が可能になったという前提のもとに主張されていました。では、無氷回廊の出現以前に人類がどのようにアメリカ大陸へ進出したのかというと、北米大陸の西岸沿いに航路と陸路で進出していったのではないか、と考えられています。今回の米国北西部でのクローヴィス文化以前の人類の痕跡の発見は、この仮説を支持するものになりそうです。
参考文献:
Gilbert MTP. et al.(2008): DNA from Pre-Clovis Human Coprolites in Oregon, North America. Science, 320, 5877, 786-789.
http://dx.doi.org/10.1126/science.1154116
この記事へのコメント
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080404-00000013-jij-int
アメリカ大陸移住の年代については、クローヴィス文化以前というのはほぼ確実になったと思いますが、どこまでさかのぼるかは、現時点では判断の難しいところです。