歴史と国際情勢の予想

 中華人民共和国の分裂を予想する見解というか願望は、日本では主流ではないとはいえ、さほど珍しいものではありません。そのさい、過去の中国では分裂は珍しくなかったのだ、という歴史が根拠として持ち出されることがあります。

 いっぽう田中宇氏のように、中華人民共和国の影響力は今後さらに拡大するだろう、と熱心に主張する人も日本では少なくありません。その田中氏は、歴史的に日本は中国の冊封体制にほとんど組み込まれていなかったのであり、日本が中国の覇権下に入らず、自ら孤立状態へと移行していくのは自然なことである、と予想しています。
http://tanakanews.com/071025myanmar.htm

 しかしどちらの見解も、交通・情報通信・軍事などの面での諸技術の発展や、世界各地の経済の密接な結びつきという、前近代と現代との大きな違いを無視したものであり、このように安易に歴史を持ち出しても、予想の有力な根拠にはならないと言うべきでしょう。もっとも中国の分裂については、20世紀前半もそうだったではないか、との反論はあるでしょうが、諸技術の発展や社会資本の整備の点において、20世紀半ばと現代とでは、中国は大きく変わっています。もちろん、歴史が根拠にならないということと、上記の予想が的中するかどうかは別問題ですが。

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