チンパンジーの道具使用と食資源

 なかなか管理画面につながらなかったのでもう寝ようかと思っていたのですが、運良くつながったので更新します。

 タンザニア西部のチンパンジーが、道具を使用して根茎や球根を掘って食べていることが確認された、との研究報道されました。また、土で固められた棒も見つかり、地中の根茎や球根を掘っていた痕跡が確認されました。チンパンジーは食資源の豊富な雨期にも根茎を食べており、食資源の乏しいときに補助的に根茎を食べていたのではないか、というじゅうらいの見解は修正される必要がありそうです。

 人類が食資源の豊富な森林環境からより乾燥した環境へと移るさいに、こうした地下の食資源が利用された可能性も指摘されています。そのさい、チンパンジーが使用していたような簡素な道具が役立ったことでしょうが、それは考古遺物としては残りにくいものです。

 以上、簡単にこの研究と報道を見てきました。古人類のなかでも、頑丈型のパラントロプス属(アウストラロピテクス属と分類する見解もあります)がこうした地下資源への依存度を高めたとされますが、現代人の祖先の系統の人類も、おそらく地下の食資源を利用していたのでしょう。人類は雑食性で柔軟性の高い生物であり、それが現在の人類の覇権につながっているのだと思います。


参考文献:
R. Adriana Hernandez-Aguilar, Jim Moore, and Travis Rayne Pickering.(2007): Savanna chimpanzees use tools to harvest the underground storage organs of plants. PNAS, 104, 49, 19210-19213.
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.0707929104

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