ケニアの類人猿化石に日本人研究者にちなんだ命名がなされる

 日本とケニアの合同研究団が、ケニア中央部で発見した990~980万年前頃の類人猿化石(遊離歯11本と下顎骨)に、2001年に亡くなった中山勝博・島根大学総合理工学部助教授にちなんで、ナカリピテクス=ナカヤマイと命名した、との報道がありました。日本人研究者が関わっているということで、日本でも報道されています。

 1000万年前頃のアフリカの類人猿化石の少なさから、人類とアフリカの現生類人猿の祖先はユーラシアで進化した、との見解が根強くあります。人類とアフリカの現生類人猿の祖先はアフリカにいた、と断定するにはさらなる化石証拠が必要とはいえ、この発見はその証拠になりそうです。

 ナカリピテクス=ナカヤマイは、人類・チンパンジー・ゴリラの最後の共通祖先に近い類人猿だった可能性もありますが、今年8月24日分の記事でも紹介したように、ゴリラの祖先候補とされる1000万年前頃の化石が発見されていますから、人類とチンパンジーの共通祖先だった可能性もあります。また、人類やチンパンジーの祖先ではなく、子孫が絶滅してしまった類人猿の可能性もあるでしょう。


参考文献:
Yutaka Kunimatsu, Masato Nakatsukasa, Yoshihiro Sawada, Tetsuya Sakai, Masayuki Hyodo, Hironobu Hyodo, Tetsumaru Itaya, Hideo Nakaya, Haruo Saegusa, Arnaud Mazurier, Mototaka Saneyoshi, Hiroshi Tsujikawa, Ayumi Yamamoto, and Emma Mbua.(2007): A new Late Miocene great ape from Kenya and its implications for the origins of African great apes and humans. PNAS, 104, 49, 19220-19225.
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.0706190104

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