『イリヤッド』の検証・・・25話~42話

 25話にて、作中の重要人物の一人であるデメルがはじめて登場します。デメルの登場回数は入矢とユリにつぐのですが、25話以降では、入矢につぐ46回の登場となります(ユリの25話以降の登場回数は35回)。それぞれの話が単行本のどの巻に収録されているかについては、
http://www5a.biglobe.ne.jp/~hampton/iliad001.htm
を参照してください。

●イグナティウス=ドネリーの伝記(25話)
 入矢がドネリーの伝記を横に置いて蕎麦を食べている場面が描かれていますが、ドネリーとシュリーマンが書簡を交わしていることが、後に作中で明かされます(111話)。この書簡から、アトランティスの場所を特定するじゅうような鍵である、とシュリーマンが考えていた二つの昔話(『イソップ物語』「柱の王国」と『千一夜物語』「真鍮の都」)が明らかになったわけで、ドネリーの伝記は意外とじゅうような伏線だったかもしれません。

●『オデュッセイア』と百合若伝説(27話~31話)
 ともにアトランティスの手がかりで、『オデュッセイア』に欠けていたものを百合若伝説が補うということなのでしょうが、長い「旅」のすえに妻のもとに帰ったイアン=ワードの行動(38話)が、オデュッセウスの行動になぞらえられている側面もあるのでしょう。バシャとヘラクレス神話の関係に似ていると言えます。

●サルデーニャ島出土の真鍮の女性戦士像(35話)
 馬に乗ったアマゾネスの像なのでしょうが、サルデーニャ島から出土したことの意味となると、連載が完結した今でもよく分かりません。アマゾネスも、アトランティス人やイベリア族と同じく、地中海や黒海沿岸に進出していたということでしょうか。

●ベルクはどこがアトランティスだと考えていたのか(36~37話)
 グレコ神父は、シュリーマンの研究とアマゾネス伝説をあわせるとアトランティスの場所が分かる、と述べています(37話)。シュリーマンがアトランティスの場所としてスペイン・モロッコ説に傾いていたとすると(117話のゼプコ老人の発言より)、ベルクもスペイン・モロッコ説が正解だと考えていたのでしょうか。ただ、正直なところ私の読解力では、アマゾネス伝説がスペイン・モロッコ説をどのように裏づけるかとなると、どうもよく分かりません。

●聖マルコの棺に納められていた書物(41~42話)
 アレクサンドリアの図書館にあった、アトランティスに関する書物だとされていますが、けっきょく作中では明かされませんでした。棺には多数の人物の署名があったので、秘密結社がこの話を知っていた可能性もあります。そうすると、棺のなかの書物は、秘密結社の構成員が持ち出した可能性もあるでしょう。

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