ネアンデルタール人と現生人類の頭骨の違い
20体のネアンデルタール人の頭骨と、30の人類集団からなる2524人の現生人類の頭骨とを、標準的な37の頭蓋測定を行なって比較した研究が発表され、報道されました。その結果、ネアンデルタール人と現生人類の頭骨の違いは、適応的要因ではなく、遺伝的要因によるものだとされています。適応的要因とは、寒冷な気候への適応や、歯を道具として使用していたことによるもの(文化主因説)、といった説明です。
ネアンデルタール人と現生人類との遺伝的な違いが指摘されてから10年も経過している現在になって、わざわざ強調するほどのことでもないだろう、との意見があるかもしれませんが、ネアンデルタール人と現生人類との遺伝的な違いは、あくまでミトコンドリアDNAの比較によるものですから、両者の形態的な違いが何に起因するのかという問題について、決着がついたとは言えないでしょう。その意味で、この研究は貴重な成果だったと思います。現在、ネアンデルタール人のゲノム解読が進められていますから、解読完了後には、現生人類とネアンデルタール人との形態的相違がどの遺伝子に由来するか、という研究も進展することが期待されます。
ちなみに文化主因説とは、文化が人類進化のうえではたした役割を重視する考えで、人類単一種説と多地域進化説との基礎になる考えでした。たとえば、ネアンデルタール人の頑丈な顔の形態は、歯で皮をなめしていたからで、文化(道具)の発達により、歯で皮をなめす必要がなくなったので、ネアンデルタール人は華奢な顔の現生人類に進化したのだ、とされます。人類単一種説と多地域進化説との関係については、このブログの下記の記事を参照してください。
https://sicambre.seesaa.net/article/200607article_27.html
https://sicambre.seesaa.net/article/200608article_1.html
ネアンデルタール人と現生人類との遺伝的な違いが指摘されてから10年も経過している現在になって、わざわざ強調するほどのことでもないだろう、との意見があるかもしれませんが、ネアンデルタール人と現生人類との遺伝的な違いは、あくまでミトコンドリアDNAの比較によるものですから、両者の形態的な違いが何に起因するのかという問題について、決着がついたとは言えないでしょう。その意味で、この研究は貴重な成果だったと思います。現在、ネアンデルタール人のゲノム解読が進められていますから、解読完了後には、現生人類とネアンデルタール人との形態的相違がどの遺伝子に由来するか、という研究も進展することが期待されます。
ちなみに文化主因説とは、文化が人類進化のうえではたした役割を重視する考えで、人類単一種説と多地域進化説との基礎になる考えでした。たとえば、ネアンデルタール人の頑丈な顔の形態は、歯で皮をなめしていたからで、文化(道具)の発達により、歯で皮をなめす必要がなくなったので、ネアンデルタール人は華奢な顔の現生人類に進化したのだ、とされます。人類単一種説と多地域進化説との関係については、このブログの下記の記事を参照してください。
https://sicambre.seesaa.net/article/200607article_27.html
https://sicambre.seesaa.net/article/200608article_1.html
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