『イリヤッド』の検証・・・8話~16話

 8話より新たな展開に突入しますが、8~14話は、『イリヤッド』において初の本格的な冒険譚となります。ここで入矢は、アトランティスのじゅうような手がかりである、『東方見聞録』祖本を入手します。それぞれの話が単行本のどの巻に収録されているかについては、
http://www5a.biglobe.ne.jp/~hampton/iliad001.htm
を参照してください。

●ルスティケロについて(8~14話)
 ルスティケロは、8~14話の冒険譚に登場する『東方見聞録』の祖本のほかにも、始皇帝陵(105話)やスペイン語版『東方見聞録』に(119話)アトランティスの手がかりを残していました。おそらくルスティケロは、元々は聖杯探索者であり、アトランティスにまつわる秘密を探るためにテンプル騎士団に加入し、秘密結社に同調したふりをして、アトランティスの痕跡を探したのでしょう。秘密結社を警戒したルスティケロは、密かに手がかりをいくつも残し、後世の賢人に託しました。『イリヤッド』においては、その賢人こそが入矢修造である、という構図になっているのでしょう。


●アトランティスに興味を示した東方の偉大な四人の王(8・13話)
 これは、アレクサンドロス大王、始皇帝、チンギス=ハーン、フビライ=ハーンのことですが、始皇帝以外の三人は、アトランティスとどのように関わったのか、作中では明かされていません。本当は他の三人も絡めて物語を展開させる予定だったのに、打ち切りで省略したのか、それとも、最初から始皇帝だけに触れる予定だったのか、どちらでしょうか。
 序盤の13話にて触れられた始皇帝が再度取り上げられるのは、後半の98話になってからのことですから、連載開始時点で、物語の大筋は決まっていたということなのでしょう。もっとも、打ち切りだとしたら、当初の予定よりずいぶんと話を省略した可能性がありますが。


●16話「男の子はつらいよ」
 以前のブログの記事でも述べましたが、
https://sicambre.seesaa.net/article/200702article_16.html
この8話は、『イリヤッド』では珍しく本題と無関係の話になっています。上記の記事を掲載したのは、114話まで連載が進行していた時点ですが、最終回を迎えても、この評価は変らないままです。歴史ミステリーとサスペンスだけではなく、ヒューマンストーリーも入れようとの原作者さんの考えなのでしょうが、入矢と瑠依(その両親も含めて)のキャラを印象づけるという目的もあったのかもしれません。

この記事へのコメント

kiki
2007年08月21日 08:52
劉公嗣さん、こんにちは!
大変ご無沙汰しております。
色々忙しくて、なかなかコメントできませんでした。
でも、たびたびブログは覗かせて頂いていたんですよ。

とうとうイリヤッドは終わってしまい、
私も最終巻をゲットしました。
やはり、いつもより分厚いですねw。

入矢の人物設定に、「アーサー王」が絡んでいましたから、
アトランティスと「アーサー王」を結びつけるのに、
ルスティケロが重要な役割を演じていたように思います。

あ~だけど、原作者さんにはもっと色々なエピソードの
アイディアがあったのではないでしょうか?
それが読めないのは返す返すも口惜しいです。

素人目にも、やっぱり打ち切りという感じがします。
あんなに素晴らしい漫画だったのに、もったいないなぁ。
2007年08月22日 07:56
これはkikiさん、いつもお読みいただき、ありがとうございます。

確かに、もっと色々な話が盛り込まれる予定だったようにも思われます。

素晴らしい作品だっただけに、最後があのような形になってしまったのが、残念でなりません。

短期連載でもかまわないので続編を、と願ってはいるのですが、やはり難しいのでしょうか。

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