『イリヤッド』121話「彼らは夢を見る」(『ビッグコミックオリジナル』6/5号)
最新号が発売されたので、さっそく購入しました。前号は、
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「偉大なるウサギ」遺跡の地下宮殿に降りた入矢とユリの前に、拳銃をかまえたグレコ神父が現れたところで終了しました。予告は「彼の島を突き止めようとする者の前には必ず“山の老人”が現れる。危ない入矢の命。次号。」、「彼の島の核心を目前にした入矢に“山の老人”は!?」となっていて、グレコ神父からどのような真相が語られるのか、入矢とユリはどうなるのか、デメル・プリツェル・レイトン卿はグレコ神父が送り込んだ襲撃者たちを撃退できるのか、ペーテルはどのような行動をとるのか、といったことがたいへん気になっていたのですが・・・。
さて今回の話は、デメル・プリツェル・レイトン卿の3人が、「偉大なるウサギ」遺跡でグレコ神父の配下の襲撃者たちを迎え撃つ場面から始まります。3人は、襲撃者たちは10人ていどで、カディスとウェルバの両方から侵入し、岩陰・松林・砂丘の向こう側などに潜んでいるのではないか、と推測します。言っておくが、私の射撃の腕はなかなか・・・と自慢話を始めた(笑)レイトン卿の側の岩に弾丸が当たり、射撃手がいるから伏せるように、とデメルはレイトン卿に言いますが、これからはフレッドでいいと言っただろう、とレイトン卿は冷静に答えます。
それで、どうするのだ?とレイトン卿がデメルに尋ねると、レイトン卿は遺跡に残り、自分とプリツェルが暗くなったら襲撃者たちに近づくことにする、とデメルは答えます。その直後、地震がおきましたが、すぐに治まります。デメルとプリツェルは空が異様に赤いことに気づき、アトラスの3人の娘であるエリュテイア(赤という意味)・ヘスペラレトゥサ(日没という意味)・アイグレ(輝きという意味)のお出ましさ、とレイトン卿は言います。
ドニャーナ国立自然公園に行かなかったワード夫妻・ピツラ博士・コー・呉文明(リチャード=ウー)・ロッカ・ゼプコ老人・バトラー神父は、セビリア(セビーリャ)の考古学博物館を訪れ、洗練された遺物が展示されているのを見て、幻の文明といわれているタルテッソスの実在は間違いない、と確信します。この遺物を作った人種は、紀元1世紀の歴史家ストラボンのいう、トゥルドゥリもしくはトゥルデタニという部族だろう、とワードは説明します。
彼らは4000年前、独自のカースト制度を持ち、高度な文明を築いて地中海諸国との貿易で栄華を誇ったが、フェニキア系チレス人との戦いに敗れ、紀元前9世紀頃にその植民地となり、紀元前6世紀、同じフェニキア系のカルタゴに滅ぼされて歴史から姿を消した、とワードは説明を続けます。どうして沈んだの?とロッカが尋ねると、地震だ、イベリア半島には数世紀に1回巨大地震が起きるからな、とワードは答えます。ゼプコ老人とコーは、梟の柱を発見したぞ、と言って皆を案内します。梟を模したとされている柱を見たロッカは、誰が見ても梟ね、と言います。
場面は変わって、「偉大なるウサギ」遺跡の地下宮殿です。入矢とユリに拳銃を向けたグレコ神父は、君がここまでたどり着くことは分かっていた、と語りかけます。それにしてもじつに見事な遺跡だが、しょせんは4000年前のタルテッソス遺跡にすぎない、とグレコ神父が言うと、ではなぜここにいるのだ?とユリがグレコ神父に問い質します。
自分達はアトランティスの突端にたどり着いたようだ、と入矢は言いますが、ユリは入矢の言わんとするところが分からないようです。次の文明だ、と入矢は言い、タルテッソスはアトランティスの生き残りか子孫が築いた文明だったのだ、とユリに説明します。入矢は、ポセイドンの神殿には多数の黄金像が安置され、もっとも偉大な神の周囲には海豚に乗ったネレイデス像がある、というプラトンによる記述を想起し、地下宮殿は「ポセイドンの社」を模した神殿だ、と指摘します。
中央には6頭のペガサス(天馬・翼馬)に引かせた戦車があり、戦車を操るのはポセイドンである、というのがプラトンによる記述でしたが、地下宮殿では女神の像が戦車を操っています。アトランティスはポセイドンの国ではなく、女神の国だったから、プラトンは誤りを犯したか、わざと嘘をついたのだ、と入矢は指摘します。するとグレコ神父は、女神ではなく、エウエノルとレウキッペの娘で大地から生まれた人間の女王クレイトオだ、と指摘します。
プラトンは我々の先達を恐れて『クリティアス』を未完のまま放置し、内容も虚実を織り交ぜて先達の目を欺いたが、世界最古の文明の創造主が人間の女だときちんと記していた、とグレコ神父は言います。プラトンが「山の老人」を恐れ、虚実織り交ぜてアトランティス伝説を書き残したという設定は、プラトンの記述のうち都合のよい部分のみ採用できるという意味で、上手い設定だなあと私は思います。
プラトンの記した彼の島とはどういうものだと思う?とグレコ神父に問われた入矢は、最古の都市は8000年前の小アジアのチャタルヒュユクだと言われているが、アトランティスはさらに古く、紀元前10000~9000年頃に成立した人類最古の都市国家だと思う、と答えます。
入矢はさらにアトランティスについての自説を述べ、文明の担い手は8万年前にアフリカから紅海を渡った我々の祖先か、同じ頃に大西洋を越えてイベリア半島に到着した別の部族かもしれないが、3万年前に洞窟で絵画を描いた人々であることは間違いなく、三次元のものを二次元に置き換える絵画は、彫刻よりはるかに高度な発明だ、と言います。
アトランティス人は史上もっとも早く石器時代を卒業して青銅器時代を迎えたが、青銅に必要な銅はイベリアの鉱山から、おそらく錫は、紀元前8000年まで大陸の一部だったブリテン島の鉱山から採掘したのだろう、と入矢は推測します。アトランティス人は金・銀・青銅・真鍮まで精製した、と言った入矢が天井を見上げると、プラトンによる記述通り、天井は真鍮張りになっていました。アトランティスは世界で唯一金属を有する国家だったため、当時にあっては史上最強であり、近隣の部族に尊敬され恐れられたことだろう、と入矢は指摘します。
アトランティス人に影響を受けたイベリア族は、巨石文明を地中海一帯に広めたが、紀元前2500年頃に青銅器時代が到来し、大勢の部族が強力な武器を手にすると、アトランティスの平和は終わって戦争の時代が訪れ、アトランティスはアフリカ沿岸で勃興したアマゾネス族に侵略され、その直後に地震と洪水で滅んだ、と言った入矢は、地下宮殿の柱を指し、あの柱はアマゾネスの女神の象徴で、勝利したのは原初のアテナ神を信仰するアマゾネスだった、と指摘します。
するとグレコ神父は、梟か・・・と呟きます。アトランティス滅亡後、アトランティス人の一部はカナリア諸島に渡ったが、残りは友好的なイベリア族と同化してトゥルドゥリ族となり、地震で残った島や土地の上にタルテッソスを築いたり、地中海やクレタ島や小アジアに移住して故郷の伝説を広めたりした、と入矢は言います。するとグレコ神父は、壮大な考古学者の夢想だな、と言います。
しかしその後グレコ神父は、君より何百年も前にその説にたどり着いた男がいたのには驚いたがね、と入矢に言います。ルスティケロだなと入矢が言うと、あれを見たまえ、とグレコ神父は入矢に言い、何か球状のものを抱えた女神の像を指します。その球状のものは、かつて入矢がティトゥアンの地下迷宮で発見したものと同じ形をしていました。つまり、ソロモン王の聖杯です。
あれは全部で三つある聖杯のうちの一つで、始皇帝陵から聖杯を奪った貧しき騎士とはルスティケロのことだったようだな、とグレコ神父は言います。見たければ見るがいいとグレコ神父は入矢に言い、入矢が中を見ると、羊皮紙が入っていました。そこには、以前「山の老人」の一員である張が言っていたように、
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アトランティスの場所を示す地図が描かれていました。
古代の歴史学者の多くによると、ジブラルタル海峡の向こう、アフリカと欧州の間の海には多くの島があり、アトランティスはそうした島々とイベリア・モロッコの両岸に領土を有していたということだが・・・とグレコ神父は言います。そのグレコ神父の発言通り、地図はジブラルタル海峡・イベリア半島南岸・アフリカ大陸西北岸・イベリア半島とアフリカの間の大西洋上の島々を示していました。
おめでとう、君はついに謎の答えにたどり着いたわけだな、とグレコ神父は入矢に言い、では、この真実のどこに人を殺す理由があるのだ?と入矢はグレコ神父に問いかけます。しかしグレコ神父は、話は終わりだ、と言って拳銃を入矢とユリに向けます。「山の老人」が隠蔽したい真実とはいったい何だったのだ?と入矢がグレコ神父に問いかけると、「山の老人」とは「彼ら」だ、我々は「彼ら」の記憶を消し去りたい、とグレコ神父は答えます。
すると入矢は、以前モロッコで自分を助けてくれたあなたの仲間(10~11巻に登場したバシャのことです)が、アトランティス人は夢を見ないと言っていた、と述べます。入矢のこの発言を聞いたグレコ神父は、アダムとイブの子は絶滅寸前で、大自然に翻弄されて獣の餌にすぎず、日々不安で眠ることもできなくて、夢を見る能力すらなかったが、「彼ら」はよく夢を見た、と言います。
「彼ら」は聖者や高僧のように夢想し、心のカンバスに絵を描くこともできたが、言語には長けていなかったから、文明を持つ必要がなかった、とグレコ神父は入矢とユリに教えます。我々は言葉を、「彼ら」は夢を教え、ようやく神と交信できた我々はその後飛躍的に進化し、熊・蛇・牡牛などありとあらゆる獣を神の化身と誤解し、ときには人を切り裂いて食すことまでした、グレコ神父は説明を続けます。
私はその呪われた愚かさも許せるが、「彼ら」の伝説は許せない、と述べたグレコ神父は、アマゾネス族の人類最大の貢献は、あの柱を梟と言い張ったことだ、と続けます。何の話だ?と入矢が問うと、グレコ神父は再度、話はそれまでだ、地獄へ落ちる覚悟はできていると言って、入矢とユリに拳銃を向けます。
しかし、グレコ神父は突然倒れてしまい、その背には特殊な形の刃物が刺さっていました。そう、グレコ神父を刺したのはペーテルだったのです。おそらくグレコ神父をずっと尾行していたのでしょう。ペーテルがグレコ神父に、「ナイフを抜けばすぐに死ぬ。抜かなければしばらく生きるが、想像を絶する苦痛がともなう」と言い、入矢とユリに顔を向けるところで今回は終了です。
今回は、ついに人類の禁忌についても重要な情報が明かされ、完結が近いのだと改めて感じました。サスペンスアクションの側面では、まず、デメル・プリツェル・レイトン卿が襲撃者たちを撃退できるのか、命を落とさずにすむのか、ということが気になります。これまで、入矢側の主要人物で命を落としたのは、ユリの父ヴィルヘルム=エンドレだけで、それも入矢がアトランティス探索に乗り出す前のことでしたから、実質的には入矢側の主要人物では死者は出ておらず、これまでの傾向からすると、3人も無事で完結するのかな、とも思います。3人ともキャラか立っていて魅力的な人物なので、無事だとよいのですが・・・。
ペーテルの意図も気になるところで、グレコ神父を即死させてしまわなかったのは、グレコ神父に苦痛を与えて主人だったクロジエの復讐を果たすということ以外に、アトランティスにまつわる情報を聞き出すという目的もあるのではないか、と思われます。そうすると、ペーテルは誰かの命令か依頼で動いているのか、それともたんなる殺し屋ではなく、自身もアトランティス探索者なのか、気になるところです。また、ペーテルはかつて入矢とユリを殺そうとしましたが、今回は入矢とユリにどのような行動をとるのかかも気になります。
グレコ神父は入矢を説得しようとはせず、殺そうとしましたが、グレコ神父が一人で待ち構えていたのは、入矢を「山の老人」に勧誘するためではないか、とも予想していただけに、この展開はやや意外でした。しかし考えてみると、配下を同行させなかったのは、秘密を知るのはごく一部の幹部だけでよいから、ということなのかもしれません。
しかし、入矢たちがどのような装備で来るか、入矢たちと遭遇した場合にどのような事態になるかは分かりませんから、グレコ神父は死を覚悟し、側近に後事を託したということなのだと思います。そういえば、グレコ神父の側近がグレコ神父と別れた後、無事なのかも気になるところで、あるいはペーテルに殺されたのかもしれません。
歴史ミステリーの部分では、アトランティスの位置づけがかなり明確になるとともに、人類の禁忌についても重要な手がかりが示されました。まずアトランティス文明の位置づけですが、世界最古の都市を紀元前10000~9000年頃に築き、他の地域よりもかなり早く金属器の使用を始め、それゆえに近隣の部族に尊敬され恐れられた早熟な文明ということになります。アトランティスの影響を受けたイベリア族は、巨石文明を地中海に広めました。
その後、他地域も金属器を使用するようになると、アトランティスの圧倒的優位は失われ、アトランティスの平和の時代は終わり、戦争の時代となりました。アフリカ沿岸で勃興したアマゾネス族に侵略されたアトランティスは、その直後に地震と洪水で滅びましたが、その年代は紀元前2500年頃と思われます。テネリフェ島の「冥界の王」は、アトランティス末期の王族だったのかもしれません。
アトランティス滅亡後、アトランティス人の一部はカナリア諸島に移住しましたが、その他はイベリア族と同化してトゥルドゥリ族となり、地震で残った島や土地の上に、『旧約聖書』にいうタルシシュ=ヘロドトス『歴史』にいうタルテッソスを建て、地中海諸地域や小アジアにも移住して、アトランティスの伝説を広めました。アトランティス文明は、イベリア半島南岸・アフリカ大陸西北岸・イベリア半島とアフリカの間の大西洋上の島々を領土とし、おそらくドニャーナ国立自然公園のあたりが都だったのでしょう。
始皇帝陵から持ち出された聖杯の中に入っていたアトランティスの地図は、ソロモン王がフェニキア人に命じて作成させたものでしょうが、こうなると、残り一つの聖杯がどこにあるのか、その中に何が入っているのか、気になるところです。それにしても、なぜ「山の老人」は「偉大なるウサギ」遺跡の地下宮殿に聖杯を置いたままにしていたのか、疑問です。グレコ神父は、入矢とは別の入口から地下宮殿に入っていったことからすると、以前にもこの遺跡を訪れたことがあるはずなのですが・・・。
人類の禁忌については、重要な情報が明らかになりました。入矢がバシャの件を話すことで、グレコ神父は夢を取り戻して真相を語るのではないか、という私の予想は外れましたが、グレコ神父が当初は話す予定のなかった夢にまつわる秘密まで入矢とユリに話したのは、グレコ神父が入矢の発言を聞いてバシャのことを思い出し、心境に変化が生じたからだと思います。ただ、この心境変化がいかなるものかというと、私の読解力では具体的に説明することができないのですが・・・。
それはともかくとして、人類の禁忌についてですが、グレコ神父のいう「アダムとイブの子」とは現生人類のことで、「山の老人」である「彼ら」とはネアンデルタール人のことではないかと思われます。そうすると、なぜネアンデルタール人が「山の老人」と呼ばれていたのか、「山の老人」にはどのような意味が込められているのかも気になるところです。夢を見るということは、たんに文字通りの意味というだけではなく、もっと深い意味もあるのではないか、と思います。抽象的な表現でいえば、精神・想像力の豊かさであり、神を知っている・信仰しているということでしょうか?
我々は言葉を、「彼ら」は夢を教えたということは、現生人類はネアンデルタール人に論理的な思考を、ネアンデルタール人は現生人類に豊かな想像力を教えたということでしょうか?ネアンデルタール人と出会う前までの現生人類は、生きることに精一杯で、神という概念も知らないような精神的に惨めな存在だった、ということなのでしょう。ネアンデルタール人と出会い、豊かな精神生活を送るようになって神を信仰するようになった現生人類は、飛躍的に発展していきましたが、熊・蛇・牡牛などあらゆる獣を神の化身と誤解し、ときには食人にまでいたりましたが、グレコ神父は、こうした人類の愚かさも許せる、と言っています。
では、何が許せないのかというと、「彼ら」の伝説とのことです。しかしこれでは、何のことだかさっぱり分かりません。グレコ神父の発言からすると、梟を模したとされている柱が本当は何を意味しているのかということが、人類の禁忌の核心ということになりそうです。ロッカは誰が見ても梟だと言っていて、想像力の乏しい私も、梟以外の何を指しているのかどうもよく分かりませんが、次号以降(とはいっても、後2話ていどしかなさそうですが・・・)での謎解きに期待しています。
今回、人類の禁忌についてかなりの情報が明かされましたが、古人類学に関心のある私からみると、かなり無理のある設定だなあ、というのが率直な感想です。グレコ神父が示唆したような精神性はネアンデルタール人にはなかった、というのが現在では有力な見解ですが、まあこういった内面的なことは実証が難しいというか事実上不可能なので、創作としてはありかな、とも思います。
また、アトランティス文明の位置づけや人類の禁忌があるていど明らかになったとはいえ、月や兎にまつわる昔話については、その真の意味がまだはっきりしないところがありますので、こうした謎も最終的に解明されることを期待しています。それにしても、梟ではないとしたら、あの柱は何なのでしょうねぇ・・・。本当に人を殺してまで守るべき秘密だと読者が納得できるのか、不安ではありますが、ここまでの構成には素晴らしいものがあるので、原作者さんの手腕に期待しています。
予告は、「グレコを刺し、入矢たちの前に立ちはだかるのはペーテル。拳銃より速いナイフを操るこの殺し屋の狙いは!?」、「入矢たちは彼の島の真実を知る事ができるのか!?」となっていて、ペーテルの目的は何なのか、入矢たちは「山の老人」がアトランティスにまつわる真相を隠蔽しつづけてきた理由を解明できるのか、たいへん気になるところです。予告によると、次号が最終回というわけではなさそうなので、123話までは続くようです。ともかく、次号が楽しみですなあ(笑)。
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「偉大なるウサギ」遺跡の地下宮殿に降りた入矢とユリの前に、拳銃をかまえたグレコ神父が現れたところで終了しました。予告は「彼の島を突き止めようとする者の前には必ず“山の老人”が現れる。危ない入矢の命。次号。」、「彼の島の核心を目前にした入矢に“山の老人”は!?」となっていて、グレコ神父からどのような真相が語られるのか、入矢とユリはどうなるのか、デメル・プリツェル・レイトン卿はグレコ神父が送り込んだ襲撃者たちを撃退できるのか、ペーテルはどのような行動をとるのか、といったことがたいへん気になっていたのですが・・・。
さて今回の話は、デメル・プリツェル・レイトン卿の3人が、「偉大なるウサギ」遺跡でグレコ神父の配下の襲撃者たちを迎え撃つ場面から始まります。3人は、襲撃者たちは10人ていどで、カディスとウェルバの両方から侵入し、岩陰・松林・砂丘の向こう側などに潜んでいるのではないか、と推測します。言っておくが、私の射撃の腕はなかなか・・・と自慢話を始めた(笑)レイトン卿の側の岩に弾丸が当たり、射撃手がいるから伏せるように、とデメルはレイトン卿に言いますが、これからはフレッドでいいと言っただろう、とレイトン卿は冷静に答えます。
それで、どうするのだ?とレイトン卿がデメルに尋ねると、レイトン卿は遺跡に残り、自分とプリツェルが暗くなったら襲撃者たちに近づくことにする、とデメルは答えます。その直後、地震がおきましたが、すぐに治まります。デメルとプリツェルは空が異様に赤いことに気づき、アトラスの3人の娘であるエリュテイア(赤という意味)・ヘスペラレトゥサ(日没という意味)・アイグレ(輝きという意味)のお出ましさ、とレイトン卿は言います。
ドニャーナ国立自然公園に行かなかったワード夫妻・ピツラ博士・コー・呉文明(リチャード=ウー)・ロッカ・ゼプコ老人・バトラー神父は、セビリア(セビーリャ)の考古学博物館を訪れ、洗練された遺物が展示されているのを見て、幻の文明といわれているタルテッソスの実在は間違いない、と確信します。この遺物を作った人種は、紀元1世紀の歴史家ストラボンのいう、トゥルドゥリもしくはトゥルデタニという部族だろう、とワードは説明します。
彼らは4000年前、独自のカースト制度を持ち、高度な文明を築いて地中海諸国との貿易で栄華を誇ったが、フェニキア系チレス人との戦いに敗れ、紀元前9世紀頃にその植民地となり、紀元前6世紀、同じフェニキア系のカルタゴに滅ぼされて歴史から姿を消した、とワードは説明を続けます。どうして沈んだの?とロッカが尋ねると、地震だ、イベリア半島には数世紀に1回巨大地震が起きるからな、とワードは答えます。ゼプコ老人とコーは、梟の柱を発見したぞ、と言って皆を案内します。梟を模したとされている柱を見たロッカは、誰が見ても梟ね、と言います。
場面は変わって、「偉大なるウサギ」遺跡の地下宮殿です。入矢とユリに拳銃を向けたグレコ神父は、君がここまでたどり着くことは分かっていた、と語りかけます。それにしてもじつに見事な遺跡だが、しょせんは4000年前のタルテッソス遺跡にすぎない、とグレコ神父が言うと、ではなぜここにいるのだ?とユリがグレコ神父に問い質します。
自分達はアトランティスの突端にたどり着いたようだ、と入矢は言いますが、ユリは入矢の言わんとするところが分からないようです。次の文明だ、と入矢は言い、タルテッソスはアトランティスの生き残りか子孫が築いた文明だったのだ、とユリに説明します。入矢は、ポセイドンの神殿には多数の黄金像が安置され、もっとも偉大な神の周囲には海豚に乗ったネレイデス像がある、というプラトンによる記述を想起し、地下宮殿は「ポセイドンの社」を模した神殿だ、と指摘します。
中央には6頭のペガサス(天馬・翼馬)に引かせた戦車があり、戦車を操るのはポセイドンである、というのがプラトンによる記述でしたが、地下宮殿では女神の像が戦車を操っています。アトランティスはポセイドンの国ではなく、女神の国だったから、プラトンは誤りを犯したか、わざと嘘をついたのだ、と入矢は指摘します。するとグレコ神父は、女神ではなく、エウエノルとレウキッペの娘で大地から生まれた人間の女王クレイトオだ、と指摘します。
プラトンは我々の先達を恐れて『クリティアス』を未完のまま放置し、内容も虚実を織り交ぜて先達の目を欺いたが、世界最古の文明の創造主が人間の女だときちんと記していた、とグレコ神父は言います。プラトンが「山の老人」を恐れ、虚実織り交ぜてアトランティス伝説を書き残したという設定は、プラトンの記述のうち都合のよい部分のみ採用できるという意味で、上手い設定だなあと私は思います。
プラトンの記した彼の島とはどういうものだと思う?とグレコ神父に問われた入矢は、最古の都市は8000年前の小アジアのチャタルヒュユクだと言われているが、アトランティスはさらに古く、紀元前10000~9000年頃に成立した人類最古の都市国家だと思う、と答えます。
入矢はさらにアトランティスについての自説を述べ、文明の担い手は8万年前にアフリカから紅海を渡った我々の祖先か、同じ頃に大西洋を越えてイベリア半島に到着した別の部族かもしれないが、3万年前に洞窟で絵画を描いた人々であることは間違いなく、三次元のものを二次元に置き換える絵画は、彫刻よりはるかに高度な発明だ、と言います。
アトランティス人は史上もっとも早く石器時代を卒業して青銅器時代を迎えたが、青銅に必要な銅はイベリアの鉱山から、おそらく錫は、紀元前8000年まで大陸の一部だったブリテン島の鉱山から採掘したのだろう、と入矢は推測します。アトランティス人は金・銀・青銅・真鍮まで精製した、と言った入矢が天井を見上げると、プラトンによる記述通り、天井は真鍮張りになっていました。アトランティスは世界で唯一金属を有する国家だったため、当時にあっては史上最強であり、近隣の部族に尊敬され恐れられたことだろう、と入矢は指摘します。
アトランティス人に影響を受けたイベリア族は、巨石文明を地中海一帯に広めたが、紀元前2500年頃に青銅器時代が到来し、大勢の部族が強力な武器を手にすると、アトランティスの平和は終わって戦争の時代が訪れ、アトランティスはアフリカ沿岸で勃興したアマゾネス族に侵略され、その直後に地震と洪水で滅んだ、と言った入矢は、地下宮殿の柱を指し、あの柱はアマゾネスの女神の象徴で、勝利したのは原初のアテナ神を信仰するアマゾネスだった、と指摘します。
するとグレコ神父は、梟か・・・と呟きます。アトランティス滅亡後、アトランティス人の一部はカナリア諸島に渡ったが、残りは友好的なイベリア族と同化してトゥルドゥリ族となり、地震で残った島や土地の上にタルテッソスを築いたり、地中海やクレタ島や小アジアに移住して故郷の伝説を広めたりした、と入矢は言います。するとグレコ神父は、壮大な考古学者の夢想だな、と言います。
しかしその後グレコ神父は、君より何百年も前にその説にたどり着いた男がいたのには驚いたがね、と入矢に言います。ルスティケロだなと入矢が言うと、あれを見たまえ、とグレコ神父は入矢に言い、何か球状のものを抱えた女神の像を指します。その球状のものは、かつて入矢がティトゥアンの地下迷宮で発見したものと同じ形をしていました。つまり、ソロモン王の聖杯です。
あれは全部で三つある聖杯のうちの一つで、始皇帝陵から聖杯を奪った貧しき騎士とはルスティケロのことだったようだな、とグレコ神父は言います。見たければ見るがいいとグレコ神父は入矢に言い、入矢が中を見ると、羊皮紙が入っていました。そこには、以前「山の老人」の一員である張が言っていたように、
https://sicambre.seesaa.net/article/200608article_5.html
アトランティスの場所を示す地図が描かれていました。
古代の歴史学者の多くによると、ジブラルタル海峡の向こう、アフリカと欧州の間の海には多くの島があり、アトランティスはそうした島々とイベリア・モロッコの両岸に領土を有していたということだが・・・とグレコ神父は言います。そのグレコ神父の発言通り、地図はジブラルタル海峡・イベリア半島南岸・アフリカ大陸西北岸・イベリア半島とアフリカの間の大西洋上の島々を示していました。
おめでとう、君はついに謎の答えにたどり着いたわけだな、とグレコ神父は入矢に言い、では、この真実のどこに人を殺す理由があるのだ?と入矢はグレコ神父に問いかけます。しかしグレコ神父は、話は終わりだ、と言って拳銃を入矢とユリに向けます。「山の老人」が隠蔽したい真実とはいったい何だったのだ?と入矢がグレコ神父に問いかけると、「山の老人」とは「彼ら」だ、我々は「彼ら」の記憶を消し去りたい、とグレコ神父は答えます。
すると入矢は、以前モロッコで自分を助けてくれたあなたの仲間(10~11巻に登場したバシャのことです)が、アトランティス人は夢を見ないと言っていた、と述べます。入矢のこの発言を聞いたグレコ神父は、アダムとイブの子は絶滅寸前で、大自然に翻弄されて獣の餌にすぎず、日々不安で眠ることもできなくて、夢を見る能力すらなかったが、「彼ら」はよく夢を見た、と言います。
「彼ら」は聖者や高僧のように夢想し、心のカンバスに絵を描くこともできたが、言語には長けていなかったから、文明を持つ必要がなかった、とグレコ神父は入矢とユリに教えます。我々は言葉を、「彼ら」は夢を教え、ようやく神と交信できた我々はその後飛躍的に進化し、熊・蛇・牡牛などありとあらゆる獣を神の化身と誤解し、ときには人を切り裂いて食すことまでした、グレコ神父は説明を続けます。
私はその呪われた愚かさも許せるが、「彼ら」の伝説は許せない、と述べたグレコ神父は、アマゾネス族の人類最大の貢献は、あの柱を梟と言い張ったことだ、と続けます。何の話だ?と入矢が問うと、グレコ神父は再度、話はそれまでだ、地獄へ落ちる覚悟はできていると言って、入矢とユリに拳銃を向けます。
しかし、グレコ神父は突然倒れてしまい、その背には特殊な形の刃物が刺さっていました。そう、グレコ神父を刺したのはペーテルだったのです。おそらくグレコ神父をずっと尾行していたのでしょう。ペーテルがグレコ神父に、「ナイフを抜けばすぐに死ぬ。抜かなければしばらく生きるが、想像を絶する苦痛がともなう」と言い、入矢とユリに顔を向けるところで今回は終了です。
今回は、ついに人類の禁忌についても重要な情報が明かされ、完結が近いのだと改めて感じました。サスペンスアクションの側面では、まず、デメル・プリツェル・レイトン卿が襲撃者たちを撃退できるのか、命を落とさずにすむのか、ということが気になります。これまで、入矢側の主要人物で命を落としたのは、ユリの父ヴィルヘルム=エンドレだけで、それも入矢がアトランティス探索に乗り出す前のことでしたから、実質的には入矢側の主要人物では死者は出ておらず、これまでの傾向からすると、3人も無事で完結するのかな、とも思います。3人ともキャラか立っていて魅力的な人物なので、無事だとよいのですが・・・。
ペーテルの意図も気になるところで、グレコ神父を即死させてしまわなかったのは、グレコ神父に苦痛を与えて主人だったクロジエの復讐を果たすということ以外に、アトランティスにまつわる情報を聞き出すという目的もあるのではないか、と思われます。そうすると、ペーテルは誰かの命令か依頼で動いているのか、それともたんなる殺し屋ではなく、自身もアトランティス探索者なのか、気になるところです。また、ペーテルはかつて入矢とユリを殺そうとしましたが、今回は入矢とユリにどのような行動をとるのかかも気になります。
グレコ神父は入矢を説得しようとはせず、殺そうとしましたが、グレコ神父が一人で待ち構えていたのは、入矢を「山の老人」に勧誘するためではないか、とも予想していただけに、この展開はやや意外でした。しかし考えてみると、配下を同行させなかったのは、秘密を知るのはごく一部の幹部だけでよいから、ということなのかもしれません。
しかし、入矢たちがどのような装備で来るか、入矢たちと遭遇した場合にどのような事態になるかは分かりませんから、グレコ神父は死を覚悟し、側近に後事を託したということなのだと思います。そういえば、グレコ神父の側近がグレコ神父と別れた後、無事なのかも気になるところで、あるいはペーテルに殺されたのかもしれません。
歴史ミステリーの部分では、アトランティスの位置づけがかなり明確になるとともに、人類の禁忌についても重要な手がかりが示されました。まずアトランティス文明の位置づけですが、世界最古の都市を紀元前10000~9000年頃に築き、他の地域よりもかなり早く金属器の使用を始め、それゆえに近隣の部族に尊敬され恐れられた早熟な文明ということになります。アトランティスの影響を受けたイベリア族は、巨石文明を地中海に広めました。
その後、他地域も金属器を使用するようになると、アトランティスの圧倒的優位は失われ、アトランティスの平和の時代は終わり、戦争の時代となりました。アフリカ沿岸で勃興したアマゾネス族に侵略されたアトランティスは、その直後に地震と洪水で滅びましたが、その年代は紀元前2500年頃と思われます。テネリフェ島の「冥界の王」は、アトランティス末期の王族だったのかもしれません。
アトランティス滅亡後、アトランティス人の一部はカナリア諸島に移住しましたが、その他はイベリア族と同化してトゥルドゥリ族となり、地震で残った島や土地の上に、『旧約聖書』にいうタルシシュ=ヘロドトス『歴史』にいうタルテッソスを建て、地中海諸地域や小アジアにも移住して、アトランティスの伝説を広めました。アトランティス文明は、イベリア半島南岸・アフリカ大陸西北岸・イベリア半島とアフリカの間の大西洋上の島々を領土とし、おそらくドニャーナ国立自然公園のあたりが都だったのでしょう。
始皇帝陵から持ち出された聖杯の中に入っていたアトランティスの地図は、ソロモン王がフェニキア人に命じて作成させたものでしょうが、こうなると、残り一つの聖杯がどこにあるのか、その中に何が入っているのか、気になるところです。それにしても、なぜ「山の老人」は「偉大なるウサギ」遺跡の地下宮殿に聖杯を置いたままにしていたのか、疑問です。グレコ神父は、入矢とは別の入口から地下宮殿に入っていったことからすると、以前にもこの遺跡を訪れたことがあるはずなのですが・・・。
人類の禁忌については、重要な情報が明らかになりました。入矢がバシャの件を話すことで、グレコ神父は夢を取り戻して真相を語るのではないか、という私の予想は外れましたが、グレコ神父が当初は話す予定のなかった夢にまつわる秘密まで入矢とユリに話したのは、グレコ神父が入矢の発言を聞いてバシャのことを思い出し、心境に変化が生じたからだと思います。ただ、この心境変化がいかなるものかというと、私の読解力では具体的に説明することができないのですが・・・。
それはともかくとして、人類の禁忌についてですが、グレコ神父のいう「アダムとイブの子」とは現生人類のことで、「山の老人」である「彼ら」とはネアンデルタール人のことではないかと思われます。そうすると、なぜネアンデルタール人が「山の老人」と呼ばれていたのか、「山の老人」にはどのような意味が込められているのかも気になるところです。夢を見るということは、たんに文字通りの意味というだけではなく、もっと深い意味もあるのではないか、と思います。抽象的な表現でいえば、精神・想像力の豊かさであり、神を知っている・信仰しているということでしょうか?
我々は言葉を、「彼ら」は夢を教えたということは、現生人類はネアンデルタール人に論理的な思考を、ネアンデルタール人は現生人類に豊かな想像力を教えたということでしょうか?ネアンデルタール人と出会う前までの現生人類は、生きることに精一杯で、神という概念も知らないような精神的に惨めな存在だった、ということなのでしょう。ネアンデルタール人と出会い、豊かな精神生活を送るようになって神を信仰するようになった現生人類は、飛躍的に発展していきましたが、熊・蛇・牡牛などあらゆる獣を神の化身と誤解し、ときには食人にまでいたりましたが、グレコ神父は、こうした人類の愚かさも許せる、と言っています。
では、何が許せないのかというと、「彼ら」の伝説とのことです。しかしこれでは、何のことだかさっぱり分かりません。グレコ神父の発言からすると、梟を模したとされている柱が本当は何を意味しているのかということが、人類の禁忌の核心ということになりそうです。ロッカは誰が見ても梟だと言っていて、想像力の乏しい私も、梟以外の何を指しているのかどうもよく分かりませんが、次号以降(とはいっても、後2話ていどしかなさそうですが・・・)での謎解きに期待しています。
今回、人類の禁忌についてかなりの情報が明かされましたが、古人類学に関心のある私からみると、かなり無理のある設定だなあ、というのが率直な感想です。グレコ神父が示唆したような精神性はネアンデルタール人にはなかった、というのが現在では有力な見解ですが、まあこういった内面的なことは実証が難しいというか事実上不可能なので、創作としてはありかな、とも思います。
また、アトランティス文明の位置づけや人類の禁忌があるていど明らかになったとはいえ、月や兎にまつわる昔話については、その真の意味がまだはっきりしないところがありますので、こうした謎も最終的に解明されることを期待しています。それにしても、梟ではないとしたら、あの柱は何なのでしょうねぇ・・・。本当に人を殺してまで守るべき秘密だと読者が納得できるのか、不安ではありますが、ここまでの構成には素晴らしいものがあるので、原作者さんの手腕に期待しています。
予告は、「グレコを刺し、入矢たちの前に立ちはだかるのはペーテル。拳銃より速いナイフを操るこの殺し屋の狙いは!?」、「入矢たちは彼の島の真実を知る事ができるのか!?」となっていて、ペーテルの目的は何なのか、入矢たちは「山の老人」がアトランティスにまつわる真相を隠蔽しつづけてきた理由を解明できるのか、たいへん気になるところです。予告によると、次号が最終回というわけではなさそうなので、123話までは続くようです。ともかく、次号が楽しみですなあ(笑)。
この記事へのコメント
あと数回で完結のようですが、ストーリーを丹念に読んでおられるご様子で、真相についてのブログでの推察に感心いたしました。
過去に書いておられたように、私も「現生人類が、神であるネアンデルタール人を食べた、それがタブーなのでは?」と考えておりました。
しかし今回を読むと、単純にそれだけではなさそうですね。
出雲のウサギのエピソードをふまえると、「現生人類が、ネアンデルタール人をだまし討ちして(国土や金属製造技術も含む)様々な財産を奪い取った(しかも食べた?)。そのエピソードを、ネアンデルタール人=山の老人が、現生人類を悪者にしたとか呪ったとかいう伝説として残した」といったことではないかと考えています。ただ、タブーにするほどのことかとも思いますが。。。
稚拙かも知れませんが、いかが思われますでしょうか?
お邪魔いたしました。
とにかく現生人類はネアンデルタール人は相当残忍なことをして恨みを買ったが、復讐に遭ったのかもしれない。信仰=夢を奪われたとか。。。それで、
「最終的には(夢を失い悲観した)現生人類は、自殺=アトランティス文明の自壊を招いたのではないか?」とも思いました。
自殺はかなりの宗教でタブーですよね。
長々と申し訳ありません。
以上です。
とりあえず、次回が最終回じゃなくてほっとしました。
グレコ神父がイリヤを山の老人に引き込もうとしなかったのも、あっさりとペーテルにやられたのも意外でした…。
最後の結末は、予測できます(笑)。地震の伏線があったので、タルテッソスを地震が襲い、グレコ、ペーテルもそこで死ぬでしょう。モロッコの宮殿やカナリヤのピラミッドが永遠に失われたように、世界へ発表することはできなくなるのでしょう。イリヤがアトランティスの真実をつかんでも、証明する手立ては、グレコの宿願どおり失われてしまうのではないでしょうか。(また、外れるかも…)
最近混乱しているのですが、
アトランティス=ネアンデルタール人なのか
アトランティス=イベリア人(=ウサギ)なのかどっちでしょうね。
梟(アマゾネス)が滅ぼしたウサギがイベリア人を指すとすると、アマゾネスがネアンデルタール人を滅ぼしたとは読めないのですが…
梟(アマゾネス)はアトランティスとイベリア人の両方を滅ぼしたのでしょうかね。
それにしても、柱が「梟」でないとすると、何に見えるんでしょうね。
熊か猿しか思いつきません…
今後ともよろしくお願い申し仕上げます。
赤穴博士や入矢は、昔話は悪夢の構造に
近く、太古の人類の記憶を伝えていると
言ってますから、騙まし討ちは関係が
ありそうですねぇ。ただ、誰が誰を
騙まし討ちにしたのかが、まだよく
分からないところですが、現生人類が
恩人のネアンデルタール人にひどい
ことをしたというのは、ありそうかな、
とは思います。
アトランティス文明の自壊は、
アリストテレスが示唆していますが、
自壊の理由が、人類の禁忌の核心に
なるのかな、という気もします。
ありがとうございます。
地震は伏線ですかねぇ。地震により
ペーテルの後ろの像が倒れて・・・
という展開にでもならないと、入矢も
ユリも危うい感じですけど、そもそも
ペーテルの目的は何なのでしょうね。
アトランティス人とイベリア族との
関係については、私もやや混乱して
いるのですが、アトランティス文明
の担い手は、ネアンデルタール人
から大きな影響を受けた現生人類で、
イベリア族はアトランティス人の
影響を受け、後にアトランティス人と
同化した人々なのかな、と理解して
います。アトランティス人が
ネアンデルタール人というわけでは
ないと思います。
ちょっと私も混乱しているので、
もう一度最近の話を読み直してみて、
自分の考えを整理しようと思います。
柱が何を意味しているのかは、私も
さっぱり分かりません。人類の禁忌の
核心のようですけど。
先日、初めてこのブログを拝見し、書き込みをさせていただいたmogeです。たびたびお邪魔いたします。
劉公嗣さんは、「イリヤッド」と同じビッグコミックオリジナルに、
15年くらい前に連載されていた「MASTERキートン」をお読みになりましたか?
両作品に同じ香りを感じるのは私だけではないはずです。
「イリヤッド」の連載当初は、掲載誌が同じだし、主人公は考古学者だし、しかも原作者の名が「キートン」は「葛飾北星」、イリヤッドは「東洲斎雅楽」。
ネーミングのセンスも共通して、きっと同じ人物なのだと思っていました。
ところが葛飾北星氏は死去したとのこと。
それでも、夢を追うテーマ性やストーリーの緻密さは、
制作者サイドに何かが共通しているのだと考えています。
劉公嗣さんはいかが思われますでしょうか。
ご意見伺えれば幸いです。
実質的な原作者の一人が『イリヤッド』と同じ
という話を聞いたことがあります。
http://www.narinari.com/Nd/2005054455.html
という話がありますね。
直接関係のないことを書き込んで、すみませんでした。
ご無沙汰しております。
このところコメントしておりませんが、
毎回の記事、楽しみに読ませて頂いています。
劉公嗣さんのファンもずいぶん増えたようですね。
私も嬉しいです。
毎回、劉公嗣さんのレジュメが素晴らしく、
未だ読んでもいないうちに、読んだ気になっていますw。
もう、本当に最終回に近づいている感じですね。
梟の柱ですが、これは、入矢も見たのでしょうか?
そして、この柱は、10巻で描かれている、
チュニスで発掘された梟のような感じなのでしょうか?
気になりますw。
また、1巻から読み直しておさらい中です。
次号が楽しみですが、あ~、終わらないで欲しいなぁ!
いただき、ありがとうございます。
梟の柱は地下宮殿にもあるので、
入矢も見ていますが、10巻の
梟の柱に似ています。
しかし、これが梟でないとしたら、
何を指しているのか、さっぱり
分からないのですが、次号で
明かされることを期待しています。