『イリヤッド』14巻発売

 早速購入してきました。14巻には、105話「ソロモンの杯」、106話「最後の審判」、107話「秘密の箱」、108話「聖杯の心」、109話「アントン・デル・ポスト」、110話「リンゴが一つ」、111話「ヘラクレスの正体」、112話「柱の王国」、113話「夢を見たフクロウ」の9話が収められています。
 始皇帝陵での冒険譚から「山の老人」の内紛、さらにはエンドレ財団をめぐるサスペンスまで、内容は多岐にわたっていて、かなり重要な情報が明らかにされています。14巻の主な内容については、かつてこのブログで述べていますので、
https://sicambre.seesaa.net/article/200609article_23.html
https://sicambre.seesaa.net/article/200610article_5.html
https://sicambre.seesaa.net/article/200610article_26.html
https://sicambre.seesaa.net/article/200611article_6.html
https://sicambre.seesaa.net/article/200611article_20.html
https://sicambre.seesaa.net/article/200612article_5.html
https://sicambre.seesaa.net/article/200612article_22.html
https://sicambre.seesaa.net/article/200701article_4.html
https://sicambre.seesaa.net/article/200701article_21.html
今回は内容の詳細な紹介はせず、連載当時は分からなかったものの、その後の連載(現在119話「コロンブスの足下」まで進んでいます)により判明した・推測できた点について主に述べつつ、ざっと振り返ることにします。

 14巻は、始皇帝陵に残されていたルスティケロのメモを手がかりに入矢が聖杯伝説を追跡したり、「山の老人」とバチカンとの関係がやや踏み込んで描かれたり、デル=ポスト教授の息子が登場し、サスペンス面で新たな事実が判明したり、ついにアトランティスの場所が登場人物の口から明らかにされたりと、重要な情報がかなり提示されたように思います。
 まずルスティケロについてですが、おそらくはテンプル騎士団の一員で、聖杯伝説を追ううちにアトランティスにまつわる謎に関わるようになり、「山の老人」やバチカン傘下の「秘密の箱を運ぶ人々」に協力するふりをしながら、アトランティスにまつわる謎の解明を進め、『東方見聞録』祖本・スペイン語版などを著したり、始皇帝の棺に「偉大なるアーサー王」と彫ったりして、アトランティスや人類の禁忌についての手がかりを後世の賢人に残したのだと思います。

 次に「山の老人」の内紛についてですが、グレコ神父とは異なり、アトランティスや人類の禁忌にまつわる秘密を完全には知らないオコーナーたち一部?の幹部が、その秘密を解明しようとしてグレコ神父の殺害を謀ったのだと判明しています。けっきょく、オコーナーたち反乱を起した幹部はグレコ神父に粛清されてしまいます。
 「山の老人」の組織構成についてもかなりのことが分かり、「山の老人」の人材登用は、一人の幹部がある人物を推薦し、幹部会で承認されると幹部になる、という方式のようです。「山の老人」の現在のボスはどうやらグレコ神父のようですが、「山の老人」の幹部はお互いの素性を知らず(もちろん、推薦人は自分が推薦した人物を知っていますが)、全員を把握しているのはボスのみのようです。

 エンドレ財団をめぐるミステリーは、コバチの死亡という形で幕を閉じましたが、その後の話では、コバチは自殺ということになっています。しかし、自殺というには不自然な気もしますので、あるいは毒殺かもしれません。ただ、犯人が誰かというと、特定するのが難しいのですが・・・。
 晩年のシュリーマンが、アトランティスの場所を特定する手がかりと考えていた二つの昔話のうちの一つが、ミハリス=アウゲリス編纂の『イソップ物語』「柱の王国」であることは14巻にて明かされましたが、もう一つの手がかりである昔話は、『千一夜物語』「真鍮の都」です。「真鍮の都」の内容については、117話「真鍮の都」と3月29日分のブログで述べました。

 アトランティスの場所については、14巻の最後にコバチがトロヤの真下だと告白し、後に赤穴博士も同じ説だと入矢に明かしました。しかし、119話「コロンブスの足下」まで進んだ現在では、作中でのアトランティスの場所は、スペイン南西部の、ティント川とグアダルキヴィル川の河口で、セビーリャを頂点とした、三角地帯内にあることがほぼ確実と思われます。この三角地帯はかつて海で、その真中にはいくつかの島がありましたが、そのうちの最大の島がアトランティスの中心部のようで、そこはドニャーナ国立自然公園内の「偉大なるウサギ」という遺跡だと思われます。

 以上はすでに先週の時点でほぼ書き終えていたのですが、14巻は、台詞や絵が連載時とは異なっていたり、1巻につき8話分の収録だった1~13巻までとは異なり、9話分が収録されていたりするので、その点についても触れていこうと思います。ほとんど修正せずにそのまま掲載できるかと思っていたら、帰宅してから読んでみて、色々と修正をし、文章を加筆せざるをえなくなったのは誤算でした(笑)。
 14巻が9話分の収録となったのは、最終話が第何話になるか確定したからだと思われますが、では第何話が最終回になるのかというと、現時点では推測するしかありません。14巻の広告ページでは「人類史上最大の謎が、ついに明らかに!!次集堂々完結!!」とあるので、これが重要な手がかりとなりそうです。

 現時点では、121話まで連載が続くのはほぼ確実と思われます(120話の予告には最終回と銘打たれていなかったため)。そうすると、15巻は少なくとも8話以上の収録がほぼ確実となります。かりに121話が最終回となると、14巻は9話、15巻は8話収録となり、やや不自然と思われます。普通は逆になるのではないでしょうか。しかし、最終話が第1話のように増ページ(第1話は40ページありました)だとすると、これでも不自然ではないかな、とも思います。ただ、119話まで進んだ時点で未解決の謎も少なくなく、121話が増ページだとしても、121話で終了するのは苦しいかな、とも思います。そうすると、単行本15巻も9話分の収録で最終回は増ページとなり、122話で終わる可能性が高そうです。
 未解決の謎が少なくないので、最終回が増ページだとしても、122話で終わらせるには、グレコ神父に秘密を喋らせるなど、かなり強引な展開が必要な気もします。早く謎を知りたいという思いもあるいっぽうで、長くこの物語を楽しみたいという思いもあるので、最終回が間近に見えてきた今は、嬉しくもあり寂しくもありといった複雑な心境です。

 さて、連載時と単行本とで変更になった点ですが、まずは112話「柱の王国」におけるデル=ポスト教授とオコーナーとの会話です。デル=ポスト教授が整形をしてなさそうなオコーナーと1年前に会っても、驚いた様子を見せていないことが気になる、と当時は述べましたが、この疑問を解消するような台詞変更がなされています。連載時には、「市民講座でのお話、とても面白かったです」とのオコーナーの挨拶にたいして、デル=ポスト教授は「それはどうも」と答えているのですが、単行本では、デル=ポスト教授の台詞が「どうりで見た顔だ」に変更されています。また、エンドレ=シャカッシュと名乗ったオコーナーが、自分の顔を見つめるデル=ポスト教授にたいして「何か・・・・・・」と尋ねたさいのデル=ポスト教授の返答が、連載時には「いや、同姓同名の知り合いがいたものだからね」となっていたのにたいして、単行本では「いや、見た顔だし、同姓同名の知り合いがいたものだからね」と変更されています。
 つまり、1年前にヴィルヘルム=エンドレがデル=ポスト教授にオコーナーの顔写真を見せていたため、デル=ポスト教授もその顔を記憶にとどめていたのでしょうが、市民講座の出席者ということを聞いて、そのときに見た顔だと判断したため、オコーナーが偽名を使っていたこともあって、死んだはずのオコーナーだ、とデル=ポスト教授はその場では気づかなかった、ということなのでしょう。おそらく、自宅に戻ってヴィルヘルム=エンドレに渡された資料を再度見たとき、その中にオコーナーの写真があったため、はじめて疑問に思ったというか、怖くなったのでしょう。

 次に、同じく112話「柱の王国」におけるコバチの死についてです。連載時には、他殺か自殺か不明なところがあったのですが、単行本では自殺説を印象づける台詞に変わっています。連載時には「わ・・・わたしは終わりだ・・・・・・」となっていたのが、単行本では「わ・・・私が望んだん・・・・・・」と変更されています。ただそれでも、不自然な描写かな、という解釈の成立する余地はありそうですが。
 最後に、113話「夢を見たフクロウ」の最終ページの、「柱の王国」の崩壊が描かれた絵です。連載時には火山の噴火する様子が描かれていて、『イリヤッド』においてはアトランティスの崩壊のさいに噴火したという設定ではなかった気がするなあ、とちょっと疑問に思っていたのですが、単行本では火山は描かれず、雷雨が描かれています。新たに描かれたのでしょうが、絵が差し替えになるとは意外でした。できるだけ矛盾のない描写にしようという製作者(原作者・漫画家・編集者)の意図が感じられて、この差し替えはよかったと思います。

この記事へのコメント

イリヤのファン
2007年04月28日 08:45
管理人さん、サイト開設すごいですね!
うーん、でも、あと3話で終わりですか…さびしいですね。
最後のドニャーナ編は、モロッコ迷宮編のような冒険談にはならないってことでしょうね。
グレコ神父ら山の老人はアトランティスの場所を知っているわけですから、何かの遺跡があったとしても、とっくに跡形もなく破壊されているんじゃないかと思います。以下、私のストーリー予想。
「偉大なるウサギ」でイリヤ達をグレコ神父が待ち受ける。
グレコ神父はイリヤに真実を語り、山の老人への参加を呼びかける。
(つまり、山の老人は、アトランティスの痕跡を消し続け、アトランティス探索者を抹殺し続け、それでも、ドニャーナにたどりついたアトランティス探索者を山の老人に引き込むことで秘密を守ってきた。)
イリヤは拒否し、グレコ神父がイリヤを襲う。
そこへペーテルが入ってきて、グレコ神父と相打ち。
その後のストーリーは、予想できませんが、
結末がどうであれ、アトランティスの場所や人類の禁忌が大々的に世界に発表される展開はないと思います。
あと3話楽しみにしています。管理人さんの解説も楽しみにしています!
2007年04月28日 17:42
イリヤのファンさん、お読み
いただき、ありがとうございます。
122話で終わりというのは私の
推測ですが、後数話で終わるのは
間違いないでしょうね。

この後は、やはりグレコ神父から
入矢に真実が語られるのですかねぇ。
私としては、16巻まで続いて、
入矢が独力で真相にたどりついて
ほしかったのですが。
と言いますか、入矢が周囲の助けを
借りつつ、独力で真相にたどりつく
過程がやや長めに描かれるものだと
ばかり思っていたので、15巻で
完結というのはまったくの予想外
でした(笑)。

ペーテルの動きも気になりますね。
現在の標的はグレコ神父だとしても、
デメルとの決着もつけることになる
のか、気になるところです。

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