『イリヤッド』119話「コロンブスの足下」(『ビッグコミックオリジナル』5/5号)

 最新号が発売されたので、さっそく購入しました。前号では、入矢とレイトン卿が共闘することになり、入矢が新たな手がかりとしてコロンブスに言及するところで終わりました。予告は、「人々の世界観をくつがえした発見者・コロンブスと彼の島との関係は・・・!?驚愕の事実が明らかに・・・次号・・・」、「コロンブスの足跡を追う入矢とレイトンだが・・・!?」となっていて、コロンブスがアトランティスとどう関わってくるのか、共闘した入矢とレイトン卿にたいし、グレコ神父がどう対応するのか、ひじょうに気になっていたのですが・・・。

 さて今回の話は、スペインのセビーリャ(セビリア)の大聖堂を入矢とレイトン卿が訪れる場面から始まります。コロンブスは、プトレマイオスやストラボンの古典、さらには当時の著名な数学者トスカネリに傾倒し、大西洋横断を計画しました。コロンブスは同時に、『東方見聞録』を愛読し、日本や中国に憧れを抱いていましたが、それがスペイン語初版だと入矢は推測し、コロンブスの蔵書があるセビーリャの大聖堂を訪れたというわけです。
 入矢が、あれがコロンブスの墓だとレイトン卿に教えると、レイトン卿は一枚頼むと言って入矢にカメラを渡し、墓の前でポーズをとり、入矢は呆れます。うーん、やはりレイトン卿には子供っぽいところがありますなあ(笑)。大聖堂の神父に、コロンブスの所有していた『東方見聞録』を持ってきてもらった入矢は、さっそく読み始めますが、これはフランチェスカ=ピピノという修道士が1485年にロンバルディア方言本からラテン語に翻訳したもので、コーカサスのイベリアについての記述はありませんでした。

 「キミはいつも、肝心なとこでミスるよな」と嫌味を言うレイトン卿にたいし、入矢は苦い顔をしますが、スペイン語訳ならばラ=ラビダ修道院にあるのではないか、と神父に教えられた二人は、さっそくラ=ラビダ修道院を訪れます。そこの修道院長の庇護の下、コロンブスは近くの港から出たのでした。コロンブスの記念碑の前に立った入矢は、今度は自分を撮ってくれとレイトン卿に頼みますが、レイトン卿に断られて憮然とします。ここでもレイトン卿は子供っぽいところを見せてくれます(笑)。
 ラ=ラビダ修道院にはスペイン語版『東方見聞録』がありましたが、持って来てくれた神父の説明によると、寄贈者はコロンブスの長男ディエゴで、スペイン語は13世紀の成立という当時としては新しい言語だったので、誰が書写してどういう経緯でコロンブスに渡ったのか分かっていない、とのことです。

 スペイン語版『東方見聞録』を読み始めた入矢は、これがルスティケロの肉筆だと即座に気づきます。ルスティケロがアトランティスの手がかりを祖本ではなくスペイン語版にだけ書き残したのは、スペインがアトランティスに近い証拠ではないか、と入矢は推測します。イベリアに関する記述は、次のようなものでした。
 イベリア人は遠く西からやって来た、自分たちが兎だったと信じる人々でした。彼らは大昔に海を渡り、はじめて神を知った人々と出会い、人間になりました。大地から生まれた女王の下、長く幸せに暮らしましたが(入矢は、プラトン『ティマイオス』のアトランティスの女王クレイトーと一致する話だ、と指摘します)、やがて梟の国との戦乱で荒廃し、相次ぐ洪水と地震により海に没しました。

 場面は変わって、スペインのヘレス=デ=ラ=フロンテラの博物館です。グレコ神父の側近らしき男性は、入矢とレイトン卿がサン=ルーカルに向かっている、とグレコ神父に報告します。ルーカルとは、この地に伝わる太陽の女神ルーキアからの派生語で、ルー・ルーグ・ロキといったゲルマンやケルトの太陽神に変化し、最後はルキフェル(ルシファー)になった、とグレコ神父は言います。
 ルキフェルとはキリスト教で悪魔の名前で、そのルーキアがこの柱らしい、とグレコ神父は言い、目の前に展示されている、イベリア半島の新石器時代の遺跡からよく出土する偶像を指します。この柱らしき偶像は何に見えるか?とグレコ神父に尋ねられた側近は、梟の顔です、と答えます。するとグレコ神父は、梟か・・・と意味ありげにつぶやきます。

 場面は変わって、グアダルキヴィル川近くのサンルーカル=デ=バラメーダです。これまで入矢とともにアトランティス探索に関わってきた人々が集まり、立食パーティが開かれています。出席者は、入矢・ユリ・デメル・ロッカ・レイトン卿・イアン=ワード夫妻・ニコス=コー・ゼプコ老人・呉文明(リチャード=ウー)・ピツラ博士・バトラー神父・プリツェルで、パエリアを振舞っているのは、パエリア修行中の葉山瑠依の父です(この経緯については、11巻所収の87話「スペインの星」を参照してください)。
 イアン=ワード夫妻は5巻所収の38話「ユリシーズの帰還」以来、ニコス=コーは8巻所収の61話「天国の豚まん」以来の登場と、久々の顔も見えて、なんだか最終回のような雰囲気ですが(笑)、老体の赤穴博士は仕方ないにしても、サボーや針井やデル=ポスト教授の息子のアントンがいないのは残念でした。まあ、三人ともどうしても都合がつかなかったのだと考えておくことにしましょう(笑)。

 入矢とワードは再会の挨拶をかわし、ワードの妻とユリは互いに自己紹介をします。始皇帝陵の話を聞かせてくれ、とピツラ博士は呉文明に言い、裏切りはなしだぞ、とゼプコ老人はレイトン卿に言います。この中ではとくに裏切りそうな二人だけに、ブラックユーモア的な面白さがあります(笑)。警備は大丈夫なのか?とロッカに尋ねられたデメルは、万全を尽くしていると言い、プリツェルが周囲を警戒しています(明示されていませんが、この他にも警備員がいると思われます)。
 バトラー神父は本場のマンザニーリャとシェリー酒にご満悦で、コーは瑠依の父の作ったパエリアを絶賛します。すると入矢は、アトランティス探索のきっかけをくれた恩人だ、と言って瑠依の父をコーに紹介します。まだ修行中とはいえ、瑠依の父は料理の腕を上げているようで、これなら、瑠依に認められ、さらには前妻と復縁することも可能かもしれません。

 ピツラ博士が「そろそろ本題に入ろうか」と言うと、ユリが「ドクタ・イリヤが我々の待ち望んだ結論にたどり着きました」と言います。入矢が、兎とは5000年以上前にアフリカから移住したイベリア族のことだ、と言うと、巨石文明を欧州中に広め、その後ケルト族と同化した幻の一族ですね、と呉文明が言います。さらに、梟はヘロドトスの記す北アフリカ最古のアテナ神を信奉する種族だ、とイリヤが言うと、ディオドロスのいうアマゾネスのことでもありますな、とバトラー神父が言い、彼らはベルベル人の先祖よね、とロッカが言います。
 では「柱の王国」とは?とゼプコ老人が問うと、入矢は、ティトゥアンの老婆シャリーンから、「柱の王国」を古代ベルベル語でなんというのか聞いてきたが、柱または石の柱を、古代ベルベル語ではタルセッツというのだ、と答えます。タルシシュ(多くの文献に登場しますが、いまだに発見されていません)ですか?と呉文明が尋ねると、『旧約聖書』では最初ノアの子孫として『創世記』第九章に登場する、とバトラー神父が説明し、次に『旧約聖書』の『歴代誌』に登場し、ソロモン王の時代には都市の名となる、とレイトン卿が説明を続けます。

 ソロモン王の船団はタルシシュへ航海し、三年に一度、金鉱・象牙・猿・ヒヒを積んで帰還した、とバトラー神父が説明すると、タルシシュはヘロドトス『歴史』に登場するタルテッソスと同じ国だと考えられている、とピツラ博士が続け、アルガントニオス王が君臨する黄金の国、とレイトン卿が補足します。ではどこにあるのだ?とゼプコ老人が尋ねると、入矢はここの真下だ、と指差します。
 アトランティス人は牛の神事を行なったというが、確かこのあたりは牛と闘牛の発祥地でもある、とワードが言います。ロッカが、ヘラクレスの柱の向こう、領土の端の島の名はガデイラ、というと、ガデイラがカディスならプラトンの記述と一致する、とレイトン卿が言います。しかしプラトンは、そこは島だったと言っています、と呉文明は疑問を呈し、ピツラ博士も、沈んだという伝説はあるのか?と入矢に尋ねます。

 すると、沈みました、と入矢は断言します。タルテッソスはティント川とグアダルキヴィル川の河口、セビーリャを頂点とした三角地帯にあったと言われている、と入矢は説明します。でも陸地ではないか?とゼプコ老人が疑問を呈すると、ここは3000年前まで海で、真中にいくつかの島があったそうだ、と入矢は答えます。ピツラ博士が、今はドニャーナ国立自然公園!?と言うと、欧州で最後の手つかずの自然を保存した10万ヘクタールの公園、とユリが説明し、原生林と沼に砂漠まである、とレイトン卿が補足します(場所についてはこの地図を参照してください)。
 今すぐ全員で行こう、とゼプコ老人は提案しますが、ドニャーナはスペイン政府の許可がなければ勝手に入ることができない、とユリは言います。簡単だ、いつも通りこっそり、とコーが言うと、正式な許可がなければ大規模な発掘はできないぞ、とワードが窘めます。ユリが、真正面から交渉してどうにか許可を得ましたと言うと、全員が歓声をあげます。しかしユリによると、最初の調査で許された人数は5人で、自動車ではなく徒歩でないとダメとのことです。それを聞いたコーは、徒歩なら遠慮する、と言います。

 ゼプコ老人は、とにかくクジで決めようと提案し、入矢・責任者のユリ・護衛のデメルとプリツェルは外せないということで、残りの一人をクジで決めることになります。妻から、あなたは引退したのよね、と言われたワードは、自分も残る、と慌てて言います。ピツラ博士も遠慮すると言い、残る皆さんの警護を担当します、とバトラー神父は言いますが、あんたは酒を飲んでいたいだけだろう、とゼプコ老人がからかいます。瑠依の父も一瞬名乗り出ようとしますが、呉文明と視線が合うと慌てて辞退します。当たりクジはレイトン卿が引き当て、ゼプコ老人はレイトン卿に、悪運の強い奴め!と毒づきます。
 目指す遺跡は3000年分の堆積物の下だが、どうするのだ?とピツラ博士・ワードに尋ねられた入矢は、あてはあると答え、ラ=ラビダ修道院でのレイトン卿との会話を思い出します。コロンブスはアトランティスも探していたという噂を聞いたことがあるか?と尋ねる入矢に、本当か?とレイトン卿は疑問を呈します。これにたいし、コロンブスの入手したポルトガル人の海図にはアンティリアという島が記されていて、コロンブスの航路を忠実にたどると、数日間そちらに意味不明の針路変更をしている、と入矢は答えます。

 「迂闊な奴だな、足下を見ずに」といつものようにレイトン卿が嫌味を言うと(笑)、ルスティケロ直筆の本を入手したのだから、そうとも言えない、と入矢は言います。では間抜けな奴だ、とまたもやレイトン卿が嫌味を言うと(笑)、それは違う、コロンブスは俺のように順を追ってアトランティスの謎を解いてなかった、と入矢は言います。順とは?とレイトン卿が尋ねると、イソップ・兎・ソロモン・聖杯といったシュリーマンとルスティケロのお導きのおかげで、『東方見聞録』スペイン語版の、「彼らは三つの聖なる器に彼の地の記憶を込め、世界の果てに隠した・・・・・・ウサギたちは穴を掘り、地下に女王の神殿を建設した」という文章の意味が理解できるのだ、と入矢はラ=ラビダ修道院で答えたのでした。
 入矢は皆に、ここに「偉大なるウサギ」という場所がある、と地図を指して言い、遺跡(ドルメン)だそうです、とユリが補足すると、目的地はそこですか?とバトラー神父が尋ね、入矢は肯きます。ワードが「いやあ、実に面白い旅だった」と、ピツラ博士が「私はこの冒険で人生拾いなおした」と言い、「イリヤ!ワシらの夢、いや、人類の夢、必ずかなえろ!!」とゼプコ老人が力強く入矢に申し渡すところで今回は終了です。

 今回は、ついに入矢が多数の関係者の前でアトランティスと思われる場所を特定し、前回までの伏線もかなり回収され、まるで最終回かその前回のような雰囲気でしたが(笑)、たいへん面白い内容でした。しかし、「山の老人」がアトランティスを隠蔽し続けてきた理由である、人類の禁忌についてはまだ解明されておらず、最終回が見えてきたとの感はありますが、連載はまだ続きそうです。
 ワードがスペインまで妻を伴ってきたということは、妻が退院したということなのでしょうが、5巻所収の38話「ユリシーズの帰還」では、ワードはいったんアトランティス探索から引退したと言っておきながら、入院中の妻を見舞ったさいには、アトランティスにまだ未練があり、パートナー(入矢のことでしょう)といっしょに見つけるまでやめないことにしたと言っており、それを聞いて妻のほうは、退院したら私もパートナーに加えて、と言っています。そうすると、あなたは引退したのよね、という妻の発言は過去の設定と矛盾するような気もしますが、本題には関わってこないでしょうから、とりあえずあまり気にしないことにします。

 さて、歴史ミステリーでは大きな進展があり、ついにアトランティスの場所を入矢が特定し、前回までの伏線もかなり回収されました。ルスティケロがアトランティスの手がかりをスペイン語版にだけ記したのは、「山の老人」といいますか、当時は複数あった秘密結社の追及をかわすためというのもあるでしょうし、真の賢人ならば、断片的な手がかりからアトランティスの謎を解くことが可能だ、と考えていたためではないかと思われます。
 そのアトランティスの場所については、一時はトロヤ説が大きく取り上げられましたが、けっきょくは入矢の推測が正解ということになりそうで、物語の流れとして、ここからさらに二転三転して、アトランティスの場所が別の場所に特定されるのは不自然だと思います。入矢説だと、たとえば
●アトランティスに女王国が攻め込み、アトランティスが降伏したというディオドロス『歴史叢書』の記述。
●「真鍮の都」エジプト版の、砂漠と沼地を進んで真鍮の都にたどり着いたという記述・・・117話「真鍮の都」より。
●『旧約聖書』にアトランティスが別の名前で語られているという推測・・・10巻所収の74話「ルビコン川を渡れ」より。
●兎の昔話を丹念にたどると、アトランティスの場所が分かるというグレコ神父の発言・・・7巻所収の49話「ウサギの昔話」より。
●聖書の中に最初「人」の名として記された後、「都市」の名に変じた言葉があり、この語源は「柱」だが、それこそ我々が隠すべき秘密なのだ、というグレコ神父の発言・・・116話「トロヤの東」より。
といった伏線が回収できるわけで、これ以上条件の合致する場所を作中で提示するのは、厳しいと思います。厳重な規制がなされているドニャーナ国立自然公園の下にアトランティスがあるという設定は上手く、ここが国立自然公園となったのには「山の老人」の画策もあった、ということなのかもしれません。

 ただ、人類の禁忌とも関係するところがあるのかもしれませんが、アトランティスにかんして未解決の謎も少なくないように思われます。まず年代についてですが、普通タルシシュ=タルテッソスが沈んだのは紀元前7世紀頃とされていて、アトランティスの滅亡はソロモン王の時代よりも前と示唆されている『イリヤッド』での設定と矛盾します。もっともこれは、アトランティスの滅亡後に、同じ場所にアトランティスの後裔またはフェニキア人が建てた国と考えればよいかもしれませんが・・・。
 ミハリス=アウゲリス編纂の『イソップ物語』などに見られる月にまつわる伝承も、入矢説ではまだ上手く説明できないように思われます。「アトランティスはそれを創造した者自らが破壊した」というアリストテレスの発言の真意もまだよく分からず、アトランティス=トロヤ説はほぼ否定されたとはいえ、入矢は赤穴博士に自説を改めて説明し、教えを乞うほうがよいのではないかと思います。どうも入矢説には、人類の禁忌以外にも、まだ重大な見落としがあるような気がするのですが・・・。

 今回は、人類の禁忌についても重要な手がかりが提示されたように思います。アトランティスの近くにあるサンルーカルが、太陽の女神ルーキアの派生語で、それがゲルマンやケルトの太陽神に変化し、最後にはルキフェルになったというグレコ神父の説明は、バチカンが何を恐れて異端派を弾圧したのかということも含めて、人類の禁忌を解明する重要な手がかりのように思われます。ルーキアとは、イベリア半島の新石器時代の遺跡からよく出土する柱状の偶像なのですが、グレコ神父の側近は、模様の刻まれたこの偶像が梟の顔に見える、と言っています。
 しかしグレコ神父は、意味ありげに「フクロウ・・・・・・か・・・・・・」と言っていますので、どうも単純に梟というわけではなく、なにか深い意味がありそうな気がします。そこで思い出されるのは、ネート・アテナ・メドゥーサという地中海沿岸の三女神は元々同一の神だったらしい、という入矢の推測です。アテナの女神である梟は、ネート・メドゥーサとともに、たとえば牛や熊といった別の姿の神から派生し、それが人類の禁忌やアトランティスの秘密も関わってくるのではないか、と思われます。

 『東方見聞録』スペイン語版の、イベリア人は大昔に渡海し、はじめて神を知った人々と出会い、人間になった、との記述は、人類の禁忌の核心に迫るものではないかと思います。もっとも、はじめて神を知った人々が誰なのかというと、これはアトランティスの年代とも関わることなので、現時点では断言が難しいところです。
 イベリア人の渡海年代が5000年前を大きくさかのぼらないとしたら、はじめて神を知った人々はイベリア半島南部の新石器時代の現生人類ということになりそうですが、兎は世界最古の都市=アトランティスを築いた人々の象徴だという赤穴博士の説と矛盾しそうです。もっとも、トロヤ説がほぼ否定された今となっては、赤穴博士のこの考えも否定されるということなのかもしれませんが。
 ただし、これまでの流れからすると、はじめて神を知った人々はネアンデルタール人である可能性が高そうですから、イベリア人は3万年前頃までにアフリカからジブラルタル海峡を渡ってイベリアに移住したことになりそうで、これだと何万年も秘密を保持するというオコーナーの発言(117話「真鍮の都」より)とも合致しますし、イベリア半島で世界最古の都市を築くだけの時間的余裕もありそうです。

 では、「はじめて神を知った人々と出会い、人間になった」とはどう解釈すればよいのでしょうか?ネアンデルタール人と出会う前のイベリア人は、神の信仰という概念すら知らない野蛮な人類で、ネアンデルタール人により人間らしい信仰を持つようになった、ということでしょうか?ただこれだと、ネアンデルタール人がバフォメッド(知恵の源)だという説明が可能ですが、人類共通の禁忌にはなりそうもありません。
 もっとも、アトランティス文明が全人類の宗教・文化の源だとすれば、人類共通の禁忌になりそうです。ただ作中において、アトランティス文明は地中海の諸文明、さらにはもう少し範囲を広げてメソポタミア文明との関わりは指摘されていますが、中国との関わりはわずかに示唆されているだけで、アメリカやオーストラリアの先住民の宗教とのつながりはまったく示唆されていませんから、全人類共通の禁忌になるかというと、疑問もあるのですが。

 予告は、「世界の果てに隠された人類の夢をつきとめるために入矢が動く。次号、ドニャーナで入矢が見る物は・・・!?」、「“偉大なるウサギ”に向かう入矢達がみるのは!?」となっています。27日に発売される単行本にあわせて、10~12巻発売のときのように巻頭カラーになるのではないか、と期待していたのですが、残念ながら次号は巻頭カラーではありません。しかし、はたして入矢たちが遺跡で何を見つけるのか、グレコ神父は入矢たちにどう対応するのか、たいへん気になるところです。
 グレコ神父は入矢一行を“偉大なるウサギ”で待ち構え、入矢を殺そうとするか、説得しようとするのかもしれません。そこへペーテルが現れてグレコ神父を襲い、入矢一行がグレコ神父を助けることによってグレコ神父は改心し、入矢に真実を告げた後に自殺する・・・なんていう展開になるのではないか、と予想してみましたが、私の予想は競馬でも『イリヤッド』でも外れまくりですからなあ(笑)。まあそれはともかくとして、いよいよ物語が終わりに向かいつつあることが実感され、次号も重要な情報が明かされそうで、楽しみでなりません(笑)。

この記事へのコメント

kiki
2007年04月22日 12:02
劉公嗣さん、こんにちは!
記事を楽しみにしていました。
うれしいです。
ありがとうございました。

いよいよ核心に迫ってきた感じですね。
やっぱり、既に出ている話が上手に結び
付いていると思いました。
しかし、ほぼ全員集合のパーティーとは、
おもしろいことを考えましたね。
アトランティス探索隊の中に、
デメルとプリツェルの2人が入っていると
いうことは、ヴァイオレンスな匂いがしますねw。
私的には、アーサー王の話がもっといろいろ
関わってくるかと思っていたんですが、
それほどでもなくてちょっと残念。
色々な謎を早く解明したいですが、
でも、できれば、長~く連載も続けて欲しい。
複雑なファン心理ですw。
2007年04月22日 16:00
これはkikiさん、いつもお読み
いただき、ありがとうございます。

アーサー王絡みの話は入矢の原点ですし、
アトランティスの謎とも関わっているよう
ですから、今後1~2話使って描かれる
可能性があると思います。

いよいよ終わりが見えてきたという感が
ありますが、私も、謎を早く知りたい
と思う一方で、もっと長くこの物語を読み
たいという相反する気持ちがあります。

ともかく、今は次号が楽しみでなりません(笑)。

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