『天からの洪水 アトランティス伝説の解読』
エバーハート=ツァンガー著、服部研二訳で、1997年に新潮社から刊行されました。この本の存在は以前から知っていたのですが、ノンフィクションのアトランティス関連本には当たりの作品があまりないということもあり、敬遠していました。しかし最近になって、このブログに書き込んでくださった「イリヤのファン」さんから面白いと紹介されたので読んでみたのですが、たいへん興味深い内容で、これまでに私が読んだアトランティス関連本のなかではもっとも面白い本でした。
著者は地理考古学者で、その視点からアトランティスがトロヤだという説が展開されているのですが、アトランティスが扱われているからには、もちろん考古学的成果だけではなく、プラトンやホメロスなどの著作といった文献の読解を通じての推測も重視されています。
プラトンの伝えたアトランティス伝説は青銅器時代後期の東地中海を舞台としており、ギリシア勢力とアトランティスとの戦争は、ホメロスなどが語り伝えたトロヤ戦争のことで、アトランティスはトロヤなのだとする本書の推測は、なかなか興味深いものがあります。また、トロヤがその地理的位置(地中海から黒海への入り口にあたります)もあって、当時の一大交易都市だったのではないか、との指摘にも興味深いものがあります。
私が本書を読む気になったのは、もちろん『イリヤッド』に影響されてのことで、最近になって『イリヤッド』において、アトランティスはトロヤだとの説が提示されたからなのですが、どうも『イリヤッド』の重要な参考文献の一つが本書のようです。
考えてみると、作品名が『イリヤッド(ILIAD)』で、『ILIAD』とはホメロスの『イリアス』のラテン語表記であり、これまでの作風からして、そこには重大な意味が込められているでしょうから、素直にアトランティスはトロヤだと考えるべきなのかもしれません。まあそれでも私はまだ、『イリヤッド』における最終的なアトランティスの場所については、イベリア半島南岸説にこだわっていますが・・・。また、入矢とゼプコ老人はスペインとモロッコの間の大西洋に浮かぶ島と考えているようですから、このままトロヤで決まりというわけでもなさそうです。
著者は地理考古学者で、その視点からアトランティスがトロヤだという説が展開されているのですが、アトランティスが扱われているからには、もちろん考古学的成果だけではなく、プラトンやホメロスなどの著作といった文献の読解を通じての推測も重視されています。
プラトンの伝えたアトランティス伝説は青銅器時代後期の東地中海を舞台としており、ギリシア勢力とアトランティスとの戦争は、ホメロスなどが語り伝えたトロヤ戦争のことで、アトランティスはトロヤなのだとする本書の推測は、なかなか興味深いものがあります。また、トロヤがその地理的位置(地中海から黒海への入り口にあたります)もあって、当時の一大交易都市だったのではないか、との指摘にも興味深いものがあります。
私が本書を読む気になったのは、もちろん『イリヤッド』に影響されてのことで、最近になって『イリヤッド』において、アトランティスはトロヤだとの説が提示されたからなのですが、どうも『イリヤッド』の重要な参考文献の一つが本書のようです。
考えてみると、作品名が『イリヤッド(ILIAD)』で、『ILIAD』とはホメロスの『イリアス』のラテン語表記であり、これまでの作風からして、そこには重大な意味が込められているでしょうから、素直にアトランティスはトロヤだと考えるべきなのかもしれません。まあそれでも私はまだ、『イリヤッド』における最終的なアトランティスの場所については、イベリア半島南岸説にこだわっていますが・・・。また、入矢とゼプコ老人はスペインとモロッコの間の大西洋に浮かぶ島と考えているようですから、このままトロヤで決まりというわけでもなさそうです。
この記事へのコメント
私も「なるほど!」と感心しきりで、アトランティス=トロイ説派(?)になってしまいました。
地理考古学の観点もさることならが、著書の半分近くはプラトンの解釈にあてられています。むしろ、そこが好きでした。
ただ、イリヤッドがツァンガーのトロイ説をベースにしているとすると、「山の老人」「人類最初の神」「ネアンデルタール人」「クロマニョン人」などのキーワードは一体どうやってトロイ説に組み込むんだろうと思っちゃいますね。(もちろんツァンガーには、こうしたキーワードは出てきませんので)
イリヤッドでは、イベリア説が今後展開されそうですが、トロイ説を探求される方はツァンガーの第2作「甦るトロイア戦争」をどうぞ。後期青銅器時代の東地中海世界をダイナミックに描いています。
トロイ説が、イリヤッドの中で今後も取り上げられていくのであれば、「海の民」が出てくるんじゃないかと思います(ただの勘ですが)
あと、管理人さんと同感ですが、ホメロスのイリアスを文字って「イリヤッド」なので、イリアスが鍵になるストーリー出てくるのかなぁとも思います。
いたのですが、やはり敬遠していました。
しばらくは色々と調べることもあって読む
予定の本が決まっていますので、その後で
読んでみようと思います。
ツァンガー説は確かに『イリヤッド』の
参考文献の一つになっているようですが、
「山の老人」やネアンデルタール人などと
絡ませたのは、他の本の説を借用しているか、
原作者さんの独創なんでしょうね。
赤穴博士やコバチのトロヤ説については、
アトランティスはトロヤの真下という
のが気になります。現在発掘されている
トロヤ遺跡よりも古いとなると、滅亡時期が
普通言われているトロイア戦争の年代よりも
ずいぶんと前のことになります。作中では
トロイア戦争の年代も繰り上げるのでしょうか。
「海の民」といえば、彼らこそアトラン
ティス人の生き残りだとする本を読んだ
ことがありますが、『イリヤッド』では
まだ出てきませんねぇ。