『イリヤッド』本題とは関係なさそうな話について

 歴史ミステリー・サスペンス・ヒューマンストーリーの融合した『イリヤッド』では、アトランティスをめぐる謎が主題となっており、もうちょっと詳しく述べると、アトランティス文明の場所・年代・文化水準と、「山の老人」がアトランティスを隠蔽し続けてきた理由が主題だといえそうです。
 しかし、ヒューマンストーリーの部分で、ときどき本題と関係なさそうな話が描かれることもあります。たとえば、6巻所収の43話「グラン・ラパン」がそうですが、43話は後の話とつながっており、それも一つだけではなく、二つの話での伏線となっていて、上手い話の創り方だなあ、と感心したものです。

 もっとも、114話まで進行した時点でも、本題とは無関係に見え、その後の話の伏線にもなっていないように思われる話もあります。2巻所収の16話「男の子はつらいよ」、6巻所収の46話「最後の手紙」、8巻所収の61話「天国の豚まん」の3話です。この3話だけ、現時点では本題とのつながりを見出せません。
 いずれも『イリヤッド』らしいヒューマンストーリーで、謎解きの手がかりになっているのではないか、と考えてみたのですが、そうではなさそうです。たまには本題とは無縁な「心温まる話」を用意して、読者を飽きさせないようにしようという意図なのかもしれません。

 おっと、『イリヤッド』の記事では珍しく短くなりました(笑)。

この記事へのコメント

2007年02月15日 20:02
何か奥の深いテーマ性のある作品のようですね。
2007年02月16日 07:37
再度当ブログを訪問していただき、
ありがとうございます。
『イリヤッド』はなかなか奥の深い
面白い漫画だと思います。

21世紀になってからというもの、
ほとんど漫画を読まなくなって
いたのですが、こういう作品も出て
くるとは、さすがに日本の漫画文化の
底力は侮れないな、と改めて思った
ものです。

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