リアン=ブア洞窟の再発掘の許可が下りる

 小柄な人骨の発見された、インドネシア領フローレス島のリアン=ブア洞窟の再発掘の許可がインドネシア当局から下りた、との報道がありました。
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/6294101.stm
 これが人類の新種ホモ=フロレシエンシスなのか、それとも小頭症による発達障害の小柄な現生人類なのかということをめぐって、2004年10月の発表以降激論が展開されており、私もこのブログや昨年10月に公開した人類史についての私見でたびたび取り上げてきました。
https://sicambre.seesaa.net/article/200612article_28.html
http://www5a.biglobe.ne.jp/~hampton/052.htm
 リアン=ブア洞窟で発見された人骨群は、小頭症の現生人類説を主張するインドネシア古人類学界の大御所であるテウク=ヤコブ教授(リアン=ブア洞窟での発見には関わっていません)の研究室に一時期移され、その後返却されましたが、このときに人骨の一部が破損したことの責任問題が、小頭症説と、発見チームが主張する新種説との対立を激化させたところもあるように思われます。

 熱帯環境のため、残念ながらDNAの採取には失敗しましたので、新種か否かを決めるには、ほぼ完全な頭骨の発見が必要となるでしょう。その頭骨が、すでに発見されている18000年前頃の女性頭骨とほぼ同じものだとしたら、小頭症の現生人類ではなく、新種の人類と認定してよいだろうと思います。
 ただ、新種だと認定されたとしても、氷河期にも陸続きになったことのないフローレス島にどうやって渡ったのか、高度な技法を用いた石器は独自に開発したのか、それとも現生人類との接触によるものなのか、脳の大きさと認知能力との関連はどう考えるべきなのか、といった難問は残ります。ともかく、再発掘にてほぼ完全な頭骨が発見され、さらにはDNAが採取されることを願っています。

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