ネアンデルタール人と現生人類との混血

 ルーマニア南西部の「骨の洞窟」で2003~2005年に発見された人骨は、ネアンデルタール人と現生人類との混血を示しているかもしれない、との論文が発表され、報道されました。
 人骨は40000~35000年前頃のもので、基本的には現生人類のものとされましたが、額が後退していることやかなり大きい大臼歯など、ネアンデルタール人と共通する特徴も併せ持っており、これはネアンデルタール人と現生人類との混血を示しているのではないか、と推測されています。

 論文の著者の一人は、ネアンデルタール人研究の世界的権威であるエリック=トリンカウス教授です。トリンカウス教授は、こうした後期更新世の欧州の「紛らわしい人骨」を、次々と混血の結果だと認定しているような印象があり(笑)、はたして本当に混血の結果なのか、混血肯定派の私でさえ疑問に思うことがあります。
 たんに、ネアンデルタール人と現生人類との共通祖先から継承した原始的特徴という可能性もあるでしょう(多数の研究者がこのような疑念を抱いているようですが)。他の研究者も指摘していますが、初期現生人類について、まだ解剖学的特徴がじゅうぶんに把握されているとはいえない状況ですので、初期現生人類の形態的変異幅は、かなり大きい可能性もあると思います。

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