『イリヤッド』アトランティス会議での発言
1話「アトランティス」では、ヴィルヘルム=エンドレが主催したアトランティス会議の様子が描かれていますが、ヴィルヘルム=エンドレ以外は仮面をつけているので、だれがどういう発言をしたのか、分からなくなっています。その後の明示された情報により、誰がどの仮面をつけていたか判明していますので、ここで再現してみようと思います。
まず、誰がどの仮面をつけていたかということですが、以下のようになります。
イアン=ワード・・・・・・・・・・・・ゼウス
呉文明(リチャード=ウー)・・・アポロン
ヨセフ=ベルク・・・・・・・・・・・・プルトーン
カトリーヌ=クロジエ・・・・・・・・アテナ
アリンガム・・・・・・・・・・・・・・・トリトン
ダニエル=オコーナー・・・・・・ヘラクレス
円卓での席順は、エンドレから時計回りに呉文明・クロジエ・アリンガム・ワード・オコーナー・ベルクとなります。エンドレの左隣が呉文明、右隣がベルクということになります。
では、以下にアトランティス会議での発言を再現してみます。
●エンドレ
本日は、世界有数の資産家である皆様方にご足労いただき、大変感謝しております。ただし、ここにお集まりの方々が何者であるか・・・・・・それは、主催者である私しか知らない・・・・・・私はヴィルヘルム・エンドレ。ドイツでささやかな事業を営んでいます。
●ワード
ささやかですと?ドイツ圏屈指の貿易会社のオーナーであるあなたが・・・・・・
●エンドレ
さて、皆さんにお出でいただいた理由は、手紙で述べた通りなのですが・・・・・・私は、ついに今世紀・・・いや、人類最大の謎を解き明かす鍵を発見しました。
●アリンガム
もったいぶらずに教えていただきたい。
●エンドレ
では、まず・・・・・・私の夢にご賛同いただけるなら、共同基金として、開設したスイスのグラーデン銀行の口座に、五百万ユーロを各々ご送金いただきたい。この計画は、いくらでも金がいる。
●オコーナー
あなたを信じていいのだな?
●アリンガム
まあ、そのくらいの金額なら・・・・・・
●エンドレ
さて、これで我々には三千五百万ユーロの軍資金ができた。もちろん、これから話す話を、眉唾と思われる方がいれば、即刻返金します。さらに、皆さんに滑稽な仮面をかぶっていただいた理由は・・・・・・この物語を知るだけで、全員に危険が迫るやもしれないからです。まあ、その理由は後々説明しますが・・・退出なさるなら今です。
●エンドレ
では、始めましょう。これは、伝説のあの男・・・・・・パウル・シュリーマンの日記帳です。
●ベルク
パウル・・・
●クロジエ
でも、シュリーマンの孫パウルは・・・・・・
●エンドレ
ご心配なく。これは正真正銘、彼の手記です。ないように触れる前に、日記帳発見の経緯からご説明しましょう。調査に当たっては、私の傘下の探偵社、ワンツ&ワンツ社に依頼しています。ここは、アドリア海の宝石と詠われた地、バルカン半島のドゥブロヴニクです。ご承知でしょうが、一九九二年、クロアチア独立戦争の際、この美しい城塞都市は・・・・・・セルビアと旧ユーゴスラヴィア連合軍により、攻撃を受け、破壊されました。・・・・・・これは城塞都市内の破壊されたホテルです。彼の日記は、このホテルの壁の中から発見されました。
●ワード
確かに、パウルはバルカンで謎の最期を遂げたといわれているからな。辻褄は合う。
●エンドレ
年老いたホテルのオーナーは、この日記帳を判読できず、とりあえず荷物の中に収め、親戚の住む隣の国ハンガリーに避難しました。その後、日記帳は、ホテルのオーナーの親戚の手に渡りました。その親戚は、ブダペスト郊外、エチェリの中欧最大の蚤の市に露天を持つ骨董商だった。が、彼もまた、日記の価値がわからず、数年間、ただ店頭に並べていたようです。
●クロジエ
・・・・・・・・・
●アリンガム
・・・・・・・・・
●エンドレ
一九九九年、ウィーンで古書店を営むハンガリー系オーストリア人が、エチェリを訪れ、問題の日記帳を入手しました。ちなみに私もハンガリー系・・・・・・そのオーナーとは、昵懇の間柄でした。彼は私に話を持ちかけ、私は二年かけて、日記帳の鑑定を行いました。そしてこれがシュリーマンの孫の日記帳であることを確信し、今日を迎えたのです。
●呉文明
で、で、何が書いてあるのです?
●エンドレ
これを・・・・・・それは、パウルの日記帳の抜粋です。真偽のほど・・・・・・そして私の計画に賛同なさるかどうかは、抜粋を吟味されて後、ご返答いただきたい。
●クロジエ
なるほど、それなら悪い話ではないわね。
●ただし、このパウルの日記帳の内容が真実なら・・・・・・皆さんは、ある組織から命を狙われる!
●アリンガム
ある組織?
●エンドレ
パラノイアか真実か・・・・・・パウルは、紀元前より存在した暗殺集団が、今も秘密を守るため暗躍し、祖父シュリーマンを殺害したと信じているのです。
●オコーナー
馬鹿な・・・・・・
●エンドレ
彼によれば、シュリーマンどころか偉大な哲学者、プラトンまでも彼らに殺され・・・・・・
●ベルク
プラトンが!?
●エンドレ
・・・・・・自分もまた、暗殺の危機にさらされているというのです。
●ワード
なるほど、それであなたは我々に仮面をかぶせ、正体を隠したわけか。
●エンドレ
危険がないとわかるまで、お互いの正体の詮索はやめ、その仮面の名で呼び合うことにします。すなわち・・・・・・ゼウス・・・・・・アテナ・・・・・・アポロン・・・・・・ヘラクレス・・・・・・プルトーン・・・・・・トリトン・・・・・・私は、「ポセイドン」を名乗ります。
●ワード
ではポセイドン、肝心の宝探しは、誰に依頼するのかね?
●エンドレ
ええ、数人、候補者を絞りました。皆さんのご意見をうかがいたい。まずはアール・カドック、フロリダ州出身。海洋調査にあき足らず、この業界に。キューバのりカストロと親交を結び、キューバ沖の沈没船の財宝を発見したのをはじめ、いくつもの沈没船を引き上げたのは、皆さんご承知の通りです。
次に、レイトン卿。資産家で貴族。高潔で信用できる人物です。オックスフォードのベイリアル校出身。英国内のケルトの遺物、中欧の埋もれたギリシア都市やゲルマンの古墳から、貴重な財宝を発掘した実績を持ちます。
ロシアのリュシコフも優秀な人物です。旧ソ連KGB出身、元中佐。ロマノフ王朝の黄金をシベリアで発見。私設の軍隊を持ち、荒仕事には最適の人物でしょう。
荒仕事なら、ロンドンのビンカム社もいいでしょう。SASや各国特殊部隊出身の猛者が揃っています。
●アリンガム?
なるほど・・・・・・適切な選択だろう。
●オコーナー?
うむ。
●エンドレ
ですが、私は個人的にこの男を推したいと思っています。
●ベルク
誰だ、この東洋人は?
●オコーナー
・・・・・・驚いた!あの詐欺師を推薦するというのか?
●呉文明
あの、英国中を騒がせた日本人・・・・・・
●エンドレ
そう、私は彼に夢を託したい・・・・・・シュウゾウ・イリヤに・・・・・・
発言者が曖昧な場合もありましたが、アトランティス会議での発言を再現すると、以上のようになります。この会議で顔写真が紹介されたレイトン卿ですが、8巻で初登場したときと、顔つき・髪の色ともに違っているのが気になります(笑)。高潔で信用できる人物というのもどうなのでしょうか?12巻所収の94話にて、レイトン卿がフェアプレーを口にしたときは、たいていが裏切りだった、と入矢が告白していますから(笑)。
アトランティス会議の発言を再現したのは、何か伏線になっているのではないか、と考えたからなのですが、書き起こしてみても、これといって見つけられませんでした。ただ、「山の老人」の一員であるかもしれないオコーナーが、エンドレから暗殺集団の話を聞いて、「馬鹿な・・・・・・」と発言しているのが気になります。
とりあえず、「山の老人」の存在を否定したのかもしれませんが、本当に「山の老人」の一員だとしたら、沈黙しているようにも思われます。オコーナーと「山の老人」の関係については、次号あたりで明らかになることを期待しています。
この他に気になったのは、呉文明の「で、で、何が書いてあるのです?」という発言で、若さと人柄の良さが出ているように思われます(笑)。考えてみると、ヴィルヘルム=エンドレがアトランティス会議に召集した6人のうち、ほとんどキャラが明かにされていないアリンガムを除くと、ベルク・クロジエ・オコーナーの3人は明らかに人格に問題があり(笑)、この3人よりはずっとまともなワードにしても、長期間家族を放置していましたから、人格面で問題のなさそうなのは呉文明くらいです。まあでも、その呉文明も入矢・ゼプコ老人といっしょに始皇帝陵に侵入したわけですが・・・。
ヴィルヘルム=エンドレは、ゼプコ老人を胡散臭くて信用できないとして、アトランティス探索の仲間とすることを避けましたが、資産・アトランティスに関する情報重視とはいえ、他の6人を選考したさいに人格面は考慮しなかったのでしょうか?さらに、オコーナー率いる企業グループは、様々な問題を抱えていて、捜査の手が及びそうだったのに、そうした情報も得ていなかったのでしょうか?どうも、ヴィルヘルム=エンドレの選考に問題があったように思えてなりません。
まず、誰がどの仮面をつけていたかということですが、以下のようになります。
イアン=ワード・・・・・・・・・・・・ゼウス
呉文明(リチャード=ウー)・・・アポロン
ヨセフ=ベルク・・・・・・・・・・・・プルトーン
カトリーヌ=クロジエ・・・・・・・・アテナ
アリンガム・・・・・・・・・・・・・・・トリトン
ダニエル=オコーナー・・・・・・ヘラクレス
円卓での席順は、エンドレから時計回りに呉文明・クロジエ・アリンガム・ワード・オコーナー・ベルクとなります。エンドレの左隣が呉文明、右隣がベルクということになります。
では、以下にアトランティス会議での発言を再現してみます。
●エンドレ
本日は、世界有数の資産家である皆様方にご足労いただき、大変感謝しております。ただし、ここにお集まりの方々が何者であるか・・・・・・それは、主催者である私しか知らない・・・・・・私はヴィルヘルム・エンドレ。ドイツでささやかな事業を営んでいます。
●ワード
ささやかですと?ドイツ圏屈指の貿易会社のオーナーであるあなたが・・・・・・
●エンドレ
さて、皆さんにお出でいただいた理由は、手紙で述べた通りなのですが・・・・・・私は、ついに今世紀・・・いや、人類最大の謎を解き明かす鍵を発見しました。
●アリンガム
もったいぶらずに教えていただきたい。
●エンドレ
では、まず・・・・・・私の夢にご賛同いただけるなら、共同基金として、開設したスイスのグラーデン銀行の口座に、五百万ユーロを各々ご送金いただきたい。この計画は、いくらでも金がいる。
●オコーナー
あなたを信じていいのだな?
●アリンガム
まあ、そのくらいの金額なら・・・・・・
●エンドレ
さて、これで我々には三千五百万ユーロの軍資金ができた。もちろん、これから話す話を、眉唾と思われる方がいれば、即刻返金します。さらに、皆さんに滑稽な仮面をかぶっていただいた理由は・・・・・・この物語を知るだけで、全員に危険が迫るやもしれないからです。まあ、その理由は後々説明しますが・・・退出なさるなら今です。
●エンドレ
では、始めましょう。これは、伝説のあの男・・・・・・パウル・シュリーマンの日記帳です。
●ベルク
パウル・・・
●クロジエ
でも、シュリーマンの孫パウルは・・・・・・
●エンドレ
ご心配なく。これは正真正銘、彼の手記です。ないように触れる前に、日記帳発見の経緯からご説明しましょう。調査に当たっては、私の傘下の探偵社、ワンツ&ワンツ社に依頼しています。ここは、アドリア海の宝石と詠われた地、バルカン半島のドゥブロヴニクです。ご承知でしょうが、一九九二年、クロアチア独立戦争の際、この美しい城塞都市は・・・・・・セルビアと旧ユーゴスラヴィア連合軍により、攻撃を受け、破壊されました。・・・・・・これは城塞都市内の破壊されたホテルです。彼の日記は、このホテルの壁の中から発見されました。
●ワード
確かに、パウルはバルカンで謎の最期を遂げたといわれているからな。辻褄は合う。
●エンドレ
年老いたホテルのオーナーは、この日記帳を判読できず、とりあえず荷物の中に収め、親戚の住む隣の国ハンガリーに避難しました。その後、日記帳は、ホテルのオーナーの親戚の手に渡りました。その親戚は、ブダペスト郊外、エチェリの中欧最大の蚤の市に露天を持つ骨董商だった。が、彼もまた、日記の価値がわからず、数年間、ただ店頭に並べていたようです。
●クロジエ
・・・・・・・・・
●アリンガム
・・・・・・・・・
●エンドレ
一九九九年、ウィーンで古書店を営むハンガリー系オーストリア人が、エチェリを訪れ、問題の日記帳を入手しました。ちなみに私もハンガリー系・・・・・・そのオーナーとは、昵懇の間柄でした。彼は私に話を持ちかけ、私は二年かけて、日記帳の鑑定を行いました。そしてこれがシュリーマンの孫の日記帳であることを確信し、今日を迎えたのです。
●呉文明
で、で、何が書いてあるのです?
●エンドレ
これを・・・・・・それは、パウルの日記帳の抜粋です。真偽のほど・・・・・・そして私の計画に賛同なさるかどうかは、抜粋を吟味されて後、ご返答いただきたい。
●クロジエ
なるほど、それなら悪い話ではないわね。
●ただし、このパウルの日記帳の内容が真実なら・・・・・・皆さんは、ある組織から命を狙われる!
●アリンガム
ある組織?
●エンドレ
パラノイアか真実か・・・・・・パウルは、紀元前より存在した暗殺集団が、今も秘密を守るため暗躍し、祖父シュリーマンを殺害したと信じているのです。
●オコーナー
馬鹿な・・・・・・
●エンドレ
彼によれば、シュリーマンどころか偉大な哲学者、プラトンまでも彼らに殺され・・・・・・
●ベルク
プラトンが!?
●エンドレ
・・・・・・自分もまた、暗殺の危機にさらされているというのです。
●ワード
なるほど、それであなたは我々に仮面をかぶせ、正体を隠したわけか。
●エンドレ
危険がないとわかるまで、お互いの正体の詮索はやめ、その仮面の名で呼び合うことにします。すなわち・・・・・・ゼウス・・・・・・アテナ・・・・・・アポロン・・・・・・ヘラクレス・・・・・・プルトーン・・・・・・トリトン・・・・・・私は、「ポセイドン」を名乗ります。
●ワード
ではポセイドン、肝心の宝探しは、誰に依頼するのかね?
●エンドレ
ええ、数人、候補者を絞りました。皆さんのご意見をうかがいたい。まずはアール・カドック、フロリダ州出身。海洋調査にあき足らず、この業界に。キューバのりカストロと親交を結び、キューバ沖の沈没船の財宝を発見したのをはじめ、いくつもの沈没船を引き上げたのは、皆さんご承知の通りです。
次に、レイトン卿。資産家で貴族。高潔で信用できる人物です。オックスフォードのベイリアル校出身。英国内のケルトの遺物、中欧の埋もれたギリシア都市やゲルマンの古墳から、貴重な財宝を発掘した実績を持ちます。
ロシアのリュシコフも優秀な人物です。旧ソ連KGB出身、元中佐。ロマノフ王朝の黄金をシベリアで発見。私設の軍隊を持ち、荒仕事には最適の人物でしょう。
荒仕事なら、ロンドンのビンカム社もいいでしょう。SASや各国特殊部隊出身の猛者が揃っています。
●アリンガム?
なるほど・・・・・・適切な選択だろう。
●オコーナー?
うむ。
●エンドレ
ですが、私は個人的にこの男を推したいと思っています。
●ベルク
誰だ、この東洋人は?
●オコーナー
・・・・・・驚いた!あの詐欺師を推薦するというのか?
●呉文明
あの、英国中を騒がせた日本人・・・・・・
●エンドレ
そう、私は彼に夢を託したい・・・・・・シュウゾウ・イリヤに・・・・・・
発言者が曖昧な場合もありましたが、アトランティス会議での発言を再現すると、以上のようになります。この会議で顔写真が紹介されたレイトン卿ですが、8巻で初登場したときと、顔つき・髪の色ともに違っているのが気になります(笑)。高潔で信用できる人物というのもどうなのでしょうか?12巻所収の94話にて、レイトン卿がフェアプレーを口にしたときは、たいていが裏切りだった、と入矢が告白していますから(笑)。
アトランティス会議の発言を再現したのは、何か伏線になっているのではないか、と考えたからなのですが、書き起こしてみても、これといって見つけられませんでした。ただ、「山の老人」の一員であるかもしれないオコーナーが、エンドレから暗殺集団の話を聞いて、「馬鹿な・・・・・・」と発言しているのが気になります。
とりあえず、「山の老人」の存在を否定したのかもしれませんが、本当に「山の老人」の一員だとしたら、沈黙しているようにも思われます。オコーナーと「山の老人」の関係については、次号あたりで明らかになることを期待しています。
この他に気になったのは、呉文明の「で、で、何が書いてあるのです?」という発言で、若さと人柄の良さが出ているように思われます(笑)。考えてみると、ヴィルヘルム=エンドレがアトランティス会議に召集した6人のうち、ほとんどキャラが明かにされていないアリンガムを除くと、ベルク・クロジエ・オコーナーの3人は明らかに人格に問題があり(笑)、この3人よりはずっとまともなワードにしても、長期間家族を放置していましたから、人格面で問題のなさそうなのは呉文明くらいです。まあでも、その呉文明も入矢・ゼプコ老人といっしょに始皇帝陵に侵入したわけですが・・・。
ヴィルヘルム=エンドレは、ゼプコ老人を胡散臭くて信用できないとして、アトランティス探索の仲間とすることを避けましたが、資産・アトランティスに関する情報重視とはいえ、他の6人を選考したさいに人格面は考慮しなかったのでしょうか?さらに、オコーナー率いる企業グループは、様々な問題を抱えていて、捜査の手が及びそうだったのに、そうした情報も得ていなかったのでしょうか?どうも、ヴィルヘルム=エンドレの選考に問題があったように思えてなりません。
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