『イリヤッド』12巻(4)
12月7日分の続きです。
https://sicambre.seesaa.net/article/200612article_8.html
入矢・バトラー神父・ゼプコ老人の三人がメキシコで言い争っているころ、入矢の古くからのライバルで、カトリーヌ=クロジエの依頼でアトランティスを探しているレイトン卿は、カナリア諸島のテネリフェ島を訪れていました。
ラモンというガイドから、テネリフェ島のグイマーにあるピラミッドについて聞かされたレイトン卿は、当初は否定的だったのですが、実物を見ると、本物と認めます。ラモンから、テネリフェ島には9人の王がいた、という伝説を聞きつつ、ピラミッドを見学していたレイトン卿は、自分たちを看視している男の存在に気づき、逃げるふりをして男に自分たちを追いかけさせ、接近したところでつかまえます。
この男はエンリケといい、ラモンの知人で有名な盗掘屋でもあり、古代の墓からミイラを売り出しては観光客に売りつけている、とラモンがレイトン卿に説明します。
エンリケは、特別なミイラを見たくないか、とレイトン卿を誘います。グアンチェスの伝説では、はるか太古に故郷の楽園が沈んだため、人々は島に流れ着いたとされる、とエンリケは語り、レイトン卿とラモンは、エンリケの誘いに乗って彼の後をついていき、山を登っていきます。
エンリケはレイトン卿に、テネリフェ島には五組の双子の王国があったという、プラトンのアトランティス伝説と同じ話を語ります。テネリフェの王は9人だろう、とレイトン卿が反問すると、生きている王が9人で、もう一人「冥界の王」がいたのだ、とエンリケは答えます。
エンリケは、「冥界の王」には、遺体に失われた楽園の場所を示した地図が描かれたという伝説があり、その伝説通りのミイラを発見したのだ、と言います。三人は、山中の洞窟にあるグアンチェスの墓場に到着します。そこには、グアンチェスのミイラが多数安置されており、その奥に「冥界の王」のミイラが安置されていました。
ところが、実はエンリケとラモンはグルで、この「冥界の王」のミイラは偽者なのでした。レイトン卿はそのことを見抜きますが、どの時点で気づいたか、エンリケとラモンにどう対応したのか、ということは作中では描かれていません。
一方、入矢・バトラー神父・ゼプコ老人の三人は、カナリア諸島のグランカナリア島にある自然人類博物館を訪れていました。カナリア諸島行きを渋っていた入矢でしたが、けっきょくはゼプコ老人の意見にしたがってカナリア諸島に来たのでした。
しかしゼプコ老人は、アトランティスの本命はカナリア諸島でもテネリフェ島のほうだ、と言って、相変わらず不機嫌です。入矢は、いきなりピラミッドに行ったらただの観光客にすぎず、グアンチェスについて知るというような地道な下準備が必要で、それには自然人類博物館が最適なのだ、と言いますが、ゼプコ老人は、また学者論かと相変わらず不満な様子を隠せません。
ゼプコ老人はシュリーマンを例にあげて、学者がシュリーマンの偉業をなかなか認めず、認めたら認めたで、今度はただの幸運と言った、と述べて、学者はひねくれ者の集まりだ、と入矢を非難します。
入矢がそういうことではない、と言おうとすると、ゼプコ老人は、では自分に謝ってみろ、と言い出す始末で、入矢が謝罪を拒むと、学者は絶対謝れない人種だと毒づき、二人の関係は険悪なままです。
バトラー神父は場をとりなそうとして、二人をグアンチェスの頭蓋骨標本が多数ある展示室へと誘います。そこで標本を見た入矢は、グアンチェスはアフリカ・北欧・地中海からの漂流者の混血だが、カナリア諸島最古の住民はクロマニヨン人であることに気づき、カナリア諸島がアトランティスと関係があるかもしれないことを認め、ゼプコ老人に謝罪します。
欧州系の祖先であるクロマニヨン人がいたことが、なぜアトランティスと結びつくのか、疑問に思うゼプコ老人でしたが、入矢は、平均身長2メートルの美しい白人種のクロマニヨン人は欧州系の先祖ではなく、その遺伝子はどこかに消えたものの、それでも最古のホモ=サピエンスであり、生きたネアンデルタール人を見た唯一の新人であるとともに、洞窟画という芸術を発明した偉大な人々だった、と説明します。
バトラー神父から、クロマニヨン人とアトランティスの関係を訊かれた入矢は、プラトンのいう12000年前というアトランティスの年代は、考古学的にはクロマニヨン人の時代で、彼らは、アトランティスを知っていたか、もしくは自身がアトランティス人だった可能性がある、と説明します。
三人が話しているところにレイトン卿が登場し、入矢に「キミもとうとうディオドロスの書物に気づいたようだね」と話しかけます。何かつかんだのか?と入矢がレイトン卿に訊くと、レイトン卿は、テネリフェ島のグイマーのピラミッドは一見の価値があるぞ、と答え、「つくづく私はフェアプレー精神が刷り込まれているらしい。少々金はかかるが、グイマーに行ったら、ラモンというガイドを雇いたまえ。面白い場所に案内してくれる。ヒントは、“冥界の王”と体に描かれた楽園の地図だ」と教えます。偽物と知りつつ入矢に紹介するあたり、レイトン卿の人の悪さが出ています(笑)。
この後レイトン卿は、バルセロナで依頼主のクロジエと会い、カナリア諸島についての報告書を渡します。報告書を受け取ったクロジエは、バルセロナで「山の老人」の幹部であるグレコ神父の第一の側近的立場にある男性(何度か登場していますが、名前は明示されていません)に会い、報告書を見せて、けっきょくカナリア諸島はアトランティスではなかった、と述べます。
ミイラが偽物と知りつつ、ペテン師を入矢に紹介したレイトン卿は意地悪よね、とクロジエが話しかけると、男性の顔色が変わり、席を外して携帯電話で連絡をとります。明示されてはいませんが、どうもこのとき、「山の老人」の幹部に相談し、その幹部が報告を受けてテネリフェ島に暗殺部隊を送ったようです。
https://sicambre.seesaa.net/article/200612article_8.html
入矢・バトラー神父・ゼプコ老人の三人がメキシコで言い争っているころ、入矢の古くからのライバルで、カトリーヌ=クロジエの依頼でアトランティスを探しているレイトン卿は、カナリア諸島のテネリフェ島を訪れていました。
ラモンというガイドから、テネリフェ島のグイマーにあるピラミッドについて聞かされたレイトン卿は、当初は否定的だったのですが、実物を見ると、本物と認めます。ラモンから、テネリフェ島には9人の王がいた、という伝説を聞きつつ、ピラミッドを見学していたレイトン卿は、自分たちを看視している男の存在に気づき、逃げるふりをして男に自分たちを追いかけさせ、接近したところでつかまえます。
この男はエンリケといい、ラモンの知人で有名な盗掘屋でもあり、古代の墓からミイラを売り出しては観光客に売りつけている、とラモンがレイトン卿に説明します。
エンリケは、特別なミイラを見たくないか、とレイトン卿を誘います。グアンチェスの伝説では、はるか太古に故郷の楽園が沈んだため、人々は島に流れ着いたとされる、とエンリケは語り、レイトン卿とラモンは、エンリケの誘いに乗って彼の後をついていき、山を登っていきます。
エンリケはレイトン卿に、テネリフェ島には五組の双子の王国があったという、プラトンのアトランティス伝説と同じ話を語ります。テネリフェの王は9人だろう、とレイトン卿が反問すると、生きている王が9人で、もう一人「冥界の王」がいたのだ、とエンリケは答えます。
エンリケは、「冥界の王」には、遺体に失われた楽園の場所を示した地図が描かれたという伝説があり、その伝説通りのミイラを発見したのだ、と言います。三人は、山中の洞窟にあるグアンチェスの墓場に到着します。そこには、グアンチェスのミイラが多数安置されており、その奥に「冥界の王」のミイラが安置されていました。
ところが、実はエンリケとラモンはグルで、この「冥界の王」のミイラは偽者なのでした。レイトン卿はそのことを見抜きますが、どの時点で気づいたか、エンリケとラモンにどう対応したのか、ということは作中では描かれていません。
一方、入矢・バトラー神父・ゼプコ老人の三人は、カナリア諸島のグランカナリア島にある自然人類博物館を訪れていました。カナリア諸島行きを渋っていた入矢でしたが、けっきょくはゼプコ老人の意見にしたがってカナリア諸島に来たのでした。
しかしゼプコ老人は、アトランティスの本命はカナリア諸島でもテネリフェ島のほうだ、と言って、相変わらず不機嫌です。入矢は、いきなりピラミッドに行ったらただの観光客にすぎず、グアンチェスについて知るというような地道な下準備が必要で、それには自然人類博物館が最適なのだ、と言いますが、ゼプコ老人は、また学者論かと相変わらず不満な様子を隠せません。
ゼプコ老人はシュリーマンを例にあげて、学者がシュリーマンの偉業をなかなか認めず、認めたら認めたで、今度はただの幸運と言った、と述べて、学者はひねくれ者の集まりだ、と入矢を非難します。
入矢がそういうことではない、と言おうとすると、ゼプコ老人は、では自分に謝ってみろ、と言い出す始末で、入矢が謝罪を拒むと、学者は絶対謝れない人種だと毒づき、二人の関係は険悪なままです。
バトラー神父は場をとりなそうとして、二人をグアンチェスの頭蓋骨標本が多数ある展示室へと誘います。そこで標本を見た入矢は、グアンチェスはアフリカ・北欧・地中海からの漂流者の混血だが、カナリア諸島最古の住民はクロマニヨン人であることに気づき、カナリア諸島がアトランティスと関係があるかもしれないことを認め、ゼプコ老人に謝罪します。
欧州系の祖先であるクロマニヨン人がいたことが、なぜアトランティスと結びつくのか、疑問に思うゼプコ老人でしたが、入矢は、平均身長2メートルの美しい白人種のクロマニヨン人は欧州系の先祖ではなく、その遺伝子はどこかに消えたものの、それでも最古のホモ=サピエンスであり、生きたネアンデルタール人を見た唯一の新人であるとともに、洞窟画という芸術を発明した偉大な人々だった、と説明します。
バトラー神父から、クロマニヨン人とアトランティスの関係を訊かれた入矢は、プラトンのいう12000年前というアトランティスの年代は、考古学的にはクロマニヨン人の時代で、彼らは、アトランティスを知っていたか、もしくは自身がアトランティス人だった可能性がある、と説明します。
三人が話しているところにレイトン卿が登場し、入矢に「キミもとうとうディオドロスの書物に気づいたようだね」と話しかけます。何かつかんだのか?と入矢がレイトン卿に訊くと、レイトン卿は、テネリフェ島のグイマーのピラミッドは一見の価値があるぞ、と答え、「つくづく私はフェアプレー精神が刷り込まれているらしい。少々金はかかるが、グイマーに行ったら、ラモンというガイドを雇いたまえ。面白い場所に案内してくれる。ヒントは、“冥界の王”と体に描かれた楽園の地図だ」と教えます。偽物と知りつつ入矢に紹介するあたり、レイトン卿の人の悪さが出ています(笑)。
この後レイトン卿は、バルセロナで依頼主のクロジエと会い、カナリア諸島についての報告書を渡します。報告書を受け取ったクロジエは、バルセロナで「山の老人」の幹部であるグレコ神父の第一の側近的立場にある男性(何度か登場していますが、名前は明示されていません)に会い、報告書を見せて、けっきょくカナリア諸島はアトランティスではなかった、と述べます。
ミイラが偽物と知りつつ、ペテン師を入矢に紹介したレイトン卿は意地悪よね、とクロジエが話しかけると、男性の顔色が変わり、席を外して携帯電話で連絡をとります。明示されてはいませんが、どうもこのとき、「山の老人」の幹部に相談し、その幹部が報告を受けてテネリフェ島に暗殺部隊を送ったようです。
この記事へのコメント
風邪を引いていました。
も~ろ~としながら、読ませて頂きましたw。
クロジェ&レイトン卿コンビが、山の老人に泳がされている点が、
なんだか納得できませんw。
山の老人側に引き入れられるわけでもなく、レイトン卿が
入矢よりもずっと優秀なトレジャーハンターという
設定なのに始末もされないというのが奇妙でw。
でも、この人達もお話しを盛り上げるのに必要なのでしょうね。
入矢とゼプコ老人の不仲を和解に向かわせながら、
カナリア諸島とアトランティスの繋がりを説明していくところ
なんかは、原作者さん、本当にうまいですね。