ネアンデルタール人のゲノム解読の途中経過報告
米独の研究機関が、クロアチアのヴィンディヤ洞窟で発見された、38000年前頃のネアンデルタール人の大腿骨から核DNAを取り出し、ゲノム解読を進めているということは、以前このブログでも紹介しましたが、
https://sicambre.seesaa.net/article/200607article_21.html
現時点での成果が、『nature』と『Science』で公表され、マスコミでも報道されました。
http://www.nature.com/nature/focus/neanderthaldna/index.html
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2006/1115/1
http://www.asahi.com/science/news/TKY200611150517.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061116-00000020-mai-soci
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/6146908.stm
『nature』では特設サイトで大きく扱われていて、アファレンシスの子供の化石やフロレシエンシスの発見に匹敵する評価となっています。
『nature』で公表された研究は、ネアンデルタール人のDNAの研究の開拓者ともいうべきペーボ教授の研究チームによるもので、配列を直接読むことによって、100万以上の塩基対の復元に成功しました。
『Science』で公表された研究は、ルービン教授の研究チームによるもので、‘metagenomics(微生物群集のゲノム解析)’という分析法が用いられています。この分析法は、ネアンデルタール人骨から採取したDNA試料をバクテリアに組み込み、複製させるもので、65250塩基対の復元に成功し、DNAライブラリーを構築しています。こちらは、直接の解読より復元数が少ないのですが、特定の配列を調べようとするときに有利だといえます。
ルービン教授のチームは、ネアンデルタール人と現生人類との最後の共通祖先が存在していたのは70万年前頃と推測していますが、ペーボ教授のチームは、ネアンデルタール人の系統と現生人類の系統が分岐したのは569000~465000年前頃だろう、と推測しています。
また両チームとも、ネアンデルタール人と現生人類のゲノムの99.5%が一致しているだろう、と推測しています。ペーボ教授のチームは、ネアンデルタール人は3000人程度の小集団から進化したのだろう、とも推測しています。
両者の混血の可能性について、ルービン教授のチームは、痕跡を見つけられなかった、としていますが、ペーボ教授のチームは、現生人類からネアンデルタール人への遺伝的貢献を示唆し、男性の現生人類と女性のネアンデルタール人との混血がもっともありえそうだ、としています。しかしどちらの研究チームも、混血問題については、もっと多くの配列の確定が必要だとの認識で一致しています。
これまでにも何度か触れてきた、ネアンデルタール人のゲノム解読作業の最初の報告となりますが、ペーボ教授のチームでも、30億ほどある塩基対のうちの100万、つまり全体の0.03%を解読したにすぎないのですから、今後のさらなる成果に期待したいところです。
ペーボ教授のチームは、現時点でもネアンデルタール人と現生人類との混血を示唆しているので、今後解読が進めば、混血の証拠が多数みつかるのではないか、と私は期待しています。
https://sicambre.seesaa.net/article/200607article_21.html
現時点での成果が、『nature』と『Science』で公表され、マスコミでも報道されました。
http://www.nature.com/nature/focus/neanderthaldna/index.html
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2006/1115/1
http://www.asahi.com/science/news/TKY200611150517.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061116-00000020-mai-soci
http://news.bbc.co.uk/2/hi/science/nature/6146908.stm
『nature』では特設サイトで大きく扱われていて、アファレンシスの子供の化石やフロレシエンシスの発見に匹敵する評価となっています。
『nature』で公表された研究は、ネアンデルタール人のDNAの研究の開拓者ともいうべきペーボ教授の研究チームによるもので、配列を直接読むことによって、100万以上の塩基対の復元に成功しました。
『Science』で公表された研究は、ルービン教授の研究チームによるもので、‘metagenomics(微生物群集のゲノム解析)’という分析法が用いられています。この分析法は、ネアンデルタール人骨から採取したDNA試料をバクテリアに組み込み、複製させるもので、65250塩基対の復元に成功し、DNAライブラリーを構築しています。こちらは、直接の解読より復元数が少ないのですが、特定の配列を調べようとするときに有利だといえます。
ルービン教授のチームは、ネアンデルタール人と現生人類との最後の共通祖先が存在していたのは70万年前頃と推測していますが、ペーボ教授のチームは、ネアンデルタール人の系統と現生人類の系統が分岐したのは569000~465000年前頃だろう、と推測しています。
また両チームとも、ネアンデルタール人と現生人類のゲノムの99.5%が一致しているだろう、と推測しています。ペーボ教授のチームは、ネアンデルタール人は3000人程度の小集団から進化したのだろう、とも推測しています。
両者の混血の可能性について、ルービン教授のチームは、痕跡を見つけられなかった、としていますが、ペーボ教授のチームは、現生人類からネアンデルタール人への遺伝的貢献を示唆し、男性の現生人類と女性のネアンデルタール人との混血がもっともありえそうだ、としています。しかしどちらの研究チームも、混血問題については、もっと多くの配列の確定が必要だとの認識で一致しています。
これまでにも何度か触れてきた、ネアンデルタール人のゲノム解読作業の最初の報告となりますが、ペーボ教授のチームでも、30億ほどある塩基対のうちの100万、つまり全体の0.03%を解読したにすぎないのですから、今後のさらなる成果に期待したいところです。
ペーボ教授のチームは、現時点でもネアンデルタール人と現生人類との混血を示唆しているので、今後解読が進めば、混血の証拠が多数みつかるのではないか、と私は期待しています。
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