『イリヤッド』87話「スペインの星」(11巻所収)
主要登場人物は、入矢の母である淑子・葉山瑠依・瑠依の母である美穂・瑠依の父(妻とは離婚しており、姓名は明示されていません)です。主人公の入矢は登場しません。
葉山瑠依は、入矢堂によく現れる、子供離れした知識と感性の持ち主で、入矢をしばしばやり込めますが、とくに料理についての知識と感性が優れています。瑠依の母の葉山美穂は、東大病院の美人女医です。
葉山瑠依の父は、医療機器会社の営業マンで、美穂と結婚して瑠依が生まれましたが、結婚後は、ムー大陸などと夢みたいなことばかり言うので、美穂は男らしくないといって離婚しました。離婚後は、土日のみ瑠依と会えることになっています。
物語は、瑠依とその父が、淑子が留守番をしている入矢堂を訪れるところから始まります。
瑠依の父は、入矢堂で『巨人の星』を発見して興奮します。淑子が瑠依に、瑠依君は知らないだろうけど・・・と言うと、瑠依は、「自分の果たせなかった夢のため、息子を巨人軍に入れようと執念を燃やす父・・・・・・それに従う息子の熱血感動スポ根漫画でしょ?」と言い、またしても子供離れした知識を披露します。
入矢堂を出た瑠依と父は、スペイン料理店に入ります。相変わらず、瑠依の食に関する知識はすごく、父を圧倒します。子羊のローストが出されると、父は入矢がヘラクレスの謎に挑んでいることを思い出し、ヘラクレスの求めた黄金の林檎は、西の果てにある不死の果実、たぶんオレンジかレモンだろう、と言いますが、瑠依は、ギリシア人はインド原産の柑橘類は4世紀までしらなかったから、それは違う、と言います。
すると父は、ヘラクレス神話には二説あって、ヘラクレスが探していたのは黄金の羊という説もある、と述べます。ティトゥアンの玄室にも描かれていた黄金の羊の正体はよく分かりませんが、ヘラクレスは、ソロモン王の命でアトランティスを探したフェニキア人の神であり、そのヘラクレスの探したものということは、黄金の羊とは、アトランティス文明を象徴するものなのでしょうか?
持っていたナイフを置いた父が、「で、あれだ・・・・・・お母ちゃんは・・・・・・」と瑠依に切り出すと、瑠依は、「ママだよ。お母ちゃんなんて呼ぶと、ママ死ぬほど怒るよ」とたしなめます。
父が、ママと呼びなおし、「ママはまだおまえに医者か弁護士になれっていってるのか?」と訊くと、瑠依は、「うん、星一徹みたいにね。弁護士か医者が『社会の星』だと頑なに信じてるよ」と答えます。瑠依はどうしたい?と尋ねる父に、瑠依は「グルメニスト」という職を模索している、と答えます。
その答えを聞いた父は、「お父ちゃんは、瑠依に好きに生きてほしい。夢をかなえてほしいと思っている」と言いますが、逆に瑠依に、「そういうお父ちゃんは好きに生きているの?」と訊かれ、返答に窮してしまいます。
過去に語っていた、考古学者・ラーメン屋・小説家といった夢はすべて諦めた、と語る父の様子をみて、瑠依は、自分に話があるのでは?と父に問いただします。
父は、意を決して、このスペイン料理店に通ってスペイン料理のおいしさに心を打たれたので、スペインレストランを開くために、スペインのマドリッドに一年間留学して語学と料理(年も年なので、パエリア専門ということで)を学ぶこと、会社には自己啓発のため一年間休める制度があるが、退路を断つ意味で、会社をやめて留学する計画であることを語ります。
これにたいして瑠依は、相変わらず甘い、と手厳しく言います。スペインは広く、それぞれの地方に郷土料理があり、師匠のシェフを選ぶにしても、その出身地と専門料理を考慮に入れなければいけないし、パエリアの本場はマドリッドではなくバレンシアだ、と厳しく指摘します。
さらに瑠依は、「お父ちゃんのは夢じゃない!ただ会社が嫌いなだけだ!そんなんじゃ、絶対失敗するからね!!」と父を叱責して、食事の途中にも関わらず帰宅してしまいます。
その後、父が瑠依に電話しても、瑠依は出ず、会えないままです。入矢堂を訪れた父は、会社を辞めて留学する決意の固いことを述べ、出発までにもう一度会いたいと瑠依に伝えてくれないか、と淑子に頼み、淑子は了承します。最後に父は、瑠依の母は悪い人間ではなく、お嬢様育ちで視野が狭いのだ、と言い、入矢堂で淑子や入矢と話すことだけが瑠依にとっての息抜きなので、これからも瑠依の友達でいてやってほしい、と頼みます。
場面は変わって、葉山邸です。瑠依の母である美穂から、瑠依の父が会社を辞めてスペインに留学しようとしているけど、瑠依はあんな中途半端な人になったらだめだよ、と言います。すると瑠依は、「わかったよ、お母ちゃん」と言い、驚く母親にたいして、父は絶対に中途半端な人ではない、と言って外出します。
夕日のさす階段のうえで淑子と会った瑠依は、淑子に、父が本物のパエリア名人になって帰ってくるまで二度と会わないつもりだ、父は今度こそ本気で、もう一度自分と会ったら、スペインへの留学をやめる気がするので、心を鬼にした、星一徹になったのだ、と言います。
星一徹は、息子を愛しぬいているからこそ厳しくするのであり、自分は父のために星一徹になろうと誓ったのだ、と瑠依は淑子に言います。夕日を見て泣くのは星一徹だっけ?と問う瑠依に、淑子は、絶対星一徹よ、瑠依君、泣きなさい、泣いていいから、と慰め、瑠依が大泣きする場面で87話は終了です。
子供離れした知識の息子と、夢のようなことばかり言って甘いところのある父、というキャラクターを活かしたヒューマンストーリーですが、自分で稼いで好きなことをやろうとしている父にたいして、自分で稼いでいるわけでもない息子が説教するというのは、それぞれのキャラにあった話とはいえ、ちょっと興ざめで、正直なところ、100話を超える『イリヤッド』の中では、駄作の部類に入ると思います。
アトランティスにまつわる謎については、とくに新情報はありませんでしたが、スペインは、今のところ、作中ではアトランティスの最有力候補地だと思いますので、瑠依の父のスペイン行きは、彼がスペインでアトランティスに関する重要な手がかりを得て、入矢に知らせるという展開の伏線なのではないか、と予想しています。現在進行中の始皇帝編が終わった後に、瑠依の父の再登場があるかもしれません。
葉山瑠依は、入矢堂によく現れる、子供離れした知識と感性の持ち主で、入矢をしばしばやり込めますが、とくに料理についての知識と感性が優れています。瑠依の母の葉山美穂は、東大病院の美人女医です。
葉山瑠依の父は、医療機器会社の営業マンで、美穂と結婚して瑠依が生まれましたが、結婚後は、ムー大陸などと夢みたいなことばかり言うので、美穂は男らしくないといって離婚しました。離婚後は、土日のみ瑠依と会えることになっています。
物語は、瑠依とその父が、淑子が留守番をしている入矢堂を訪れるところから始まります。
瑠依の父は、入矢堂で『巨人の星』を発見して興奮します。淑子が瑠依に、瑠依君は知らないだろうけど・・・と言うと、瑠依は、「自分の果たせなかった夢のため、息子を巨人軍に入れようと執念を燃やす父・・・・・・それに従う息子の熱血感動スポ根漫画でしょ?」と言い、またしても子供離れした知識を披露します。
入矢堂を出た瑠依と父は、スペイン料理店に入ります。相変わらず、瑠依の食に関する知識はすごく、父を圧倒します。子羊のローストが出されると、父は入矢がヘラクレスの謎に挑んでいることを思い出し、ヘラクレスの求めた黄金の林檎は、西の果てにある不死の果実、たぶんオレンジかレモンだろう、と言いますが、瑠依は、ギリシア人はインド原産の柑橘類は4世紀までしらなかったから、それは違う、と言います。
すると父は、ヘラクレス神話には二説あって、ヘラクレスが探していたのは黄金の羊という説もある、と述べます。ティトゥアンの玄室にも描かれていた黄金の羊の正体はよく分かりませんが、ヘラクレスは、ソロモン王の命でアトランティスを探したフェニキア人の神であり、そのヘラクレスの探したものということは、黄金の羊とは、アトランティス文明を象徴するものなのでしょうか?
持っていたナイフを置いた父が、「で、あれだ・・・・・・お母ちゃんは・・・・・・」と瑠依に切り出すと、瑠依は、「ママだよ。お母ちゃんなんて呼ぶと、ママ死ぬほど怒るよ」とたしなめます。
父が、ママと呼びなおし、「ママはまだおまえに医者か弁護士になれっていってるのか?」と訊くと、瑠依は、「うん、星一徹みたいにね。弁護士か医者が『社会の星』だと頑なに信じてるよ」と答えます。瑠依はどうしたい?と尋ねる父に、瑠依は「グルメニスト」という職を模索している、と答えます。
その答えを聞いた父は、「お父ちゃんは、瑠依に好きに生きてほしい。夢をかなえてほしいと思っている」と言いますが、逆に瑠依に、「そういうお父ちゃんは好きに生きているの?」と訊かれ、返答に窮してしまいます。
過去に語っていた、考古学者・ラーメン屋・小説家といった夢はすべて諦めた、と語る父の様子をみて、瑠依は、自分に話があるのでは?と父に問いただします。
父は、意を決して、このスペイン料理店に通ってスペイン料理のおいしさに心を打たれたので、スペインレストランを開くために、スペインのマドリッドに一年間留学して語学と料理(年も年なので、パエリア専門ということで)を学ぶこと、会社には自己啓発のため一年間休める制度があるが、退路を断つ意味で、会社をやめて留学する計画であることを語ります。
これにたいして瑠依は、相変わらず甘い、と手厳しく言います。スペインは広く、それぞれの地方に郷土料理があり、師匠のシェフを選ぶにしても、その出身地と専門料理を考慮に入れなければいけないし、パエリアの本場はマドリッドではなくバレンシアだ、と厳しく指摘します。
さらに瑠依は、「お父ちゃんのは夢じゃない!ただ会社が嫌いなだけだ!そんなんじゃ、絶対失敗するからね!!」と父を叱責して、食事の途中にも関わらず帰宅してしまいます。
その後、父が瑠依に電話しても、瑠依は出ず、会えないままです。入矢堂を訪れた父は、会社を辞めて留学する決意の固いことを述べ、出発までにもう一度会いたいと瑠依に伝えてくれないか、と淑子に頼み、淑子は了承します。最後に父は、瑠依の母は悪い人間ではなく、お嬢様育ちで視野が狭いのだ、と言い、入矢堂で淑子や入矢と話すことだけが瑠依にとっての息抜きなので、これからも瑠依の友達でいてやってほしい、と頼みます。
場面は変わって、葉山邸です。瑠依の母である美穂から、瑠依の父が会社を辞めてスペインに留学しようとしているけど、瑠依はあんな中途半端な人になったらだめだよ、と言います。すると瑠依は、「わかったよ、お母ちゃん」と言い、驚く母親にたいして、父は絶対に中途半端な人ではない、と言って外出します。
夕日のさす階段のうえで淑子と会った瑠依は、淑子に、父が本物のパエリア名人になって帰ってくるまで二度と会わないつもりだ、父は今度こそ本気で、もう一度自分と会ったら、スペインへの留学をやめる気がするので、心を鬼にした、星一徹になったのだ、と言います。
星一徹は、息子を愛しぬいているからこそ厳しくするのであり、自分は父のために星一徹になろうと誓ったのだ、と瑠依は淑子に言います。夕日を見て泣くのは星一徹だっけ?と問う瑠依に、淑子は、絶対星一徹よ、瑠依君、泣きなさい、泣いていいから、と慰め、瑠依が大泣きする場面で87話は終了です。
子供離れした知識の息子と、夢のようなことばかり言って甘いところのある父、というキャラクターを活かしたヒューマンストーリーですが、自分で稼いで好きなことをやろうとしている父にたいして、自分で稼いでいるわけでもない息子が説教するというのは、それぞれのキャラにあった話とはいえ、ちょっと興ざめで、正直なところ、100話を超える『イリヤッド』の中では、駄作の部類に入ると思います。
アトランティスにまつわる謎については、とくに新情報はありませんでしたが、スペインは、今のところ、作中ではアトランティスの最有力候補地だと思いますので、瑠依の父のスペイン行きは、彼がスペインでアトランティスに関する重要な手がかりを得て、入矢に知らせるという展開の伏線なのではないか、と予想しています。現在進行中の始皇帝編が終わった後に、瑠依の父の再登場があるかもしれません。
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