『イリヤッド』呪われた秘密とは?

 『イリヤッド』の次号予告は7月6日にも述べましたが、
>アトランティスの核心に触れることは、誰かの“神”を冒涜する行為なのか。<
>入矢は遂に、アトランティスの謎に迫る“真の道”へと歩を進める。だがそれは、進むことも戻ることも許されぬ危険な道だった・・・!?<
となっています。ついに次号より、作品の主題(と私が考えている)である「人類がぜったい知るべきではない、太古の呪われた秘密」に本格的に踏み込んでいき、物語は収束に向かうということなのでしょうか。そこで今日は、この「呪われた秘密」が何なのか、ちょっと考えてみようと思います。

 もちろん、「呪われた秘密」がずばりと描かれているわけではありませんが、ヒント(と思われるもの)はかなり出ています。それらを箇条書きにしてまとめると、以下のようになります。
●アトランティスの謎を追っていくと「呪われた秘密」にいきつくらしい。故に、「山の老人」はアトランティス探索者の抹殺を任務していると思われる。
●「呪われた秘密」が明らかになると、人類から夢が奪われてしまう恐れがある。少なくとも、たいへんな衝撃にはなる。
●神の正体に関わることらしく、「呪われた秘密」を隠蔽することは、すべての神様を守ることになる。
●文明人で無神論の者には耐えられるだろう秘密らしい。
●アトランティスだけではなく、「聖杯伝説」も重要な鍵となる。
●『旧約聖書』とヘロドトス『歴史』に謎を解明する重要な記述があるらしい。
●ネアンデルタール人が重要な鍵になっているらしい。

 このなかでまず注目されるのは、「呪われた秘密」が明らかになると、人類から夢が奪われてしまう恐れがある、とされている点です。「夢」は、この作品全体における重要なキーワードといえます。一見すると絶望的な状況にあっても夢を諦めない入矢の姿勢が、心に傷を抱えている人を救うという場面がたびたび描かれています。また入矢は、人類から夢を奪うことはできない、夢を見るのは人類の義務だとたびたび言っています。
 夢が奪われるとはどういうことなのでしょうか。この作品において、夢を奪われた(見られなくなった)人というと、「山の老人」の幹部であるグレコ神父と、神父が雇っていた殺し屋のバシャです。バシャが夢を奪われた理由は、戦争中に誤って妻子を焼き殺してしまったことによる絶望からです。どうやら、人生に絶望してしまうほどのひどいトラウマが、夢を奪われる原因のようです。
 つまり、「呪われた秘密」は、人類にとってトラウマとなるような悲劇であるらしいのです。グレコ神父が夢を奪われた理由は明確には描かれていませんが、バチカン考古学研究所に勤務していたころに門外不出の古文書を閲覧し、アトランティスの謎を知ったとのことですから、このとき、「呪われた秘密」を知り、それから夢を見られなくなったのでしょう。また、その秘密を守るために、アトランティス探索者を殺し続けていることも、原因になっているのでしょう。

 では、人類にとってトラウマとなるような悲劇とは何かと考えると、文明人で無神論の者には耐えられるだろう、神の正体についての秘密というのが重要な手がかりになりそうです。どうやら、神の正体こそ、「呪われた秘密」の核心であるといえそうなのです。
 そうすると、神の正体とは何かということになるのですが、アトランティスなど「超古代文明」を題材にした作品でよくあるのが、神=地球外知的生命体(エイリアン)という設定です。これは、ある意味ではひじょうに楽な設定といえます。人類の知を超越したエイリアンという存在をもちだせば、たいていのことは説明可能となるからです。
 しかし『イリヤッド』においては、アトランティスを題材にした作品でよくある、1万年以上前に存在した現代以上の文明なるものは否定されていますし、「常識外れ」な設定はあまりでてきません。もちろん、フィクションであるいじょう、「嘘」はあるのですが、どうもエイリアンが登場するような雰囲気ではありません。
 では、この作品における神の正体についてはどう考えたらよいのでしょうか。もちろん、この作品の核心といえる秘密だけに、現時点では明示されているわけではありませんが、手がかりになりそうな描写はあります。なかでも、72話「ゼウスの洞窟」は重要だと思われますので、次はこの72話を取りあげようと思います。

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