鳥類の頭蓋と脳の進化に関する研究(Chiappe et al., 2024)が公表されました。現生鳥類(クラウン群鳥類)に特有の頭蓋や脳の起源は、中生代の三次元的な化石が不足しているため、解明が進んでいません。本論文は、ブラジルで発見された、保存状態がきわめて良好な後期白亜紀の新属新種の化石種ナヴァオルニス・ヘスティアエ(Navaor…
ユーラシア東部内陸部の鉄器時代遺跡の人類遺骸のゲノムデータを報告し、既知の現代人および古代人のゲノムデータとともに分析した研究(Yang et al., 2025)が公表されました。本論文は、【現在は中華人民共和国の支配下にあり、行政区分では新疆ウイグル自治区とされている】東トルキスタンのツァグンルケ(Zhagunluke、扎滾魯克、…
先コロンブス期アマゾン南西部におけるトウモロコシの単一栽培を報告した研究(Lombardo et al., 2024)が公表されました。ボリビアのモホス平原の約4500km²におよぶ巨大な塚地域に広がるカサラベ(Casarabe)文化(500~1400年頃)は、先コロンブス期以前(1492年以前)のアマゾン川流域における都市生活の最も…
匈奴と漢の戦争に関連する人類遺骸の学際的な分析結果を報告した研究(Ma et al., 2025)が公表されました。本論文は、モンゴルのウムヌゴビ(Umnugovi)県のノムゴン(Nomgon)郡の南方26kmに位置するバヤンボラク遺跡(Bayanbulag site、略してBBS)で発見された人類遺骸について、考古学と遺伝学と同位体…
インド・ヨーロッパ語族話者の遺伝的歴史に関する研究(Lazaridis et al., 2025)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。5000年前頃以降、ヤムナ(Yamna)文化とも呼ばれるヤムナヤ(Yamnaya)文化と呼ばれる考古学的複合体の担い手は、西方ではハンガ…
古代ゲノムデータに基づいて新石器時代から青銅器時代の北ポントス地域の人口史を検証した研究(Nikitin et al., 2025)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、本論文と同時に刊行された関連研究[7]以外は、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。5000年前頃以降、ヤムナヤ(Yamnaya)文化とも呼…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、古代ゲノムデータに基づくウクライナの人口史に関する研究(Saag et al., 2025)が公表されました。本論文は、おもに現在のウクライナを対象とする北ポントス地域の、紀元前7000~紀元後1800年頃の人類91個体の新たなゲノムデータを報告し、主成分分析(principal component…
ローマ帝国における授乳期間の違いに関する研究(Cocozza et al., 2025)が公表されました。授乳期間や離乳時期の復元は生活史の復元に役立つので、人類進化史の研究でも注目されています(関連記事1および関連記事2)。本論文は、乳児の摂食習慣がローマ帝国期の居住地の複雑さでどう変わるのか、高解像度の安定同位体分析を用いて調べま…
古代ゲノムデータに基づいてアヴァール期の生殖障壁を報告した研究(Wang et al., 2025)が公表されました。アヴァール人は遺伝的にはアジア東部的な祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)を有しており、567~568年にヨーロッパ中央部東方に到達して、そこで大きく異なるヨーロッパ的な祖先系統を有する集団と遭遇…
後期ジュラ紀(約1億5020万~1億4990万年前)の最初期の短尾鳥類に関する研究(Chen et al., 2025)が公表されました。近年の大進化研究では、初期鳥類の多様化がジュラ紀に起きた、と推測されていますが、ジュラ紀の鳥類の確かな化石記録は始祖鳥(Archaeopteryx)のみで、また、始祖鳥をデイノニコサウルス類恐竜に分…