大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第13回「お江戸揺るがす座頭金」

 今回は、当道座による座頭金の問題が描かれました。鱗形屋孫兵衛は偽版で再び処分を受けましたが、それは、座頭金に苦しめられ、経営状態を少しでも改善するためでした。この座頭金の問題は幕閣でも問題となっており、本作は吉原や江戸市中と幕閣との二重構造になっていますが、これまでつながりはやや弱いところがありました。しかし今回は、当道座による座頭金…
コメント:0

続きを読むread more

『おむすび』など朝ドラの雑感

 朝ドラ『おむすび』が今月(2025年3月)28日に最終回を迎えましたが、朝ドラの平均視聴率では、長く最低記録だった2009年度後期の『ウェルかめ』を下回ることになりそうです。前作から平均視聴率を大きく下げたとなると、2020年度後期の『おちょやん』が思い浮かびますが、『おちょやん』はなかなか楽しく視聴できました。しかし『おむすび』につ…
コメント:0

続きを読むread more

馬場匡浩『ファラオ 古代エジプト王権の形成』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2025年3月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はファラオの視点からの古代エジプト史で、とくに、ヒエラコンポリス遺跡での発掘調査によって明らかになってきた王権の形成過程に焦点を当てています。ファラオの使命として本書が挙げるのは、世界の安寧の維持です。そもそも、ファラオの語源は古代エジプト語…
コメント:0

続きを読むread more

鳥類の頭蓋と脳の進化

 鳥類の頭蓋と脳の進化に関する研究(Chiappe et al., 2024)が公表されました。現生鳥類(クラウン群鳥類)に特有の頭蓋や脳の起源は、中生代の三次元的な化石が不足しているため、解明が進んでいません。本論文は、ブラジルで発見された、保存状態がきわめて良好な後期白亜紀の新属新種の化石種ナヴァオルニス・ヘスティアエ(Navaor…
コメント:0

続きを読むread more

言語能力の起源

 言語能力の起源に関する研究(Miyagawa et al., 2025)が公表されました。本論文は、おもにSNP(Single Nucleotide Polymorphism、一塩基多型)に基づく現代人のゲノム研究を参照し、現代人の各地域集団の最初の推定分岐年代(135000年前頃)から、遅くともその年代までに現生人類(Homo sa…
コメント:0

続きを読むread more

雄マウスの攻撃性

 雄マウスの攻撃性に関する研究(Dai et al., 2025)が公表されました。本論文は、雄マウスの攻撃の発生におけるドーパミンの役割を明らかにしています。攻撃の調節におけるドーパミンの役割は、多くの研究で支持されていますが、その正確な神経機構は未解明です。本論文は、腹側被蓋野(ventral tegmental area、略してV…
コメント:0

続きを読むread more

大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第12回「俄なる『明月余情』」

 今回は、吉原での祭りの開催をめぐる、吉原内部の対立というか主導権争いが描かれました。今回は、主人公の蔦屋重三郎の行動および思惑とともに、大文字屋市兵衛と若木屋与八の祭りでの主導権争い、重三郎と平沢常富(朋誠堂喜三二)の関係の進展が描かれました。これまで平沢常富の見せ場はほとんどなく、平沢常富は重三郎を高く評価していたようですが、重三郎…
コメント:0

続きを読むread more

大相撲春場所千秋楽

 今場所の注目は何と言っても新横綱の豊昇龍関でしたが、豊昇龍関は9日目まで5不振で、10日目から休場となりました。これまで大横綱でも新横綱の場所では苦戦する傾向にあるので、豊昇龍関が新横綱で迎える次の春場所にて優勝する可能性はそこまで高くない、と予想していましたが(関連記事)、それにしてもせめて二桁は勝ってもらいたかったものです。ただ、…
コメント:0

続きを読むread more

系統樹と分岐年代

 人類進化に関する英語論文を日本語に訳してブログに掲載するだけではなく、これまでに得た知見をまとめ、独自の記事を掲載しよう、と昨年(2024年)後半から考えていますが、最新の研究を追いかけるのが精一杯で、独自の記事をほとんど執筆できておらず、そもそも最新の研究にしてもごく一部しか読めていません。多少なりとも状況を改善しようと考えて思った…
コメント:2

続きを読むread more

戸山為夫『鍛えて最強馬をつくる 「ミホノブルボン」はなぜ名馬になれたのか』第10刷

 情報センター出版局より1994年2月に刊行されました。第1刷の刊行は1993年9月です。近年では競馬への情熱をかなり失ってしまい、当ブログを始めた頃には1週間のうち4本掲載したこともあった競馬関連の記事を掲載することが少なくなりましたが、フォーエバーヤングのサウジカップ勝ちや、『ウイニングポスト10 2025』が今月(2025年3月)…
コメント:0

続きを読むread more

『ウイニングポスト10 2025』体験版

 『ウイニングポスト10 2025』が今月(2025年3月)発売されることは当ブログで以前取り上げましたが(関連記事)、間もなく(3月27日)発売となります。その記事でも述べたように、私は長年の『ウイニングポスト』シリーズ信者で、初代からPC版をずっと購入し続けていましたが、『ウイニングポスト7 2010』以降は、購入しない作品もあり、…
コメント:0

続きを読むread more

『卑弥呼』第146話「道」

 『ビッグコミックオリジナル』2025年4月5日号掲載分の感想です。前号は休載だったので、久々の感があります。前回は、ヤノハが山社(ヤマト)の人々を前に、自分は日見子(ヒミコ)としてあまりにも非力なので、自分に代わる強力な日見子もしくは日見彦(ヒミヒコ)が顕れるならば、いつでもこの地位を譲ろう、と語りかけるところで終了しました。今回は、…
コメント:0

続きを読むread more

国立科学博物館特別展「古代DNA ―日本人のきた道―」

 平日に家族と行きましたが(公式サイト)、平日なのにそれなりに混んでおり、現代日本社会において「日本人起源論」への関心はやはり高いのでしょう。展示内容は充実しており、こうした企画が可能なくらいの国力を、今後も日本が維持してもらいたいものですし、日本人の一人として、そうなるよう、ささやかながら努力していかねばならない、といったことも考えさ…
コメント:2

続きを読むread more

ユーラシア東部内陸部の鉄器時代遺跡の人類遺骸のゲノムデータ

 ユーラシア東部内陸部の鉄器時代遺跡の人類遺骸のゲノムデータを報告し、既知の現代人および古代人のゲノムデータとともに分析した研究(Yang et al., 2025)が公表されました。本論文は、【現在は中華人民共和国の支配下にあり、行政区分では新疆ウイグル自治区とされている】東トルキスタンのツァグンルケ(Zhagunluke、扎滾魯克、…
コメント:0

続きを読むread more

大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第11回「富本、仁義の馬面」

 前回、鶴屋喜右衛門は、『青楼美人合姿鏡』が売れない、と考えていましたが、今回、その意味が明かされました。『青楼美人合姿鏡』は版元にとって、確かに目新しさはあるものの、一般層が金を払ってまで買いたいものではない、というわけです。じっさい、『青楼美人合姿鏡』の売れ行きは悪く、蔦屋重三郎は次の手をどうすべきか、思案します。主人公がその才覚と…
コメント:0

続きを読むread more

ネパールのラウテ人の人口史

 ネパールのラウテ人(Raute)の人口史に関する研究(Derkx et al., 2025)が公表されました。本論文は、ヒマラヤ山脈の「最後の狩猟採集民」とも呼ばれるラウテ人の人口史を、ゲノム規模のSNP(Single Nucleotide Polymorphism、一塩基多型)データに基づいて推測しています。ラウテ人は、さまざまな生…
コメント:0

続きを読むread more

高尾藍月『十市皇女 大友皇子正妃から悲劇の巫女へ』

 BCCKSより2021年2月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、『日本書紀』の記述を踏まえつつ、おもに『万葉集』に依拠して、恋愛相手とも推測されている高市皇子との関係も含めて、十市皇女の生涯を検証しています。本書は、歴史学ではなかなか踏み込みにくい、個人の心情や人間関係も深く掘り下げており、その意味では、歴史学というよりは…
コメント:0

続きを読むread more

先コロンブス期アマゾン南西部におけるトウモロコシの単一栽培

 先コロンブス期アマゾン南西部におけるトウモロコシの単一栽培を報告した研究(Lombardo et al., 2024)が公表されました。ボリビアのモホス平原の約4500km²におよぶ巨大な塚地域に広がるカサラベ(Casarabe)文化(500~1400年頃)は、先コロンブス期以前(1492年以前)のアマゾン川流域における都市生活の最も…
コメント:0

続きを読むread more

匈奴と漢の戦争に関連する人類遺骸の学際的研究

 匈奴と漢の戦争に関連する人類遺骸の学際的な分析結果を報告した研究(Ma et al., 2025)が公表されました。本論文は、モンゴルのウムヌゴビ(Umnugovi)県のノムゴン(Nomgon)郡の南方26kmに位置するバヤンボラク遺跡(Bayanbulag site、略してBBS)で発見された人類遺骸について、考古学と遺伝学と同位体…
コメント:7

続きを読むread more

インド・ヨーロッパ語族話者の遺伝的歴史

 インド・ヨーロッパ語族話者の遺伝的歴史に関する研究(Lazaridis et al., 2025)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。5000年前頃以降、ヤムナ(Yamna)文化とも呼ばれるヤムナヤ(Yamnaya)文化と呼ばれる考古学的複合体の担い手は、西方ではハンガ…
コメント:0

続きを読むread more

大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第10回「『青楼美人』の見る夢は」

 今回は、瀬川(花の井)の身請けへと至る過程での蔦屋重三郎の試行錯誤が、重三郎と瀬川との関係を背景に描かれました。重三郎はここまで、育ってきた吉原を再び繁栄させ、女郎をはじめとして吉原で働く人々を幸せにしたい、との動機から試行錯誤しており、版元への本格参入を目指しているのもそのためです。そこには、瀬川への想いもあるわけですが、瀬川はけっ…
コメント:0

続きを読むread more

新石器時代から青銅器時代の北ポントス地域の人口史

 古代ゲノムデータに基づいて新石器時代から青銅器時代の北ポントス地域の人口史を検証した研究(Nikitin et al., 2025)が公表されました。[]は本論文の参考文献の番号で、本論文と同時に刊行された関連研究[7]以外は、当ブログで過去に取り上げた研究のみを掲載しています。5000年前頃以降、ヤムナヤ(Yamnaya)文化とも呼…
コメント:0

続きを読むread more

ウクライナの人口史

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、古代ゲノムデータに基づくウクライナの人口史に関する研究(Saag et al., 2025)が公表されました。本論文は、おもに現在のウクライナを対象とする北ポントス地域の、紀元前7000~紀元後1800年頃の人類91個体の新たなゲノムデータを報告し、主成分分析(principal component…
コメント:0

続きを読むread more

カガノミハチ『アド・アストラ スキピオとハンニバル』全13巻(集英社)

 漫画に詳しくなく、近年では面白そうな作品を検索することもほぼなくなったので、2018年に完結した本作の存在すら長く知りませんでした。昨年(2024年)本作を知り、電子書籍で全13巻を読みました。本作は第二次ポエニ戦争を描いており、ハンニバルとスキピオ(大スキピオ)の二人が主人公です。冒頭では第一次ポエニ戦争の終結が描かれ、ハンニバルは…
コメント:0

続きを読むread more

再来年(2027年)の大河ドラマは小栗忠順を主人公とする『逆賊の幕臣』

 再来年(2027年)の大河ドラマは紫式部を主人公とする小栗忠順(上野介)を主人公とする『逆賊の幕臣』に決定した、と報道されました。脚本は、安達奈緒子氏、主演は松坂桃李氏です。再来年の大河ドラマは幕末(~近代)ものが最有力と予想していましたが(関連記事)、小栗忠順は念頭にありませんでした。これまで大河ドラマの予想で幕末ものでは主人公とし…
コメント:0

続きを読むread more

ローマ帝国における授乳期間の違い

 ローマ帝国における授乳期間の違いに関する研究(Cocozza et al., 2025)が公表されました。授乳期間や離乳時期の復元は生活史の復元に役立つので、人類進化史の研究でも注目されています(関連記事1および関連記事2)。本論文は、乳児の摂食習慣がローマ帝国期の居住地の複雑さでどう変わるのか、高解像度の安定同位体分析を用いて調べま…
コメント:0

続きを読むread more

ヨーロッパにおけるネアンデルタール人の絶滅

 人類進化に関する英語論文を日本語に訳してブログに掲載するだけではなく、これまでに得た知見をまとめ、独自の記事を掲載しよう、と昨年(2024年)後半から考えていますが、最新の研究を追いかけるのが精一杯で、独自の記事をほとんど執筆できておらず、そもそも最新の研究にしてもごく一部しか読めていません。多少なりとも状況を改善しようと考えて思った…
コメント:0

続きを読むread more

アヴァール期の生殖障壁

 古代ゲノムデータに基づいてアヴァール期の生殖障壁を報告した研究(Wang et al., 2025)が公表されました。アヴァール人は遺伝的にはアジア東部的な祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)を有しており、567~568年にヨーロッパ中央部東方に到達して、そこで大きく異なるヨーロッパ的な祖先系統を有する集団と遭遇…
コメント:0

続きを読むread more

大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』第9回「玉菊灯籠恋の地獄」

 今回は、蔦屋重三郎と花の井(五代目瀬川)の関係を中心に、その対比として「うつせみ」と小田新之助の恋愛も描かれました。「うつせみ」と新之助が両想いであることは以前から描かれていましたが、重三郎と花の井の関係は、これまで花の井からの片想いで、重三郎の方は花の井への想いを自覚しておらず、この対比がなかなか面白くなっています。しかし、花の井が…
コメント:0

続きを読むread more

後期ジュラ紀の最初期の短尾鳥類

 後期ジュラ紀(約1億5020万~1億4990万年前)の最初期の短尾鳥類に関する研究(Chen et al., 2025)が公表されました。近年の大進化研究では、初期鳥類の多様化がジュラ紀に起きた、と推測されていますが、ジュラ紀の鳥類の確かな化石記録は始祖鳥(Archaeopteryx)のみで、また、始祖鳥をデイノニコサウルス類恐竜に分…
コメント:0

続きを読むread more

渡辺和子『図解 世界の宗教』

 西東社より2010年5月に刊行されました。電子書籍での購入です。手頃な価格なので、復習のために読んでみました。1人の著者で世界の宗教を解説するのに無理があることは否定できませんが、手軽な入門書であり、参考文献も少なからず提示されているので、こうした一般向け書籍があってもよいとは思います。本書でおもに取り上げられているのは、キリスト教と…
コメント:0

続きを読むread more