トマト(Solanum lycopersicum)の甘みに関する研究(Zhang et al., 2024)が公表されました。トマトは糖度が消費者の嗜好と強く相関しており、大抵の消費者は甘い果実を好みます。しかし、糖度は果実の大きさとは逆相関しており、生産者は味の質よりも収量を優先するため、商業品種は全般的に糖度が低くなっています。本…
オタマジャクシの起源に関する研究(Chuliver et al., 2024)が報道されました。無尾類は、水生の幼生期(オタマジャクシ)とそれに続く成体期(カエル)からなる二相性の生活環を特徴とし、幼生期から成体期へは、形態と生理が劇的に変化する変態期を介して移行します。現生のオタマジャクシは形態がたいへん多様で、生態学的にも重要な存…
ヒト進化研究ヨーロッパ協会第14回総会で、ブルガリアで発見された初期現生人類(Homo sapiens)の年代に関する研究(Higham et al., 2024)が報告されました。この研究の要約はPDFファイルで読めます(P82)。ブルガリアのコザーニカ(Kozarnika)遺跡は、ヨーロッパの下部旧石器時代と中部旧石器時代と上部旧…
ペルーのモチェ(Moche)文化期被葬者の学際的な分析結果を報告した研究(Quilter et al., 2025)が公表されました。本論文は、ペルーの北部沿岸のチカマ渓谷(Chicama Valley)のエル・ブルホ(El Brujo)遺跡にある、ピラミッド型の彩色神殿であるワカ・カオ・ビエホ(Huaca Cao Viejo)に埋葬…
蚊が味でヒトを認識することについての研究(Baik et al., 2024)が公表されました。昆虫の行動には味覚系によって制御されているものが多いものの、蚊において、味物質がどのように符号化され、そうした物質が必須な行動をどのように調節しているのかについては、ほとんど知られていません。本論文は、侵略性の高い疾病媒介蚊であるヒトスジシ…
ユーラシア東部の後期第四紀の人類に関する解説(Bae, and Wu., 2024)が公表されました。本論文は、ユーラシア東部の後期第四紀、より具体的にはおもに30万~5万年前頃の多様な非ホモ属に関する簡潔な解説で、ホモ属でも現生人類(Homo sapiens)は基本的に対象外となっています。本論文は対象地域をアジア東部としていますが…
現代人の新たなゲノムデータと既存の現代人および古代人のゲノムデータからワラセアの人口史を検証した研究(Purnomo et al., 2024)が公表されました。本論文は、ワラセア諸島とインドネシアの西パプア地域のヒトの遺伝的歴史の包括的研究を提示し、これには、ほぼ以前には報告されていなかった人口集団の、新たに配列決定された254個体…
新たな手法によって中世前期ヨーロッパの人口史を検証した研究(Speidel et al., 2025)が公表されました。本論文は、新たに開発された「Twigstats」と呼ばれる手法を用いて、中世前期ヨーロッパの人口史を検証しています。この新手法は遺伝的構成の類似した集団間の相互作用をじゅうらいよりも高解像度で推測でき、他の地域や時代…
ノルウェーで発見された中世の文献に見える人物のゲノムデータを報告した研究(Ellegaard et al., 2024)が公表されました。本論文は、ノルウェー中央部のスヴェッレスボルグ(Sverresborg)城跡の中世の井戸から発掘されたヒト遺骸のゲノムデータと放射性炭素年代と窒素(N)や炭素(C)の同位体データを報告しています。ス…
チベット高原の古代のウイルスのゲノムを報告した研究(Zhong et al., 2025)が公表されました。氷河は、微生物を含めて、気候と生態系に関する時系列情報を保管しており、その氷を採取することで、これらの微生物群集の多様性に影響を与える要因を、数百年から数千年の期間にわたって評価する機会が得られます。長期間にわたる生態系の変化を…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、中華人民共和国河北省張家口市陽原県の許家窯(Xujiayao、略してXJY)遺跡で発見された中期更新世のホモ属遺骸の形態学的分析結果を報告した研究(Zhang et al., 2024)が公表されました。許家窯遺跡は許家窰(Houjiayao)遺跡とも呼ばれています。本論文は主成分分析(princi…