年末の挨拶

 いよいよ2024年も終わりが近づいてきました。1年間この過疎ブログをお読みくださった方、さらには有益な情報を寄せてくださった方には感謝申し上げます。今年もロシアによるウクライナへの直接的な軍事侵略は続き、昨年秋以降は中東情勢が悪化したうえに、アメリカ合衆国大統領選挙ではトランプ前大統領が勝つなど、世界情勢の見通しがさらに暗くなった感も…
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第70回東京大賞典結果

 近年では競馬への情熱をかなり失ってしまい、競馬関連の記事を掲載することが少なくなりましたが、有馬記念と東京大賞典だけは当ブログを始めてから毎年必ず取り上げてきたので、今年(2024年)も記事を掲載します。昨日(2024年12月29日)行なわれた今年の東京大賞典には、古馬では、3連覇のかかるウシュバテソーロ、今年JBCクラシックを勝って…
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2024年の古人類学界

 あくまでも私の関心に基づいたものですが、年末になったので、今年(2024年)も古人類学界について振り返っていくことにします。近年ずっと繰り返していますが、今年も核DNAやミトコンドリアDNA(mtDNA)を含めて古代DNA研究の進展には目覚ましいものがありました。正直なところ、最新の研究動向にまったく追いついていけていないのですが、今…
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『常識が変わる!?日本史の大論争』

 中央公論新社より2019年2月に刊行されました。本書は『中央公論』2019年2月号の特集の電子書籍化です。構成は、各時代についての対談(現代は対談というよりも取材ですが)で、古代が井上章一氏と倉本一宏、中世が堺屋太一氏と今谷明氏、近世がよしながふみ氏と大石学氏、近代が佐々木雄一氏と清水唯一朗氏、現代が山崎拓氏と宮城大蔵氏です。中公新書…
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恐竜の消化物の分析

 恐竜の消化物の分析結果を報告した研究(Qvarnström et al., 2024)が公表されました。化石記録によると、恐竜は三畳紀中期(約2億4700万~2億3,700万年前)に進化していた、と分かっています。しかし、恐竜が陸上生態系を支配するようになったのは、その約3000万年後のジュラ紀初期以降で、この間に恐竜以外の四肢動物(…
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アジア中央部人類集団のゲノムとユーラシアの人類進化史

 アジア中央部人類集団のゲノムデータに基づくユーラシアの進化史に関する研究(He et al., 2024)が公表されました。本論文は、アジア中央部の古代のヒトや病原体に関する最新ゲノム研究を整理し、アジア中央部の人類史、さらにはユーラシア規模の人類進化史の理解を深めるとともに、医療面でのアジア中央部人類集団の遺伝学的研究の深化の必要性…
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中世前期カルパチア盆地の人口史

 古代ゲノムデータを用いて中世前期カルパチア盆地の人口史を検証した研究(Gerber et al., 2024)が公表されました。本論文は、現在のハンガリーで発見された古代人から得られたゲノムデータを用いて、その遺伝的祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)を分析し、中世前期カルパチア盆地の人口動態を明らかにします。ま…
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ユーラシア東部のアシューリアン

 ユーラシア東部の既知のアシューリアン(Acheulian、アシュール文化)石器群について整理するとともに新たなアシューリアン石器群を報告した研究(Li et al., 2024)が公表されました。本論文は、おもに中華人民共和国が現在実効支配する地域を対象に、握斧を中心としたアシューリアンの拡散の研究史を整理し、握斧技術の拡散が人口集団…
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第69回有馬記念結果

 近年では競馬への情熱をかなり失ってしまい、競馬関連の記事を掲載することが少なくなりましたが、有馬記念と東京大賞典だけは当ブログを始めてから毎年必ず取り上げてきたので、今年(2024年)も記事を掲載することにしました。今年の有馬記念には、これで引退となるドウデュースが出走予定でしたが、出走取消となり、ファン投票では圧倒的な1位で、圧倒的…
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『卑弥呼』第142話「的中」

 『ビッグコミックオリジナル』2025年1月5日号掲載分の感想です。前回は、暈(クマ)国の夜萬加(ヤマカ)の洞穴で、ニニギ(ヤエト)がヒルメに、地震(なゐ)が起きる、との予言を信じるよう説得していると、じっさいに地震が発生したところで終了しました。今回は、地震で揺れている夜萬加の洞窟で、ニニギがヒルメに逃げるよう説得する場面から始まりま…
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有富純也編『日本の古代とは何か 最新研究でわかった奈良時代と平安時代の実像』

 光文社新書の一冊として、光文社より2024年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。日本古代史の勉強が滞ってからもう20年以上経過しているので、近年の知見をまとめて得る目的で読みました。 ●有富純也「はじめに 日本古代史研究への招待」  まず日本古代史の範囲は基本的に飛鳥時代から平安時代までとされていますが、飛鳥時…
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ネアンデルタール人から現生人類への遺伝的影響の検証

 長期にわたるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)から現生人類(Homo sapiens)への遺伝的影響を検証した研究(Iasi et al., 2024)が報道されました。日本語の解説記事もあります。本論文は、シベリア南部のアルタイ山脈のデニソワ洞窟(Denisova Cave)およびチャギルスカヤ洞窟(C…
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大河ドラマ『光る君へ』全体的な感想

 本作は大河ドラマの空白期間(関連記事)を埋めるという意味で画期的と考えていたことから、放送開始前からたいへん注目していました。ただ、主人公の紫式部(まひろ、藤式部)と『源氏物語』に、清少納言(ききょう)と『枕草子』、藤原道長(三郎)の知名度は高そうであるものの、時代劇では馴染みの薄い時代で、他の人物や歴史上の出来事は有名ではなさそうで…
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現生オランウータンの鳴き声から推測される初期のヒトの言語発達

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、現生オランウータンの鳴き声から初期のヒトの言語発達を推測した研究(Gannon et al., 2023)が公表されました。中新世の中期から後期(1600万~530万年前頃)にかけてのアフリカの古気候変動では、森林が広大な平原に置き換わり、おもに樹上で生活していた古代のヒト科が地上での生活に移行しま…
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大河ドラマ『光る君へ』第48回(最終回)「物語の先に」

 ついに最終回を迎え、1年間ずっと楽しんで視聴してきたので、かなりの寂しさがあります。今回は、前回最後からの続きで、藤原道長(三郎)の嫡妻である源倫子が紫式部(まひろ、藤式部)に、いつから道長と関係があったのか、問い質している場面から始まります。倫子は紫式部に、出家した道長の妾となるよう要請し、紫式部は倫子に、道長との出会いからこれまで…
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ポンペイのローマ帝国期噴火犠牲者のゲノムデータ

 ポンペイのローマ帝国期噴火犠牲者のゲノムデータを報告した研究(Pilli et al., 2024)が報道されました。本論文は、紀元後79年のベスビオ火山(Somma-Vesuvius)の噴火によって壊滅したローマ帝国の支配下にあった都市ポンペイで発見された、石膏像に残る骨格資料から得られたゲノムデータとストロンチウム同位体(⁸⁷Sr…
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榎村寛之『女たちの平安後期 紫式部から源平までの200年』

 中公新書の一冊として、中央公論新社より2024年10月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は榎村寛之『謎の平安前期 桓武天皇から『源氏物語』誕生までの200年』(関連記事)の続編となり、11世紀初頭~12世紀末までが対象となります。以下、西暦は厳密な換算ではなく、1年単位での換算です。一般的に中世が始まるのはこの期間とされてい…
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『ウイニングポスト10 2025』2025年3月発売

 『ウイニングポスト10 2025』が来年(2025年)3月に発売される、と公表されました。私はかつて『ウイニングポスト』シリーズの信者で、98DOS版だった初代から7マキシマム2008まで、PKも含めてパソコン版をすべて購入してきました(関連記事)。しかし、『ウイニングポスト7 2010』以降は購入しない作品もあり、『ウイニングポスト…
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タジキスタンの旧石器時代遺跡

 タジキスタンで新たに発見された旧石器時代遺跡を報告した研究(Zaidner, and Kurbanov., 2024)が公表されました。本論文は、タジキスタン北部のゼラフシャン(Zeravshan)川流域で新たに発見された、ソイイ・ハヴザク(Soii Havzak)岩陰遺跡について報告しています。ソイイ・ハヴザク遺跡は、中部旧石器時代…
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山東半島中期新石器時代人類のゲノムデータ

 山東半島中期新石器時代人類のゲノムデータを報告した研究(Wang F et al., 2024)が公表されました。本論文は、中華人民共和国山東省済南市に位置する焦家(Jiaojia)遺跡の大汶口(Dawenkou)文化と関連する21個体のゲノムデータを報告しています。大汶口文化は山東半島の新石器時代文化で、中原の仰韶(Yangshao…
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チベット高原南部の初期の定住生活

 チベット高原南部の初期の定住生活に関する学際的研究(Yang et al., 2024)が公表されました。本論文は、チベット高原奥地の海抜(metres above sea level、略してMASL)4446mに位置するマブ湖(Mabu Co)遺跡(Coはチベット語で湖の意味)の学際的研究成果を報告しています。マブ湖遺跡の年代は44…
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大河ドラマ『光る君へ』第47回「哀しくとも」

 今回は、刀伊の入寇と朝廷の対処が描かれました。前回、紫式部(まひろ、藤式部)とともに逃げようとして周明は射られ、従者の乙丸が泣き叫ぶ紫式部を強引に逃がします。紫式部は周明の死を嘆き、なかなか立ち直れませんが、それを慰めたのは、刀伊の入寇を撃退した現場の最高責任者である藤原隆家でした。隆家は刀伊の入寇で国家に武力が必要なことを改めて強く…
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ホモ・フロレシエンシスの初期の研究をめぐる軋轢

 ホモ・フロレシエンシス(Homo floresiensis)の研究が初めて公表されたのは2004年10月で、たいへん衝撃的でしたが、ホモ・フロレシエンシスをめぐって「醜聞」的な事態になっていたことは、日本語環境でも早くから知られており、『日経サイエンス』の2005年4月号に掲載された解説記事「人類進化の定説を覆す小さな原人の発見」(W…
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仁藤敦史『加耶/任那 古代朝鮮に倭の拠点はあったか』

 中公新書の一冊として、中央公論新社より2024年10月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、日本と韓国で民族主義的感情の軋轢となることも多い、加耶もしくは任那の歴史を検証しています。伽耶とは、3~6世紀にかけて朝鮮半島南部の洛東江流域に存在した十数ヶ国の小国群の名称です。この地域は『日本書紀』では任那と呼ばれることが多く、日…
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『卑弥呼』第141話「ヒルメの弟子」

 『ビッグコミックオリジナル』2024年12月20日号掲載分の感想です。前回は、暈(クマ)国の夜萬加(ヤマカ)で、チカラオ(ナツハ)が実子のニニギ(ヤエト)に、近いうちに自信があると伝え、ニニギが実父(ニニギはそれを知りませんが)のチカラオを地震神(アイノカミ)様と崇めるところで終了しました。今回は、夜萬加にて、ニニギが前回自分を新参者…
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山東半島古代人のゲノムデータ

 山東半島で発見された古代人のゲノムデータを報告した研究(Wang et al., 2024)が公表されました。本論文は、現在の中華人民共和国山東省淄博市に位置する、古代都市の臨淄(Linzi)で発見された戦国時代~後漢の頃までの14個体のゲノムデータを報告しています。この14個体の遺伝的祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ance…
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人類の脳サイズの増加

 人類の脳サイズの増加に関する研究(Püschel et al., 2024)が公表されました。本論文は、人類の完全な化石記録を通じて、脳サイズの変化を分析する独特な手法の採用によって、ヒトの脳の進化に関する理解を大きく深めます。種内で起きる脳サイズ変化の動態を、種を超えて起きる場合と分離することによって、脳サイズの増加は単一種を構成す…
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初期ホモ属の成長速度

 初期ホモ属の成長速度に関する研究(Zollikofer et al., 2024)が公表されました。本論文は、ジョージア(グルジア)のドマニシ(Dmanisi)遺跡で発見された、遅くとも177万年前頃となる前期更新世人類の歯の分析から、初期ホモ属の成長速度を検証しています。この初期ホモ属の歯の成長速度は現生大型類人猿と同程度ですが、前…
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大河ドラマ『光る君へ』第46回「刀伊の入寇」

 今回は、大宰府の話を中心に、刀伊の入寇(関連記事)が描かれました。主人公である紫式部(まひろ、藤式部)は、後に『源氏物語』と呼ばれる物語を書き終えて、生きがいがなくなり、藤原道長(三郎)との関係もどうすればよいのか分からなくなり、迷走した感があります。それが大宰府に赴いた要因でもあるのでしょうが、紫式部は大宰府で周明と再会し、親友の亡…
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コーカサスの中石器時代~青銅器時代の人口史

 古代ゲノムデータに基づくコーカサスの中石器時代~青銅器時代の人口史に関する研究(Ghalichi et al., 2024)が公表されました。本論文は、中石器時代~青銅器時代にかけてのコーカサスの人口史を、新たに提示される古代人100個体以上のゲノムデータや、既知の古代人および現代人のゲノムデータから検証しています。この期間のコーカサ…
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