恐竜の消化物の分析結果を報告した研究(Qvarnström et al., 2024)が公表されました。化石記録によると、恐竜は三畳紀中期(約2億4700万~2億3,700万年前)に進化していた、と分かっています。しかし、恐竜が陸上生態系を支配するようになったのは、その約3000万年後のジュラ紀初期以降で、この間に恐竜以外の四肢動物(…
アジア中央部人類集団のゲノムデータに基づくユーラシアの進化史に関する研究(He et al., 2024)が公表されました。本論文は、アジア中央部の古代のヒトや病原体に関する最新ゲノム研究を整理し、アジア中央部の人類史、さらにはユーラシア規模の人類進化史の理解を深めるとともに、医療面でのアジア中央部人類集団の遺伝学的研究の深化の必要性…
古代ゲノムデータを用いて中世前期カルパチア盆地の人口史を検証した研究(Gerber et al., 2024)が公表されました。本論文は、現在のハンガリーで発見された古代人から得られたゲノムデータを用いて、その遺伝的祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)を分析し、中世前期カルパチア盆地の人口動態を明らかにします。ま…
ユーラシア東部の既知のアシューリアン(Acheulian、アシュール文化)石器群について整理するとともに新たなアシューリアン石器群を報告した研究(Li et al., 2024)が公表されました。本論文は、おもに中華人民共和国が現在実効支配する地域を対象に、握斧を中心としたアシューリアンの拡散の研究史を整理し、握斧技術の拡散が人口集団…
取り上げるのが遅れてしまいましたが、現生オランウータンの鳴き声から初期のヒトの言語発達を推測した研究(Gannon et al., 2023)が公表されました。中新世の中期から後期(1600万~530万年前頃)にかけてのアフリカの古気候変動では、森林が広大な平原に置き換わり、おもに樹上で生活していた古代のヒト科が地上での生活に移行しま…
ポンペイのローマ帝国期噴火犠牲者のゲノムデータを報告した研究(Pilli et al., 2024)が報道されました。本論文は、紀元後79年のベスビオ火山(Somma-Vesuvius)の噴火によって壊滅したローマ帝国の支配下にあった都市ポンペイで発見された、石膏像に残る骨格資料から得られたゲノムデータとストロンチウム同位体(⁸⁷Sr…
タジキスタンで新たに発見された旧石器時代遺跡を報告した研究(Zaidner, and Kurbanov., 2024)が公表されました。本論文は、タジキスタン北部のゼラフシャン(Zeravshan)川流域で新たに発見された、ソイイ・ハヴザク(Soii Havzak)岩陰遺跡について報告しています。ソイイ・ハヴザク遺跡は、中部旧石器時代…
山東半島中期新石器時代人類のゲノムデータを報告した研究(Wang F et al., 2024)が公表されました。本論文は、中華人民共和国山東省済南市に位置する焦家(Jiaojia)遺跡の大汶口(Dawenkou)文化と関連する21個体のゲノムデータを報告しています。大汶口文化は山東半島の新石器時代文化で、中原の仰韶(Yangshao…
山東半島で発見された古代人のゲノムデータを報告した研究(Wang et al., 2024)が公表されました。本論文は、現在の中華人民共和国山東省淄博市に位置する、古代都市の臨淄(Linzi)で発見された戦国時代~後漢の頃までの14個体のゲノムデータを報告しています。この14個体の遺伝的祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ance…
人類の脳サイズの増加に関する研究(Püschel et al., 2024)が公表されました。本論文は、人類の完全な化石記録を通じて、脳サイズの変化を分析する独特な手法の採用によって、ヒトの脳の進化に関する理解を大きく深めます。種内で起きる脳サイズ変化の動態を、種を超えて起きる場合と分離することによって、脳サイズの増加は単一種を構成す…
初期ホモ属の成長速度に関する研究(Zollikofer et al., 2024)が公表されました。本論文は、ジョージア(グルジア)のドマニシ(Dmanisi)遺跡で発見された、遅くとも177万年前頃となる前期更新世人類の歯の分析から、初期ホモ属の成長速度を検証しています。この初期ホモ属の歯の成長速度は現生大型類人猿と同程度ですが、前…
古代ゲノムデータに基づくコーカサスの中石器時代~青銅器時代の人口史に関する研究(Ghalichi et al., 2024)が公表されました。本論文は、中石器時代~青銅器時代にかけてのコーカサスの人口史を、新たに提示される古代人100個体以上のゲノムデータや、既知の古代人および現代人のゲノムデータから検証しています。この期間のコーカサ…