吉村武彦編『新版 古代史の基礎知識』

 角川選書の一冊として、角川学芸出版より2017年11月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書では、年代は縄文時代から摂関政治期まで、分野は政治史から文化史や生活史などまで、広範に扱われているので、もう20年ほど勉強が進んでいない古代史の新知見を得るとともに、復習にもなると思い、読みました。本書は広範な分野を扱っているだけに、一読…
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時代区分の問題

 最近当ブログでは人類の進化、とくに古代ゲノム研究の英語論文を取り上げて日本語に訳すことが多くなり、論文について私見を述べることもありますが、ほぼ翻訳だけになってしまうことが大半なので、たまには独自の文章を掲載しようと昨年(2023年)初頭に思い立ったものの、何を題材にすべきか迷ってしまい、けっきょく、2年近く経過したのにほとんど独自記…
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ホラアナライオンの進化史

 ホラアナライオン(Panthera spelaea)の進化史に関する概説(Nedoluzhko et al., 2024)が公表されました。ホラアナライオンはヒョウ属の絶滅種で、同じヒョウ属の現生種であるライオン(Panthera leo)やトラ(Panthera tigris spelaea)への一般的関心が高いこともあり、絶滅した…
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遺伝と言語伝達の関係

 世界規模で遺伝と言語伝達の関係を検証した研究(Pichkar et al., 2024)が公表されました。文化的慣行は、誰が誰から学ぶかに影響を及ぼすことによって、学習行動の伝達を形成できます。文化的伝統によって人々は母親もしくは母方親族から言語を学ぶ傾向があるのならば、この偏った文化的伝達は言語の差異と母系継承の遺伝的差異との間の予…
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大河ドラマ『光る君へ』第45回「はばたき」

 今回は、紫式部(まひろ、藤式部)の旅立ちと、紫式部の娘である賢子(大弐三位、越後弁)の彰子への出仕が描かれました。賢子の実父は藤原道長(三郎)ですが、道長はこれまで気づいておらず、何度か気づく機会もあったので、本作の道長はこうした機微に疎いままなのでしょう。紫式部は、ついに後世『源氏物語』と呼ばれる物語を完結させ、賢子が宮仕えの覚悟を…
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大相撲九州場所千秋楽

 先場所全休だった横綱の照ノ富士関が出場してくるのか、注目していましたが、照ノ富士関は全休となりました。今年(2024年)照ノ富士関が皆勤したのは初場所と名古屋場所だけで、その2場所とも優勝したのはさすがですが、こうも休場が多いと、やはり問題とは思います。ただ、稀勢の里関(現在の二所ノ関親方)の悪例があるので、今場所後に横綱審議委員会か…
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唐代の長安の人類遺骸のゲノムデータ

 唐代の人類遺骸のゲノムデータを報告した研究(Lv et al., 2024)が公表されました。唐代、とくにその都である長安(Chang’an)は、「国際色」が豊かだった、と一般的に考えられているように思います。本論文は、現在の中華人民共和国陝西省西安(Xi’an)市に位置する、唐代の長安の幸福林帯(Xingfulindai、略してXF…
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原武史『象徴天皇の実像 「昭和天皇拝謁記」を読む』

 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2024年10月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は「昭和天皇拝謁記」に基づいて、思想や政治情勢の認識や人物評価など、昭和天皇の「実像」を浮き彫りしていきます。「昭和天皇拝謁記」とは、2021~2023年に岩波書店から刊行された『昭和天皇拝謁記 初代宮内庁長官田島道治の記録』全7巻の…
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仰韶遺跡の新石器時代人類のゲノムデータ

 黄河中流域の新石器時代人類のゲノムデータを報告した研究(Li et al., 2024)が公表されました。本論文は、黄河中流域の代表的な新石器時代文化である仰韶(Yangshao)文化の基準遺跡となる仰韶遺跡の、仰韶文化~龍山(Longshan)文化期の人類のゲノムデータを報告し、これまで認識されていなかった、後期龍山文化期の人類集団…
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『卑弥呼』第140話「なゐ」

 『ビッグコミックオリジナル』2024年12月5日号掲載分の感想です。前号は休載だったので、久々の感があります。前回は、ヤノハが、自分ほど嘘の上手い者はいないと思っていたが、しょせん自分は底の浅いすぐばれる嘘しかつけず、日下(ヒノモト)の吉備津彦(キビツヒコ)は自分をしのぐ本物の嘘つきなので、このままでは我々は負ける、と自嘲したところで…
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現代日本人における縄文時代集団からの遺伝的影響

 現代日本人集団における縄文時代集団からの遺伝的影響に関する研究(Yamamoto et al., 2024)が公表されました。本論文は、現代日本人集団の遺伝的祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)が、縄文時代の狩猟採集民的構成要素とアジア東部(East Asia、略してEAS)的構成要素とアジア北東部(Northe…
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『卑弥呼』第17集発売

 待望の第17集が発売されました。第17集には、 口伝127「湖南」 https://sicambre.seesaa.net/article/202403article_21.html 口伝128「殺人鬼」 https://sicambre.seesaa.net/article/202404article_7.html …
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大河ドラマ『光る君へ』第44回「望月の夜」

 今回は、藤原道長(三郎)と三条帝の対立の決着、および有名な「望月の歌」が描かれました。道長から譲位への圧力を受けた三条帝は、娘の禔子内親王を道長の嫡男とも言うべき頼通に嫁がせ、道長を懐柔しようとして、道長も受け入れますが、妻の隆姫女王を愛している頼通は拒絶します。この話は『栄花物語』に見えるそうですが、頼通は隆姫女王にかなり遠慮してい…
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夜見ヶ浜人の再発見

 NHK地上波の『イマサラ調べてみた件』で、「日本最古の人骨」として「夜見ヶ浜人」が取り上げられました。「夜見ヶ浜人」とは、鳥取県境港市で1969年に発見された左側下顎骨です。当時、材木工場の現場があり、6mほど穴を掘ったところでこの下顎骨が見つかったそうです。この下顎骨の発見者は、農閑期の出稼ぎに来ており、貝殻と化石の収集を趣味として…
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本村凌二『地中海世界の歴史4 辺境の王朝と英雄 ヘレニズム文明』

 講談社選書メチエの一冊として、講談社より2024年10月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はマケドニアを中心に、ヘレニズム「文明」を「普遍性」の観点から取り上げています(当ブログでは原則として「文明」という用語を使わないことにしていますが、この記事では本書に従って「文明」と表記します)。マケドニアとは、ギリシア語で「高地の人…
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コーカサスからヨーロッパ東部への農耕の拡大

 古代ゲノムデータに基づいてコーカサスからヨーロッパ東部への農耕の拡大を示した研究(Zhur et al., 2024)が公表されました。北コーカサスにおける最古級の農耕集団はダルクベティ・メショコ(Darkveti-Meshoko)文化ですが、この文化集団から近隣の草原地帯牧畜民への遺伝的影響は不明です。本論文は、北コーカサスの最古級…
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社会的協力の維持

 社会的協力の維持に関する研究(Michel-Mata et al., 2024)が公表されました。評判はヒト社会においてきわめて重要で、個々人はその社会的地位に応じて異なる扱いを受けます。たとえば、他者を助けて良い評判を獲得すると、その人は第三者から見返りを受ける可能性が高くなります。このように広範な協力を得るには、評判が行動を正確に…
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アメリカ合衆国大統領選挙結果

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、上院選と下院選の大勢もほぼ判明したので、アメリカ合衆国大統領選挙の結果について言及します。世界情勢が混迷する中で、アメリカ合衆国に限らず世界中の今後の動向にも強い影響を及ぼすことから、世界的に注目されたアメリカ合衆国大統領選挙の一般投票が今月(2024年11月)5日に行なわれました。民主党はハリス副…
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アジア東部におけるオーロックスの進化と遺伝的影響

 アジア東部におけるオーロックス(Bos primigenius)の進化とその遺伝的影響に関する研究(Hou et al., 2024)が公表されました。オーロックスは現在地球上の哺乳類の生物量の約1/3を占めていると推定されている家畜ウシ(Bos taurus)の祖先で、野生種としては17世紀に絶滅した、と考えられています。本論文は、…
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大河ドラマ『光る君へ』第43回「輝きののちに」

 今回も宮中の人間模様、とくに藤原道長(三郎)と三条帝の駆け引きを中心に話が展開しました。三条帝と道長の間では政治の主導権をめぐって駆け引きが続いており、ついには道長が三条帝に譲位を要求し、ますます関係が悪化していき、道長は三条帝の目と耳の状態が悪いことに気づいて、三条帝を譲位に追い込もうと画策します。道長と源倫子との間の娘である妍子は…
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インドにおける古代ゲノム研究の受容に関する問題点

 インドにおける古代ゲノム研究の受容に関する問題点を指摘した解説(Chandrashekhar., 2024)が公表されました。この記事では、インドのヒンドゥー教信者の民族主義者が、古代ゲノム研究を自民族中心的に都合よく解釈しており、それをインドの現政権が後押しすることに、警鐘を鳴らしています。インドの国粋主義的風潮で、考古学や人類学や…
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山室恭子『中世のなかに生まれた近世』

 講談社学術文庫の一冊として、2013年5月に講談社より刊行されました。本書の親本は、1991年に吉川弘文館より刊行されました。日本各地の戦国大名の文書の統計的処理から、各大名の支配体制の性格、年代・地域による各大名の比較、さらには中世から近世へと移行する日本の大きな動きを概観した一冊で、戦国大名の文書の分類という細かい個々の問題から、…
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オーロックスの進化史

 古代ゲノムデータを用いたオーロックス(Bos primigenius)の進化に関する研究(Rossi et al., 2024)が公表されました。オーロックスは現在地球上の哺乳類の生物量の約1/3を占めていると推定されている家畜ウシ(Bos taurus)の祖先で、野生種としては17世紀に絶滅した、と考えられています。本論文は、ユーラ…
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アフリカ最南端の人類集団の長期にわたる遺伝的連続

 古代ゲノムデータに基づいてアフリカ最南端の人類集団の長期にわたる遺伝的連続を報告した研究(Gretzinger et al., 2024)が公表されました。本論文は、南アフリカ共和国のオークハースト(Oakhurst)岩陰遺跡の初期完新世から後期石器時代(Later Stone Age、略してLSA)末までの人類9個体や、他の古代人お…
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無人航空機によるライダーで明らかになったアジア中央部の大規模な中世都市

 無人航空機によるライダー(light detection and ranging、略してLiDAR、光による検出と測距)で明らかになったアジア中央部の大規模な中世都市を報告した研究(Frachetti et al., 2024)が報道されました。航空機によるLiDARは、とくに密な植生で遺跡の視認性が損なわれている場所において、考古学…
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農耕によるアミラーゼ関連遺伝子の進化

 農耕によるアミラーゼ関連遺伝子の進化に関する研究(Bolognini et al., 2024)が公表されました。農耕の採用は、ヒト集団においてデンプンに富む食餌への急激な変化を引き起こしました。アミラーゼ遺伝子はデンプンの消化を促進し、デンプン摂取量の多い一部の現代人集団ではアミラーゼ遺伝子のコピー数の増加が観察されていますが、選択…
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大河ドラマ『光る君へ』第42回「川辺の誓い」

 今回も、中宮の人間模様を中心に話が展開しました。三条帝と藤原道長(三郎)との駆け引きは続いており、三条帝は藤原済時の娘の娍子を皇后に立て、道長はこれに対して中宮となる娘の妍子の入内を同日にぶつける、という史実を踏まえた展開になりました。この時、公卿の多くは道長に配慮して立后の儀に参じませんでしたが、参じた藤原実資を三条帝は頼りにしよう…
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パオラ・ヴィラ氏の訃報

 考古学者のパオラ・ヴィラ(Paola Villa)氏が、先月(2024年10月)末に亡くなった、との情報をTwitterで見かけました。お悔やみ申し上げます。ヴィラ氏が筆頭著者の論文を当ブログでもいくつか取り上げていますが、ヴィラ氏が筆頭著者ではなく関わった論文では、押圧剥離の起源に関する研究を取り上げており(関連記事)、詳しく調べた…
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渡辺精一『諸子百家』

 角川ソフィア文庫の一冊として、KADOKAWAから2020年2月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はまず、諸子百家以前の思想を概観した後で、代表的な諸子百家を取り上げます。1章単独で取り上げられているのは、後世に大きな影響を残した、孔子と老子と荘子と孟子と荀子と韓非子と孫子です。その他に、墨子や管子蘇秦や商鞅や李斯などが取り…
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テレビを購入

 今年(2024年)8月初旬に、2018年12月に購入した液晶テレビが壊れ(関連記事)、翌9月初旬に43インチの安い液晶モニターを購入し、録画機経由で大河ドラマや朝ドラなどを視聴していましたが(関連記事)、画質に不満があったので、先月(10月)半ばに有機ELテレビを購入しました。安い液晶モニターは、デスクトップパソコン用に使おうとも考え…
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