チベット高原における前期完新世以降の長期のヒトの居住を報告した研究(Chen et al., 2024)が公表されました。チベット高原では、中期更新世にまでさかのぼる人類の痕跡が確認されており、現生人類(Homo sapiens)のみならず、種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)の存在も確認されていますが、それがどの…
変動する選択から適応の繊細さを明らかにした研究(Bitter et al., 2024)が公表されました。時間的に変動する環境条件は、自然生息地に普遍的な特徴です。しかし、自然個体群が、集団内に存在する遺伝的多様性の変化を通して、変動する選択圧に対してどの程度の細かさで適応的に追従しているのかは不明です。この研究は、大規模に複製された…
ヨーロッパにおける中世以降のジェット気流の農耕への影響に関する研究(Xu et al., 2024)が公表されました。ジェット気流は、北半球中緯度域における気候変動の重要な動的駆動要因である。北大西洋–ヨーロッパ域ジェット気流緯度(jet stream latitude in the North Atlantic–European s…
古代ゲノムデータに基づく中世ハンガリーのアバ(Aba)一族の起源に関する研究(Varga et al., 2024)が公表されました。本論文は古代ゲノムデータに基づいて、中世ハンガリーにおいてたいへん重要な役割を果たし、広範な領域を支配して、影響力のある人物を輩出したアバ一族の構成員を特定しています。また、アバ一族の父系がモンゴルにま…
ライオンの歯に挟まっていた毛から得られた獲物のDNA解析結果を報告した研究(Flamingh et al., 2024)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、ケニアの1890年代にツァボライオン(Tsavo lion)の歯に挟まっていた獲物の毛のDNA解析から、キリンやヒトやウォーターバックやヌーや…
哺乳類の顎関節の起源に関する研究(Rawson et al., 2024)が公表されました。荷重を支える歯骨–鱗状骨間の顎関節の獲得は、哺乳類進化における重要な段階の一つでした。この新機軸は数十年にわたって研究されてきましたが、哺乳類様の頭蓋–顎間接触が進化した時期や頻度に関しては不明な点が残っており、その解明は、非哺乳型類のキノドン…
土井ヶ浜遺跡の弥生時代の女性1個体のゲノムデータを報告した研究(Kim et al., 2025)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。日本語の解説記事もあります。山口県下関市豊北町にある土井ヶ浜遺跡は、弥生時代の「渡来系」とされる人類集団が発見されたことで有名です。本論文は、土井ヶ浜遺跡の弥生時代の女性1個…
ゲノム解析によるハイギョ類の進化についての研究(Schartl et al., 2024)が公表されました。現生ハイギョ類のゲノムは、デボン紀における肉鰭類魚類から四肢類への移行の分子発生的な基盤に関して情報をもたらすことができます。この研究は、アフリカハイギョの一種であるプロトプテルス・アネクテンス(Protopterus anne…
ヒト進化研究ヨーロッパ協会第14回総会で、ヨーロッパ東部のネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)のミトコンドリアDNA(mtDNA)解析結果を報告した(Picin et al., 2024)が報告されました。この研究の要約はPDFファイルで読めます(P135)。ヨーロッパの最終氷期は、温暖なエーミアン(Eem…
パン用コムギの進化史に関する研究(Cavalet-Giorsa et al., 2024)が公表されました。パンコムギ(Triticum aestivum)は世界的な主要作物で、ヒトの食餌における重要なカロリー源およびタンパク質源となっています。現在のパンコムギは、倍数化や栽培化や育種のボトルネック(瓶首効果)に起因して、野生祖先種よ…
現在のアメリカ合衆国バージニア州の植民地初期の上流階層のゲノムデータを報告した研究(Owsley et al., 2024)が公表されました。本論文は、バージニア州ジェームズタウンの教会に埋葬された、17世紀初期に死亡したの人類遺骸2個体のゲノム解析結果を報告しています。これらの個体は植民地初期の上流階層の一族で、名前も特定されており…
メキシコで発見された14世紀の子供1個体の遺骸の学際的分析結果を報告した研究(Sedig et al., 2024)が公表されました。本論文は、メキシコのチワワ(Chihuahua)州に位置する、カサス・グランデス(Casas Grandes)としても知られるパキメ(Paquimé)遺跡の子供1個体について、古代ゲノム解析と放射性炭素…
中世イベリア半島北部の司教の遺骸の学際的な分析結果を報告した研究(Pérez-Ramallo et al., 2024)が公表されました。本論文は、サンティアゴ・デ・コンポステーラ(Santiago de Compostela)への巡礼と関わる重要人物とされている、イリア・フラビア(Iria Flavia)のテオドミロ(Teodomi…
ヒト進化研究ヨーロッパ協会第14回総会で、クロアチアで発見されたネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)のゲノムデータを報告した研究(Sümer et al., 2024)が報告されました。この研究の要約はPDFファイルで読めます(P169)。ネアンデルタール人の詳細な遺伝的歴史もしくはさまざまなネアンデルター…
ザンビアのバトゥア人(Batwa)の遺伝的歴史に関する研究(Breton et al., 2024)が公表されました。本論文は、ザンビアのバトゥア人の比較的孤立した2集団の遺伝的歴史を、現代人と古代人のゲノムデータから推測しています。分析の結果、バトゥア人は、バントゥー諸語話者集団的な遺伝的構成要素とともに、過去に現在のザンビアに存在…
ヒト進化研究ヨーロッパ協会第14回総会で、種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)とアジア東部のホモ属の系統関係についての研究(Gousset et al., 2024)が報告されました。本論文は、デニソワ人とアジア東部で発見された中期~後期更新世の分類に議論があるホモ属遺骸との系統関係を検証しています。この研究の要約…