チベット高原における前期完新世以降の長期のヒトの居住

 チベット高原における前期完新世以降の長期のヒトの居住を報告した研究(Chen et al., 2024)が公表されました。チベット高原では、中期更新世にまでさかのぼる人類の痕跡が確認されており、現生人類(Homo sapiens)のみならず、種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)の存在も確認されていますが、それがどの…
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第50回衆院選結果

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、議席と得票数が確定したので、先日(2024年10月27日)投票が行なわれた衆院選について取り上げます。各党の確定議席数は以下の通りで、()は公示前の議席数です。 自民党:191(247) 立憲民主党:148(98) 日本維新の会:38(44) 公明党:24(32) 国民民主党:28(7…
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人類史における地域的断絶および文化と遺伝の関係

 2年半近く前の2022年6月5日に、人類史における連続と断絶、さらには文化やその変容と担い手の遺伝的構成の関係についてまとめました(関連記事)。それ以降、この問題について当ブログで取り上げた追加すべき研究がそれなりの数になったので、本格的なまとめを作成する準備として、2022年6月5日以後に当ブログで取り上げた、地域的断絶および文化と…
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大河ドラマ『光る君へ』第41回「揺らぎ」

 今回も、即位した三条帝と藤原道長(三郎)との駆け引きなど、を中心に話が展開しました。三条帝は東宮時代に何度か登場しており、野心的な人物として描かれてきました。まあ、よく言えば政務に意欲的な帝です。三条帝は道長に関白就任を打診しますが、道長は断ります。ところが、三条帝はそれを見越していたのか、15年以上前に死んでいる藤原済時の娘の娍子を…
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古代の皇位継承について

 今日(2024年10月27日)、いよいよ衆院選投票日を迎えましたが、今回は、議席数も選挙後の政権の在り様も、私のような政治家やその近い関係者でも報道機関もしくは選挙情勢調査機関の勤務者でも政治学者でもない者には、予測が難しく、かなり不透明なように思え、衆院選後に政治的混乱が長引くのではないか、と懸念しています。今回の衆院選でもネットで…
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池田雅雄『大相撲史入門』

 角川ソフィア文庫の一冊として、KADOKAWAから2020年9月に刊行されました。 電子書籍での購入です。本書は、著者の生前のさまざまな媒体に掲載された相撲に関する記事を編集した日本相撲史です。私が相撲を見るようになって40年以上経ちましたが、相撲史についてさまざまな本や雑誌の記事で断片的に得てきただけで、体系的な本を読んだことがなか…
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変動する選択から明らかになる適応の繊細さ

 変動する選択から適応の繊細さを明らかにした研究(Bitter et al., 2024)が公表されました。時間的に変動する環境条件は、自然生息地に普遍的な特徴です。しかし、自然個体群が、集団内に存在する遺伝的多様性の変化を通して、変動する選択圧に対してどの程度の細かさで適応的に追従しているのかは不明です。この研究は、大規模に複製された…
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ヨーロッパにおける中世以降のジェット気流の農耕への影響

 ヨーロッパにおける中世以降のジェット気流の農耕への影響に関する研究(Xu et al., 2024)が公表されました。ジェット気流は、北半球中緯度域における気候変動の重要な動的駆動要因である。北大西洋–ヨーロッパ域ジェット気流緯度(jet stream latitude in the North Atlantic–European s…
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中世ハンガリーのアバ一族の起源

 古代ゲノムデータに基づく中世ハンガリーのアバ(Aba)一族の起源に関する研究(Varga et al., 2024)が公表されました。本論文は古代ゲノムデータに基づいて、中世ハンガリーにおいてたいへん重要な役割を果たし、広範な領域を支配して、影響力のある人物を輩出したアバ一族の構成員を特定しています。また、アバ一族の父系がモンゴルにま…
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ライオンの歯に挟まっていた毛から得られた獲物のDNA

 ライオンの歯に挟まっていた毛から得られた獲物のDNA解析結果を報告した研究(Flamingh et al., 2024)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、ケニアの1890年代にツァボライオン(Tsavo lion)の歯に挟まっていた獲物の毛のDNA解析から、キリンやヒトやウォーターバックやヌーや…
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大河ドラマ『光る君へ』第40回「君を置きて」

 今回も、宮中の人間模様の描写が中心となります。前回、一条帝の体調不良が描かれましたが、今回は一条帝の体調悪化と譲位と崩御まで一気に話が進みました。一条帝は中宮の彰子をすっかり信用しているようで、一条院の最期を看取ったのは彰子でした。一条帝の体調悪化は藤原道長(三郎)も気づき、道長は公卿に譲位を打診します。現時点の東宮は居貞親王(三条帝…
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『卑弥呼』第139話「心の戦い」

 『ビッグコミックオリジナル』2024年11月5日号掲載分の感想です。前回は、日下(ヒノモト)国にて、吉備津彦(キビツヒコ)が日下国に強制連行してきた金砂(カナスナ)国の能見邑(ノミノムラ)の住民250人に、これからは日下の三輪山が出雲の信仰の中心だ、と伝えたところで終了しました。今回は、白ウサギの神話が語られる場面から始まります。本作…
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網野善彦『歴史としての戦後史学 ある歴史家の証言』

 角川ソフィア文庫の一冊として、KADOKAWAから2018年9月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、戦後歴史学の初期から関わってきた歴史学の研究者である網野善彦氏の視点からの戦後歴史学の研究史であり、網野氏の自伝的側面もあるように思います。歴史学を専攻していれば、研究史について学ぶ機会があるでしょうし、戦後歴史学についても…
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哺乳類の顎関節の起源

 哺乳類の顎関節の起源に関する研究(Rawson et al., 2024)が公表されました。荷重を支える歯骨–鱗状骨間の顎関節の獲得は、哺乳類進化における重要な段階の一つでした。この新機軸は数十年にわたって研究されてきましたが、哺乳類様の頭蓋–顎間接触が進化した時期や頻度に関しては不明な点が残っており、その解明は、非哺乳型類のキノドン…
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土井ヶ浜遺跡の弥生時代の人類のゲノムデータ

 土井ヶ浜遺跡の弥生時代の女性1個体のゲノムデータを報告した研究(Kim et al., 2025)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。日本語の解説記事もあります。山口県下関市豊北町にある土井ヶ浜遺跡は、弥生時代の「渡来系」とされる人類集団が発見されたことで有名です。本論文は、土井ヶ浜遺跡の弥生時代の女性1個…
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複合機の買い替えとメモリの増設

 今年(2024年)前半に、2009年に購入(関連記事)して以降ずっと使ってきた複合機で印刷できなくなったので、まだスキャナー機能は使えるものの、印刷の必要もあるため、複合機として新たにエプソンのカラリオ「EW-056A」を購入しました。先代の複合機は14年以上使っていたことになり、さすがに買い替えを決断しました。出費を惜しんで、互換の…
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ハイギョ類の進化

 ゲノム解析によるハイギョ類の進化についての研究(Schartl et al., 2024)が公表されました。現生ハイギョ類のゲノムは、デボン紀における肉鰭類魚類から四肢類への移行の分子発生的な基盤に関して情報をもたらすことができます。この研究は、アフリカハイギョの一種であるプロトプテルス・アネクテンス(Protopterus anne…
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大河ドラマ『光る君へ』第39回「とだえぬ絆」

 今回も、宮中の描写が中心となります。彰子は再び懐妊し、一条帝からすっかり信頼されているようです。この懐妊で生まれたのが敦良親王(後朱雀帝)で、後朱雀帝の父系が現在の皇室につながっています。一条帝は体調が思わしくなく、側近の藤原行成には、死を覚悟している、と示唆します。一条帝は最愛の定子との間の皇子である敦康親王を次の東宮としたいわけで…
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ヨーロッパ東部のネアンデルタール人のミトコンドリアDNA

 ヒト進化研究ヨーロッパ協会第14回総会で、ヨーロッパ東部のネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)のミトコンドリアDNA(mtDNA)解析結果を報告した(Picin et al., 2024)が報告されました。この研究の要約はPDFファイルで読めます(P135)。ヨーロッパの最終氷期は、温暖なエーミアン(Eem…
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玉木俊明『ユーラシア大陸興亡史』

 平凡社より2024年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、ヨーロッパが近代においてアジア世界、とくに「中国」を圧倒した理由と過程について、農耕開始の頃にまでさかのぼって検証します。ヨーロッパがなぜ「中国」より先に近代化を達成したのか、という問題意識なわけですが、歴史学の観点で新石器時代までさかのぼるのは異例と言えそうです…
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パン用コムギの進化史

 パン用コムギの進化史に関する研究(Cavalet-Giorsa et al., 2024)が公表されました。パンコムギ(Triticum aestivum)は世界的な主要作物で、ヒトの食餌における重要なカロリー源およびタンパク質源となっています。現在のパンコムギは、倍数化や栽培化や育種のボトルネック(瓶首効果)に起因して、野生祖先種よ…
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液晶モニターを購入

 先々月(2024年8月)初めに2018年12月に購入した49インチの4Kテレビが壊れ(関連記事)、先々代のテレビが壊れたさいに録画機経由でテレビを視聴するため2017年11月に購入した、フルHDの21.5インチのモニター(関連記事)を1ヶ月ほど使っていましたが、HDMIが1基しかなく不便ですし、時にはパソコンから大画面で出力したい場合…
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バージニア州の植民地初期の上流階層のゲノムデータ

 現在のアメリカ合衆国バージニア州の植民地初期の上流階層のゲノムデータを報告した研究(Owsley et al., 2024)が公表されました。本論文は、バージニア州ジェームズタウンの教会に埋葬された、17世紀初期に死亡したの人類遺骸2個体のゲノム解析結果を報告しています。これらの個体は植民地初期の上流階層の一族で、名前も特定されており…
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メキシコの14世紀の子供遺骸の学際的研究

 メキシコで発見された14世紀の子供1個体の遺骸の学際的分析結果を報告した研究(Sedig et al., 2024)が公表されました。本論文は、メキシコのチワワ(Chihuahua)州に位置する、カサス・グランデス(Casas Grandes)としても知られるパキメ(Paquimé)遺跡の子供1個体について、古代ゲノム解析と放射性炭素…
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大河ドラマ『光る君へ』第38回「まぶしき闇」

 今回も、宮中の人間模様が中心となります。前回、清少納言(ききょう)が紫式部(まひろ、藤式部)を訪ね、後に『源氏物語』と呼ばれる紫式部の書いた物語を読んだ、と伝えたところで終わり、今回冒頭で、清少納言は毒を含めつつ、表面的には紫式部の物語を褒めますが、その目的は、紫式部への宣戦布告というか恨み言と、一条帝と皇后定子との間に生まれた敦康親…
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『卑弥呼』第138話「相似」

 『ビッグコミックオリジナル』2024年10月20日号掲載分の感想です。前回は、ヤノハが遼東郡の襄平で、後少し待てば、魏への道を阻む公孫淵は滅びる、と一行に力強く伝えるところで終了しました。今回は、作中の現時点から1年半ほど前、)金砂(カナスナ)国にて日下(ヒノモト)国の吉備津彦(キビツヒコ)が神名火山(カムナビノヤマ)を眺めている場面…
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岩井淳『ヨーロッパ近世史』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2024年8月に刊行されました。電子書籍での購入です。近世は一般的には、時代区分に置いて古代→中世→近世→近代(→現代)の4(5)区分の中世と近代の間に位置づけられます。これまでの自分の時代区分認識で問題だったと考えているのは、中世は近代とは大きく異なる異質な時代で、近代を到達点として把握し、近世を…
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中世イベリア半島北部の司教の遺骸の学際的研究

 中世イベリア半島北部の司教の遺骸の学際的な分析結果を報告した研究(Pérez-Ramallo et al., 2024)が公表されました。本論文は、サンティアゴ・デ・コンポステーラ(Santiago de Compostela)への巡礼と関わる重要人物とされている、イリア・フラビア(Iria Flavia)のテオドミロ(Teodomi…
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クロアチアのネアンデルタール人のゲノムデータ

 ヒト進化研究ヨーロッパ協会第14回総会で、クロアチアで発見されたネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)のゲノムデータを報告した研究(Sümer et al., 2024)が報告されました。この研究の要約はPDFファイルで読めます(P169)。ネアンデルタール人の詳細な遺伝的歴史もしくはさまざまなネアンデルター…
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ザンビアのバトゥア人の遺伝的歴史

 ザンビアのバトゥア人(Batwa)の遺伝的歴史に関する研究(Breton et al., 2024)が公表されました。本論文は、ザンビアのバトゥア人の比較的孤立した2集団の遺伝的歴史を、現代人と古代人のゲノムデータから推測しています。分析の結果、バトゥア人は、バントゥー諸語話者集団的な遺伝的構成要素とともに、過去に現在のザンビアに存在…
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デニソワ人とアジア東部のホモ属の系統関係

 ヒト進化研究ヨーロッパ協会第14回総会で、種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)とアジア東部のホモ属の系統関係についての研究(Gousset et al., 2024)が報告されました。本論文は、デニソワ人とアジア東部で発見された中期~後期更新世の分類に議論があるホモ属遺骸との系統関係を検証しています。この研究の要約…
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