13世紀のカスティーリャ王国の王女のDNA解析

 13世紀のカスティーリャ王国の王女のDNA解析を報告した研究(Palomo-Díez et al., 2023)が公表されました。古代DNA研究は近年ますます盛んになっており、その主要な対象は先史時代の名前の不明な個体ですが、名前を知られている歴史上の人物のDNA解析も増えつつあり、たとえばハンガリー王国のフニャディ(Hunyadi)…
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南川高志『マルクス・アウレリウス 『自省録』のローマ帝国』

 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2022年12月に刊行されました。電子書籍での購入です。著者には本書の四半世紀近く前に刊行された著書『ローマ五賢帝 「輝ける世紀」の虚像と実像』があり(関連記事)、面白かったので、五賢帝の最後となるマルクス・アウレリウスについて四半世紀近く経て新たな知見も盛り込まれ、より詳しく知ることができる…
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再来年(2025年)の大河ドラマは蔦屋重三郎が主人公の『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』

 再来年(2025年)の大河ドラマは蔦屋重三郎が主人公の『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』と発表されました。2025年の大河ドラマの予想(関連記事)では幕末以降としましたが、2020年(関連記事)と2022年(関連記事)と2023年(関連記事)に放送予定の大河ドラマ作品の予想で蔦屋重三郎も候補に挙げており、これは客観的な予想というよりは多分…
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突進採餌の限界によるミンククジラ類の小さな体

 ミンククジラ類の体の小ささに関する研究(Cade et al., 2023)が公表されました。ヒゲクジラ類は、突進採餌として知られる採餌戦略を用いています。これは、被食者が豊富に含まれている大量の水を高速で口内に取り込み、ヒゲの「ふるい」で濾過することによる戦略です。この採餌法がエネルギー効率に優れるのは、ひとえにヒゲクジラ類が大量の…
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『イヴの七人の娘たち』の想い出とその後の研究の進展

 2001年に刊行されたブライアン・サイクス(Bryan Clifford Sykes)氏の著書『イヴの七人の娘たち』は、このような一般向けの科学啓蒙書としては異例なほど世界的に売れたようで、私も購入して読みました(Sykes.,2001)。近年時々、『イヴの七人の娘たち』は日本でも一般向けの科学啓蒙書としてはかなり売れたようではあるも…
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ネアンデルタール人による海産物の利用

 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)による海産物の利用を報告した研究(Zilhão et al., 2020)が公表されました。日本語の解説記事もあります。水産食料の恒常的な利用の記録は、ヨーロッパのネアンデルタール人では欠けていました。対照的に、個人的装飾品や身…
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大河ドラマ『どうする家康』第15回「姉川でどうする!」

 今回は姉川の戦いが描かれました。金ヶ崎からの徳川家康と木下藤吉郎(羽柴秀吉)の撤退戦は具体的には描写されませんでしたが、家康の生涯は長く、その事績は逸話的なものも含めてよく知られており、1年間の放送ではどこかを省略もしくは簡略化しないといけませんので、金ヶ崎から撤退後の織田信長への報告で家康と藤吉郎のやり取りが描かれたこともあり、金ヶ…
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封印された古代エジプトの動物の棺の調査

 封印された古代エジプトの動物の棺の調査結果を報告した研究(O’Flynn et al., 2023)が公表されました。古代エジプトでは動物のミイラ化が一般的で、多くの非ヒト動物遺骸は、神の肉体的な化身だと信じられていたり、神への供物とされていたり、儀式に用いられたりして、非ヒト動物やヒトと非ヒト動物との混血を表現した彫像や奉納箱に納め…
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森部豊『唐 東ユーラシアの大帝国』

 中公新書の一冊として、中央公論新社より2023年3月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は唐を、漢字文化圏の一王朝として把握するだけではなく、その多様な側面を取り上げます。唐は文化もその担い手の出自も複雑だった、というわけです。本書の特徴は、日本語の概説では、隋やさらには魏晋南北朝にさかのぼって、また五代にまで下ってともに語ら…
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『卑弥呼』第106話「三人」

 『ビッグコミックオリジナル』2023年5月5日号掲載分の感想です。前回は、暈(クマ)国に送り込んだアカメが祈祷女(イノリメ)を装い、田油津日女(タブラツヒメ)と名乗っていたものの、暈の大夫である鞠智彦(ククチヒコ)に捕らわれたと確信したヤノハが、田油津日女を助け出す、と山社(ヤマト)国の5人の重臣(ミマト将軍、イクメ、テヅチ将軍、ヌカ…
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地中海西部の島における青銅器時代の薬物使用

 地中海西部の島における青銅器時代の薬物使用を報告した研究(Guerra-Doce et al., 2023)が公表されました。これまでに発表された先史時代のヨーロッパにおける薬物使用を示す証拠は、青銅器時代の容器から検出されたアヘンアルカロイド、儀式的な状況での薬用植物の残骸の発見、芸術的描写における薬用植物の登場など、間接証拠に基づ…
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匈奴の人口構造

 匈奴(Xiongnu)西部辺境地の墓地で発見された個体のゲノムデータを報告した研究(Lee et al., 2023)が公表されました。匈奴などユーラシア内陸部の遊牧民勢力についても、近年の古代ゲノム研究の進展は目覚ましく、たとえばアヴァールについて、社会的地位による遺伝的構成要素の違いがあり、支配層において200年間ほど起源地のユー…
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大河ドラマ『どうする家康』第14回「金ヶ崎でどうする!」

 今回は金ヶ崎の撤退戦が描かれました。織田信長は越前の朝倉領に攻め込みますが、浅井長政の離反を知って撤退し、従軍していた徳川家康も退却戦に巻き込まれるわけですが、前回理由が描かれなかった浅井長政の離反は、朝倉との関係を重視したのではなく、信長の強すぎる野心が災厄をもたらす、と警戒しているようでした。浅井は織田だけではなく朝倉にも従属して…
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オーストラリアにおける後期更新世の植生変化

 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、オーストラリアにおける後期更新世の植生変化に関する研究(Lopes dos Santos et al., 2013)が公表されました。後期更新世のオーストラリアは、寒冷期にはニューギニア島やタスマニア島などとは陸続きとなりサフルランドを形成していました。オーストラリアでは、ヒトがオーストラリ…
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問題のある見解や人類の攻撃性などの雑感

 日頃色々と考えているものの、それぞれ単独の記事にまとめられるほど整理できているわけではない事柄について、この機会に雑多に述べることにします。インターネット、とくにSNSの普及により、私もそうですが、平凡もしくはそれ以下の大衆の一人にすぎなくても世界中に容易に情報を発信できるようになり(もちろん、平凡な大衆の一人がSNSで発言しても、ほ…
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鈴木貞美『満洲国 交錯するナショナリズム』

 平凡社新書の一冊として、平凡社より2021年2月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、満洲国を単なる日本による傀儡国家として把握するのではなく、日本人に限らず関わったさまざまな人々の主体性にも注目し、もちろん差別的側面は多かったことを認めつつ満洲国の複雑で多面的な様相を検証します。また本書は、当時の日本政府が当初は満洲国の建…
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オーストラリア博物館のデニソワ人の記事

 種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)について記事をまとめて(関連記事)から4年近く経過し、まとめ記事を更新しよう、とここ1~2年はずっと考えてきましたが、当ブログで取り上げただけでもデニソワ人関連の研究はそれなりにあり、整理するのが大変なので、手をつけていません。そこで、簡潔にまとまっているオーストラリア博物館のデ…
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フランス地中海地域の後期ネアンデルタール人のゲノムデータ

 フランス地中海地域の後期ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)のゲノムデータを報告した研究(Slimak et al., 2023)が公表されました。本論文は査読前なので、あるいは今後かなり修正されるかもしれませんが、ひじょうに興味深い内容なので取り上げます。本論文は、フランス地中海地域のマンドリン洞窟(Gr…
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マリノアン氷期の海洋生息環境

 6億5400万年~6億3500万年前頃となるマリノアン氷期(Marinoan Ice Age)の海洋生息環境に関する研究(Song et al., 2023)が公表されました。マリノア氷期には、大陸の氷床が熱帯海洋に到達しました。複雑な生命体がマリノアン期の「スノーボールアース(地球全体が完全に氷に覆われた状態)」現象による氷河作用を…
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ネアンデルタール人とデニソワ人から現生人類へと伝わった遺伝子疾患

 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)から現生人類(Homo sapiens)へと継承された遺伝子疾患に関する研究(Toncheva et al., 2023)が公表されました。ネアンデルタール人とデニソワ人から現生人類へと伝わった遺伝子疾患は、ネアン…
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孵化直後のゼブラフィッシュの数的能力

 孵化直後のゼブラフィッシュの数的能力に関する研究(Lucon-Xiccato et al., 2023)が公表されました。数的能力は、ヒトだけではなくカワスズメ科やエイの一種などでも確認されており(関連記事)、脊椎動物に広く存在すると考えられます。数的能力の普遍性を説明する興味深い仮説は、すべての脊椎動物が生まれながらにして、数を処理…
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サルデーニャ島の絶滅イヌ科動物

 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、サルデーニャ島の絶滅イヌ科動物に関する研究(Ciucani et al., 2021)が公表されました。イヌは家畜としての歴史が他の種よりはるかに長いと考えられ、現代社会では愛玩動物として家庭で飼育されていることが多く、は現代人にとって最も身近な動物とも言えそうです。そのため、イヌは遺伝学で…
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黒田基樹『徳川家康の最新研究 伝説化された「天下人」の虚構をはぎ取る』

 朝日新書の一冊として、朝日新聞社より2023年1月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、近年の徳川家康研究の進展を踏まえた一般向けの解説です。最近十数年で家康研究は大きく前進したようで、とくに少年期から羽柴秀吉に従属するまでの政治動向と、秀吉死後から征夷大将軍就任までの政治動向について、研究が著しく進展したそうです。今年(2…
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アフリカ人の大規模なゲノムデータ

 アフリカ人の大規模なゲノムデータを報告した研究(Bird et al., 2023)が公表されました。本論文は、カメルーンとコンゴ共和国とガーナとナイジェリアとスーダンの150以上の民族集団から得られた1333個体のゲノム規模データを報告しています。現生人類(Homo sapiens)の起源地であるアフリカは、最も現代人の遺伝的多様性…
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『卑弥呼』第105話「物忌み」

 『ビッグコミックオリジナル』2023年4月20日号掲載分の感想です。前回は、筑紫島(ツクシノシマ、九州を指すと思われます)連合軍が日下(ヒノモト)連合軍を破り、金砂(カナスナ)国の青谷(アオタニ)邑(現在の鳥取市青谷町でしょうか)で、ヤノハが山社(ヤマト)連合国の諸王と兵士に、戦は終わったのでともに故郷に帰ろう、と呼びかけるところで終…
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北アメリカ大陸の大草原地帯へのヨーロッパ系集団到来前となるウマの導入

 北アメリカ大陸の大草原地帯におけるヨーロッパ系集団到来前となるウマの導入を報告した研究(Taylor et al., 2023)が公表されました。日本語の解説記事もあります。ウマは北アメリカ大陸で進化し、ベーリンジア(ベーリング陸橋)を渡ってユーラシアへと拡散しました。ウマはユーラシアにおいて進化し続け、家畜化されましたが、知られてい…
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大河ドラマ『どうする家康』第13回「家康、都へゆく」

 今回は徳川家康にとって初の上洛が描かれ、これまでは三河を中心に東海道が舞台でしたが、舞台が広がり、足利義昭と明智光秀と茶屋四郎次郎と浅井長政が初登場となったように、新展開を迎えた感があります。足利義昭は典型的な「馬鹿殿」に見え、かなり戯画化された感がありますが、出番が少なかったので、今後、信長が高く評価するだけの側面を見せるでしょうか…
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林尙澤「韓半島新石器時代集落の展開と生業の変化」

 本論文は、2019年7月28日に行なわれた明治大学グローバルホールでの講演の報告です。朝鮮半島の新石器時代はおもに土器の特徴から地理的には東北部と西北部と中西部と中東部と南部に区分され、時期は草創期と早期と前期と中期と後期と晩期に6区分されています。2019年時点で知られている違いの新石器時代集落遺跡は100ヶ所ほどで、本格的な集落遺…
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前近代スワヒリ海岸の人々の遺伝的起源

 前近代スワヒリ海岸の人々のゲノムデータを報告した研究(Brielle et al., 2023)が公表されました。アフリカ、とくにサハラ砂漠以南は、その高温環境のため古代DNA研究に適しておらず、世界では古代DNA研究が遅れた地域と言えるでしょう(関連記事)。本論文は、前近代(1250~1800年頃)のスワヒリ海岸の都市部の人類遺骸か…
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森恒二『創世のタイガ』第11巻(講談社)

 2023年3月に刊行されました。第11巻は第10巻に続いて、主人公たち現生人類(Homo sapiens)側とネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)側(とはいっても、その指導者は第二次世界大戦のドイツとフランスの国境付近の戦場から来たドイツ人ですが)との戦いを中心に描かれました。第11巻は、ネアンデルタール人…
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