過去12000年間の人類の進化

 『米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America、略してPNAS)』120巻4号では、過去12000年間(ほぼ完新世に相当します)の人類の進化に関する特集が組まれており、複数の論文が掲載されています。…
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大河ドラマ『どうする家康』第4回「清須でどうする!」

 今回は、松平元康(徳川家康)が今川方から離反し、織田方との講和のため向かった清須城での、家康と信長や木下藤吉郎(羽柴秀吉)やお市とのやり取りが中心に描かれました。今川から離反したこの状況では、家康は織田と組むしかないわけですが、織田とどのような関係を築くのか、家康の選択が問題になってくるわけで、家康に限らず戦乱の世の当主ともなればその…
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ナイル川中流域の4000年前頃の人類の毛髪から得られたDNAデータ

 ナイル川中流域の4000年前頃の人類の毛髪から得られたDNAデータを報告した研究(Wang et al., 2022)が公表されました。錐体骨と歯は、古代DNA抽出のため研究者により最も多く標的とされる骨格要素で、以前に刊行されたアフリカ古代人のゲノムの大半の出所です。しかし、アフリカのほとんどを特徴づける高温環境は、骨格遺骸の保存状…
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太田博樹『古代ゲノムから見たサピエンス史』

 歴史文化ライブラリーの一冊として、吉川弘文館より2023年1月に刊行されました。本当は電子書籍で購入したかったのですが、歴史文化ライブラリーは紙版と比較して電子書籍化が遅いようなので、我慢できずに紙版を購入しました。本書は近年著しい古代ゲノム研究の進展について、研究史を整理し、方法論について簡潔に解説しつつ、概観しています。近年刊行さ…
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新石器時代から鉄器時代のエーゲ海地域の混合史と族内婚

 新石器時代から鉄器時代のエーゲ海地域の古代人のゲノムデータを報告した研究(Skourtanioti et al., 2023)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。新石器時代と青銅器時代はヨーロッパの遺伝的歴史にとって大きな転換期でしたが、ヨーロッパの先史時代にとって重要な地域であるエーゲ海にとっては、文化的…
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フィンランド人のゲノム規模解析と疾患との関連

 フィンランド人のゲノム規模解析と疾患との関連についての二つの研究が公表されました。一方の研究(Kurki et al., 2023)はフィンランド人のゲノム規模解析データを報告しています。フィンランド人集団のような隔離集団は、有害なアレル(対立遺伝子)が少数の低頻度多様体(少数アレル頻度が0.1%以上で5%未満)に集中することが多いた…
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過去25万年間の現生人類の世代時間

 過去25万年間の現生人類(Homo sapiens)の世代時間に関する研究(Wang et al., 2023)が公表されました。現代人の最近の祖先の世代時間は、先史時代のヒトの生物学的および社会的組織の両方について語ることができ、ヒトの進化を絶対的な時間規模に位置づけます。本論文は、変異連続体における変化に基づいて、男女の世代時間を…
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大河ドラマ『どうする家康』第3回「三河平定戦」

 桶狭間の戦いで今川義元が討ち死にし、松平元康(徳川家康)は岡崎城に入り、この時点での家康は、今川から直ちに寝返るつもりはなく、やがて駿府に戻って義元の後継者である氏真の側近になろう、と考えています。本作の家康は誕生の地である田舎の岡崎より駿府の方に明らかに愛着を持っており、史実ではそうだったとしても不思議ではないようにも思います。とも…
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大相撲初場所千秋楽

 先場所に続いて今場所も横綱の照ノ富士関が全休となり、もう横綱昇進前後の強さを取り戻すことは難しいでしょうし、復帰しても横綱に相応しい成績を残せるのか不明で、正直なところ、このまま復帰できずに引退するのではないか、と懸念されます。横綱を長く務められないだろう、と照ノ富士関自身も横綱昇進当初から考えていたでしょうが、横綱として短命に終わっ…
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『卑弥呼』第101話「最後の大嘘」

 『ビッグコミックオリジナル』2023年2月5日号掲載分の感想です。前回は、ところで終了しました。今回は、金砂(カナスナ)国の青谷(アオタニ)邑(現在の鳥取市青谷町でしょうか)で、ヤノハとミマト将軍が日下(ヒノモト)国を盟主とする連合軍を迎え撃つための準備を見守っている場面から始まります。ヤノハは木を伐採させ、弓の射程距離を確認していま…
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更科功『禁断の進化史 人類は本当に「賢い」のか』

 NHK出版新書の一冊として、NHK出版から2022年12月に刊行されました。電子書籍での購入です。まず本書は、通俗的というか陥りやすい誤った進化観の見直しを提起します。たとえば、現代人と最近縁の現生分類群はチンパンジー属ですが、現代人とチンパンジー属の最終共通祖先は現生人類チンパンジー属のような形態と行動だった、というような認識で、進…
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青銅器時代イベリア半島南部の親族関係

 青銅器時代イベリア半島南部の親族関係に関する研究(Villalba-Mouco et al., 2022)が公表されました。ヨーロッパにおける前期青銅器時代は、紀元前三千年紀初期に始まる社会的および遺伝的変容により特徴づけられます。新たな集落や葬儀構建築物や人工物や技術は、増加する経済的非対称性と政治的階層化を伴う、変化の時代を示唆し…
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ジュラ紀のトカゲの頭蓋骨化石

 ジュラ紀のトカゲの頭蓋骨化石に関する研究(Brownstein et al., 2022)が公表されました。有鱗目冠群(トカゲの現生種を含む分類群)の進化初期の化石は、数が少ない上に、通常は保存状態もよくないため、押しつぶされていない最古の骨格材料は、白亜紀(約1億4550万~6550万年前)のものとなっています。ジュラ紀(約2億~1…
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鉄器時代から現在のスカンジナビア半島の人類史

 鉄器時代から現在のスカンジナビア半島の人類のゲノムデータを報告した研究(Rodríguez-Varela et al., 2023)が公表されました。古代人のゲノムの新たな48点と刊行されている249点、および現代人16638個体の遺伝子型に基づいて、鉄器時代から現在までのスカンジナビア半島の2000年の遺伝的横断区が調べられました。…
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大河ドラマ『どうする家康』第2回「兎と狼」

 今回は、桶狭間の戦いで今川義元が討ち取られた後の松平軍の窮地が描かれました。松平軍は大高城に兵糧を運搬したところで義元の討ち死にを知り、圧倒的に優勢な織田信長の率いる軍勢が迫ってくる、という危機的状況を松平元康(徳川家康)がどう切り抜けるのか、注目されました。しかし、信長は撤兵し、岡崎城から今川勢が撤退したことで、家康は駿府へ向かおう…
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飲酒や喫煙に関連する遺伝的構造

 飲酒や喫煙に関連する遺伝的構造を報告した研究(Saunders et al., 2022)が公表されました。タバコやアルコールの使用は遺伝性の行動で、それぞれ世界の死亡の15%と5.3%に関連していますが、これはおもに疾患や傷害の危険性が広く上昇するためです。これは環境要因(文化的背景や公衆衛生政策など)の影響を受けることもありますが…
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これまで知られていなかった遺伝的構成のアルタイ地域の中期完新世狩猟採集民

 中期完新世にさかのぼるアジア北部古代人のゲノムデータを報告した研究(Wang et al., 2023)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。アジア北部の植民史は、この地域で分析された古代人のゲノム数が限定的であるため、ほとんど調査されていません。本論文は、早ければ7500年前頃と年代測定された、アジア北部、…
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『歴史読本』編集部『ここまで分かった! 「古代」謎の4世紀』

 本書は2014年7月に刊行された新人物文庫の電子書籍化で、『歴史読本』2013年12月号の特集「ここまで分かった! 謎の4世紀」の加筆・修正による再編集です。今となってはやや古いと言えるかもしれませんが、古墳も含めて4世紀の日本列島について広範に取り上げられていますし、「謎の4世紀」という表現は10代の頃には馴染み深く懐かしさがあり、…
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反芻動物の内耳から推測される過去3500万年間の進化史

 反芻動物の内耳から過去3500万年間の進化史を推測した研究(Mennecart et al., 2022)が公表されました。外来因子と内在因子が多様性に影響を与え、深い時間規模では、気候や地質などの外在的な影響が重要ですが、あまり理解されていません。この研究は、反芻動物の内耳形状を用いて、適応性の低い解剖学的構造と外来的および内発的変…
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イベリア半島の銅器時代の飾り板

 イベリア半島の銅器時代の飾り板に関する研究(Negro et al., 2022)が公表されました。5500~4750年前頃となる銅器時代のイベリア半島南西部では、粘板岩に彫刻を施した飾り板が大量に製作されました(図1)。この掌くらいの大きさの石器は、1世紀以上にわたってその機能が推測されてきましたが、女神を表し、儀式に用いられた、と…
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エピジェネティック因子によるマウスの食餌性肥満の継承

 エピジェネティック因子によるマウスの食餌性肥満の継承に関する研究(Hoekzema et al., 2022)が公表されました。妊娠はホルモン状態の大きな変化を伴いますが、それがヒトの神経の構造と機能に及ぼす影響については、ほとんど解明されていません。この研究は、妊娠により引き起こされる脳の変化過程を調べるため、40人の女性を対象とし…
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扶南期のカンボジアの男児個体におけるアジア南部からの遺伝的影響

 扶南(Funan)期のカンボジアの男児個体におけるアジア南部からの遺伝的影響を報告した研究(Changmai et al., 2022)が公表されました。インドの文化的影響はアジア南東部本土(MSEA)において顕著で、この地域における初期国家の形成を刺激したかもしれません。MSEAにおけるさまざまな現在の人口集団は、低水準のアジア南部…
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大河ドラマ『どうする家康』第1回「どうする桶狭間」

 いよいよ今年(2023年)の大河ドラマが始まりました。今年は戦国時代の「三傑」の一人である徳川家康が主人公で、「三傑」の残り二人の織田信長と豊臣秀吉はもちろん、今川義元と武田信玄も登場しますし、おそらく後半には伊達政宗と真田信繁(本作では真田幸村との表記が採用されるかもしれませんが)も登場するでしょうから、戦国時代もの大河ドラマの総決…
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シチリア島の上部旧石器時代人類のゲノムデータと食性と微生物叢

 シチリア島の上部旧石器時代人類のゲノムデータと食性と微生物叢を報告した学際的研究(Scorrano et al., 2022)が公表されました。ヒト遺骸および関連する歯石からの古代生体分子分析における最近の進歩は、現生人類(Homo sapiens)の先史時代の食性および遺伝的多様性への新たな洞察を提供してきました。本論文は複数分野の…
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吉川忠夫『侯景の乱始末記 南朝貴族社会の命運』

 志学社選書の一冊として、志学社から2019年12月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書の親本『侯景の乱始末記 南朝貴族社会の命運』は、中公新書の一冊として中央公論社より1974年4月に刊行されました。本書は、この親本に「史家范曄の謀反」が補篇として加えられています。本書は、侯景の乱の経緯と、その背景となる南朝貴族社会を叙述する…
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『卑弥呼』第100話「約束の地」

 『ビッグコミックオリジナル』2023年1月20日号掲載分の感想です。ついに100話に到達し、すでに同じ作画者の『天智と天武~新説・日本書紀~』の93話を超えており、同じ原作者の『イリヤッド』の123話も超えそうで、どこまで連載が続くのか、楽しみです。前回は、金砂(カナスナ)国の出雲で、ヤノハがミマト将軍とイクメに、自分の必勝策は、山社…
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ヨーロッパ中央部の家畜ネコの歴史

 ヨーロッパ中央部の家畜ネコの歴史に関する研究(Krajcarz et al., 2022)が公表されました。ヨーロッパ中央部の最近の研究は、ネコの家畜化の歴史に関する認識を変えてきました。本論文は、地中海を越えての家畜ネコ拡大への洞察を提供する目的で、最近の研究が古遺伝学と動物考古学と放射性炭素年代測定を組み合わせた学際的計画の発展に…
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中世ヴォルガ・オカ河間地域における遺伝的混合と言語の変化

 中世ヴォルガ・オカ河間地域における遺伝的混合と言語の変化に関する研究(Peltola et al., 2023)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。ロシア北西部のヴォルガ・オカ(Volga-Oka)河間地域には、紀元後における人口流入と言語変化の興味深い歴史があります。現在、この地域のほとんどの住民はロシア…
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再来年(2025年)の大河ドラマの予想

 そろそろ再来年(2025年)の大河ドラマが発表されそうなので、予想してみます。まず大前提として、2年連続で時代が重なることはあまりなく、多少重なったとしても舞台となる地域は異なる場合がほとんどのようだ、ということが挙げられます。来年は紫式部が主人公なので、平安時代である可能性は除外して問題ないと思います。昨年は平安時代末から鎌倉時代序…
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古人類学の記事のまとめ(48)2022年9月~2022年12月

 2022年9月~2022年12月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2022年9月~2022年12月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、当ブログは不特定多数の読者がいるという前提のもとに執筆しているとはいえ、基本的には備忘録的なもの…
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謹賀新年

 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。ついに2023年を迎えました。昨年も一昨年から続く新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が、日本では収束する見通しは立っておらず、さらには昨年2月にロシアがウクライナに直接的な軍事侵略を開始し、日本でも経済など…
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