年末の挨拶

 いよいよ2022年も終わりが近づいてきました。一年間この過疎ブログをお読みくださった方、さらには有益な情報を寄せてくださった方には感謝申し上げます。今年も日本社会は新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のためさまざまな打撃を受け、感染者数の減少と増加を繰り返し、日常生活の場面でも新…
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第68回東京大賞典結果

 近年では競馬への情熱をかなり失ってしまい、競馬関連の記事を掲載することが少なくなりましたが、有馬記念と東京大賞典だけは当ブログを始めてから毎年必ず取り上げてきたので、今年(2022年)も記事を掲載します。昨日(2022年12月29日)行なわれた今年の東京大賞典には、今年の帝王賞を勝ったメイショウハリオや今年のジャパンダートダービーを勝…
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2022年の古人類学界

 あくまでも私の関心に基づいたものですが、年末になったので、今年(2022年)も古人類学界について振り返っていくことにします。近年ずっと繰り返していますが、今年も古代DNA研究の進展には目覚ましいものがありました。正直なところ、最新の研究動向にまったく追いついていけていないのですが、今後も少しでも多く取り上げていこう、と考えています。当…
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ワラセアおよびサフル地域の人類史

 ワラセア(ウォーレシア)およびサフル地域の人類史に関する概説(Taufi et al., 2022)が公表されました。世界規模の人口集団から得られたゲノム配列データは、世界的な遺伝的多様性を形成してきた、現代人の共有祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)や歴史的移住へのさまざまな新しい洞察を提供してきました。しかし…
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チベット高原のトゥプト時代の古代ゲノムデータ

 チベット高原のトゥプト(Tubo、吐蕃)時代の人類遺骸のゲノムデータを報告した研究(Zhu et al., 2022)が公表されました。チベット高原(TP)文明の頂点である広大なトゥプト帝国(618~842年)は、古代中国西部全体に大きな影響力を振るいました。しかし、トゥプトの拡大が文化的だったのか人口的なものだったのかは、古代DNA…
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第67回有馬記念結果

 近年では競馬への情熱をかなり失ってしまい、競馬関連の記事を掲載することが少なくなりましたが、有馬記念と東京大賞典だけは当ブログを始めてから毎年必ず取り上げてきたので、今年(2022年)も記事を掲載することにしました。今年の有馬記念には、3歳馬では天皇賞(秋)を制したイクノイックス、4歳馬では、昨年の年度代表馬で有馬記念連覇を狙う宝塚記…
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前川一郎、倉橋耕平、呉座勇一、辻田真佐憲『教養としての歴史問題』

 東洋経済新報社より2020年11月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、歴史修正主義が現代日本社会で少なくとも一定以上浸透しており、歴史修正主義の「主戦場」は商業化された大衆文化・メディアの世界なのに、歴史学からの反応はともすれば専門誌・専門書という「内弁慶的な」ものに留まっていた、との認識に基づき、歴史学者としてどう向き合…
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トルコの北エーゲ海地域の下部旧石器と中部旧石器

 トルコの北エーゲ海地域の下部旧石器と中部旧石器に関する研究(Bulut et al., 2022)が公表されました。チャナッカレ・バルケスィル(Çanakkale-Balıkesir)海岸線旧石器時代調査計画は、エーゲ海のチャナッカレとバルケスィルの海岸線を対象としており、その目的は、旧石器時代遺物群およびその周辺の島々、おもにレスボ…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』全体的な感想

 本作はTwitterなどインターネットでさまざまな考察が提示され、それだけ視聴者が深読みできるだけの内容だった、と言えるように思います。私が本作について気づかなかったことで、小ネタだけではなく、人間関係の機微も多くあり、教えられるところが多々ありました。Twitterに問題が多いことは否定できませんが、情報収集の点では私にとって総合的…
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『卑弥呼』第99話「死に場所」

 『ビッグコミックオリジナル』2023年1月5日号掲載分の感想です。前回は、宍門(アナト)国のニキツミ王の館の前で、ヤノハが筑紫島(ツクシノシマ、九州を指すと思われます)6ヶ国と宍門国の連合軍の兵を前に、日下(ヒノモト)国とその傘下の諸国の連合軍との戦いは1日で終わる、と宣言したところで終了しました。今回は、宍門国と金砂(カナスナ)国の…
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完新世のアジア南西部と地中海東部における人類の移動パターン

 完新世のアジア南西部と地中海東部における人類の移動パターンに関する研究(Koptekin et al., 2023)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、最も早い新石器時代移行と複雑な階層社会の出現を経た広範な地域である、アナトリア半島とイランとレヴァントとコーカサス南部とエーゲ海におけるヒトの遺伝…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第48回(最終回)「報いの時」

 いよいよ最終回となります。この1年間、楽しんで視聴し続けてきただけに、かなりの寂しさがあります。冒頭で来年の大河ドラマの主役である徳川家康が『吾妻鏡』を読んでおり、しかも演者が来年と同じく松本潤氏だったのは驚きました。2016年放送の大河ドラマ『真田丸』で、翌年の大河ドラマ『おんな城主 直虎』との関連で井伊家に言及されていただけに、『…
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遺伝学とアフリカの過去

 遺伝学とアフリカの過去に関する総説(Prendergast et al., 2022)が公表されました。アフリカには地球上で最大のヒトの遺伝的多様性があり、これはアフリカ大陸全体で見つかった人口構造と、遺伝的差異の観察されたパターンを形成した人口統計学的過程の広範な調査を促してきた事実です。1980年代以降、現代人のDNA研究が繰り返…
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蔀勇造 『物語 アラビアの歴史 知られざる3000年の興亡』

 中公新書の一冊として、中央公論新社より2018年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は都市成立以降のアラビア半島史で、いわゆる無明時代(ジャーヒリーヤ、狭義にはイスラム教の前の約150年間)、つまりイスラム教よりも前のアラビア半島史をとくに知りたくて読んだわけですが、8章のうち4章もジャーヒリーヤに割いているのは意外でした…
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乳児との会話の普遍性

 乳児との会話の普遍性エピに関する研究(Hilton et al., 2022)が公表されました。多くの動物種から得られた証拠によると、発話には、他者や近くにいる捕食者に注意を促す警戒音声など、明確な機能がある、と分かっています。ヒトを対象とした従来の研究では、子守唄にも親による子どもへの話しかけ方にも、乳児を落ち着かせる効果がある、と…
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ヨーロッパ人集団の自然選択

 取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、ヨーロッパ人集団の自然選択に関する研究(Song et al., 2021)が公表されました。自然選択は進化の1経路で、世代から世次代へと小さな変化をもたらします。複雑な形質の自然選択の特徴の解明は、人類の進化や生物学的および病理学的な仕組みを理解するうえで重要です。先行研究から、自然選択が…
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ハイイロオオカミの寄生虫感染と群れのリーダーになる確率

 ハイイロオオカミ(Canis lupus)の寄生虫感染と群れのリーダーになる確率についての研究(Meyer et al., 2022)が報道されました。この研究は、アメリカ合衆国ワイオミング州のイエローストーン国立公園に生息するハイイロオオカミを調査し、リスクを負う行動とトキソプラズマ症の原因寄生虫であるトキソプラズマ原虫(Toxop…
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環境DNAから明らかになる200万年前頃のグリーンランドの生態系

 環境DNA200から万年前頃のグリーンランドの生態系を明らかにした研究(Kjær et al., 2022)が報道されました。後期鮮新世および前期更新世(360万~80万年前頃)の気候は、将来の温暖化で予測されている気候に近いものでした。古気候の記録からは、強い極域増幅と、現代よりも11~19度ほど高い年平均気温が明らかになっています…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第47回「ある朝敵、ある演説」

 今回は承久の乱の勃発までが描かれました。放送開始前には、本作の山場は承久の乱になるのかな、と予想していましたが、当初の予想よりは随分とあっさりしたものになりそうで、北条義時の最期の方に力が入れられているのかもしれません。もっとも、承久の乱自体も、おそらくは当時の多くの人々にとっては、予想外に早い決着だったのでしょうが。三浦義村の怪しい…
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イベリア半島北部の上部旧石器時代のイヌ遺骸

 イベリア半島北部の上部旧石器時代のイヌ遺骸に関する研究(Hervella et al., 2022)が公表されました。イヌ(Canis lupus familiaris)はヒトにより家畜化された最初の種と知られていますが、この家畜化過程の地理的および時間的起源は、さまざまな知識の分野でまだ議論されています。この研究では、スペインのバス…
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坂野潤治『西郷隆盛と明治維新』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2013年5月に刊行されました。電子書籍での購入です。ネットでは著者は西郷隆盛贔屓だと言われており、かなり癖がある内容なのかな、とも思いましたが、私の西郷隆盛への印象はかなり悪いので、西郷贔屓かもしれないとはいえ、著者が碩学であることは間違いないので、本書で西郷への印象を相対化できるかな、と考えて…
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ホモ・フロレシエンシスの中足骨

 人間進化研究ヨーロッパ協会第12回総会で、ホモ・フロレシエンシス(Homo floresiensis)の中足骨に関する研究(Tsegai et al., 2022)が報告されました。この研究の要約はPDFファイルで読めます(P171)。謎めいたホモ・フロレシエンシスは、頭蓋と頭蓋後方(首から下)の独特な組み合わせを示しており、ホモ属の…
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白亜紀の鳥類化石により見直される鳥類の進化

 白亜紀の鳥類化石を報告した研究(Benito et al., 2022)が公表されました。骨口蓋は、現生鳥類の最も古く分岐した2つのクレード(単系統群)であると新顎類(現生鳥類のほぼ全て)と古顎類(ヒクイドリやダチョウやシギダチョウ科など)を判別する特徴です。新顎類は口蓋骨が癒合しておらず、頭蓋が概して動的で、口蓋に関節があるのに対し…
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初期デニソワ人についての研究

 人間進化研究ヨーロッパ協会第12回総会で、種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)についての研究(Douka et al., 2022)が報告されました。この研究の要約はPDFファイルで読めます(P43)。シベリア南部のアルタイ山脈のデニソワ洞窟(Denisova Cave)は、上部旧石器層における現生人類(Homo …
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『卑弥呼』第98話「和議」

 『ビッグコミックオリジナル』2022年12月20日号掲載分の感想です。前回は、金砂(カナスナ)国の出雲で、本殿から出て吉備津彦(キビツヒコ)率いる軍への投稿を決意した吉備津彦(キビツヒコ)の率いる兵が、事代主(コトシロヌシ)が、自らを慕う民に生きよ、と遺言を伝えたところで終了しました。今回は、出雲において、事代主が本殿から吉備津彦率い…
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大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第46回「将軍になった女」

 今回は源実朝殺害事件後の政治的駆け引きが描かれました。実衣は息子の阿野時元を次の鎌倉殿にしようと動きますが、北条義時と通じていた三浦義村に謀られた形となり、謀叛人として自害に追い込まれます。実衣の処分をめぐって、厳罰を主張する義時と政子や北条泰時が対立するのは、このところの流れから予想できましたが、これが義時の最期にどう関わってくるの…
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ドイツの中世ユダヤ人のゲノムデータ

 ドイツの中世ユダヤ人のゲノムデータを報告した研究(Waldman et al., 2022)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、14世紀のドイツのエアフルト(Erfurt)の中世ユダヤ人墓地における回復発掘調査で得られた、アシュケナージ系ユダヤ人(AJ)のゲノム規模データを報告します。エアフルト個…
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Emmanuel Todd『我々はどこから来て、今どこにいるのか』上・下

 エマニュエル・トッド(Emmanuel Todd)著、堀茂樹訳で、早川書房から2022年10月に刊行されました。上巻の副題は「アングロサクソンがなぜ覇権を握ったか」、下巻の副題は「民主主義の野蛮な起源」です。原書の刊行は2017年です。電子書籍での購入です。著者の見解については断片的な情報を得ていましたが、本格的に読んだことはないので…
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『ウイニングポスト10』2022年3月発売

 『ウイニングポスト10』が来年(2022年)3月に発売される、公表されました。私はかつて『ウイニングポスト』シリーズの信者で、98DOS版だった初代から7マキシマム2008まで、PKも含めてパソコン版をすべて購入してきました(関連記事)。しかし、『ウイニングポスト7 2010』以降は、購入しない作品もあり、『ウイニングポスト8』も20…
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最大級のウミガメの化石

 最大級のウミガメの化石に関する研究(Castillo-Visa et al., 2022)が公表されました。既知の最大級のウミガメは、白亜紀末期頃には北アメリカ大陸周辺の海域に生息していました。その一例が、古代に絶滅したアーケロン(Archelon)属で、体長は4.6m、体重は3.2tにまで成長していました。これとは対照的に、既知のヨ…
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