黒田基樹『お市の方の生涯 「天下一の美人」と娘たちの知られざる政治権力の実像』

 朝日新書の一冊として、朝日新聞社より2023年1月に刊行されました。電子書籍での購入です。徳川家康を主人公とする今年(2023年)の大河ドラマ『どうする家康』でも恐らくは重要人物として登場しているだろうお市の方について、正直なところさほど関心が高かったわけではありませんが、私にとって著者は、西洋史の本村凌二氏および東洋史の岡本隆司氏と…
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ペルーのアシャニンカ人の遺伝的歴史

 ペルーのアシャニンカ人のゲノムデータを報告した研究(Capodiferro et al., 2023)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。本論文は、アンデス地域とアマゾン川の源流との間に位置するアマゾニアにおいて、ペルーに暮らす先住民であるアシャニンカ人(Ashaninka)のゲノムデータを報告しています。…
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『ウイニングポスト10』体験版

 『ウイニングポスト』シリーズで年度版ではなく完全新作となる『ウイニングポスト10』が今月(2023年3月)発売されることは当ブログで以前取り上げましたが(関連記事)、間もなく(3月30日)発売となります。その記事でも述べたように、私は長年の『ウイニングポスト』シリーズ信者で、初代からPC版をずっと購入し続けていましたが、『ウイニングポ…
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過去5100年間のチベット高原の人口史

 チベット高原で発見された過去5100年間の人類遺骸のゲノムデータを報告した研究(Wang et al., 2023)が公表されました。チベット高原の人類史(関連記事)は、その高地適応や、現生人類(Homo sapiens)だけではなく種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)の存在も確認されていることや、日本列島やアンダ…
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『卑弥呼』第104話「無類の軍師」

 『ビッグコミックオリジナル』2023年4月5日号掲載分の感想です。前回は、筑紫島(ツクシノシマ、九州を指すと思われます)連合軍が、ヤノハの策により、金砂(カナスナ)国の青谷(アオタニ)邑(現在の鳥取市青谷町でしょうか)を襲撃した日下(ヒノモト)連合軍の指揮官であるワカタケ王子(稚武彦命、つまり記紀のワカタケヒコノミコトでしょうか)だけ…
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大河ドラマ『どうする家康』第11回「信玄との密約」

 今回は、東海道における永禄年間後半の諸大名の争いが描かれました。松平家康は名字(苗字)を徳川と改めますが、三河に存在する他の有力な松平家とは別格の存在であることを示そうとしたのかな、とも思います。武田家ではこの時点で家康は織田信長の家臣と考えられていることが示されていましたが、じっさいに武田信玄は家康を信長の家臣と考えていたようで、家…
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イラン東部における更新世人類の痕跡

 イラン東部における更新世人類の痕跡の予備的調査結果を報告した研究(Sadraei et al., 2023)が公表されました。イランは現生人類(Homo sapiens)の人類の拡散において重要な役割を果たしてきたと考えられますが(関連記事)、それは非現生人類ホモ属でも同様だったかもしれません。最近では、イラン南部の更新世人類の証拠に…
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須田努『幕末社会』

 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2022年1月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はまず、幕末社会の前提として、江戸時代の社会を通時的に概観します。本書は江戸時代の政治理念として、仁政(百姓に重い税を課す代償として、百姓の生命と家の相続の保障)と武威(武士は強大な武力を独占するも、民に直接的に行使せず、畏怖させて支配…
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カンブリア紀の化石の見直し

 カンブリア紀の化石の見直しを報告した研究(Yang et al., 2023)が公表されました。多様な動物門とそれらに関連するボディープランは、5億年以上前のカンブリア紀に起こった単一の爆発的進化事象に端を発しています。群体性の「苔動物」である苔虫動物(コケに似た水生無脊椎動物)門はその例外であり、この生体鉱物化するクレード(単系統群…
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ミラノにおける過去2000年間のヒトの身長の推移

 イタリアのミラノにおける過去2000年間のヒトの身長の推移を報告した研究(Biehler-Gomez et al., 2023)が公表されました。身長は、遺伝的要素と環境的要素の相互作用により直接決定される生物学的形質で、ヒトも同様です。そのため身長は、骨格の生物学的特性や過去の健康状態や人口集団の社会動態を復元するための指標として評…
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脊椎動物における生殖細胞系列の変異率の違い

 脊椎動物における生殖細胞系列の変異率の違いを報告した研究(Bergeron et al., 2023)が公表されました。生殖細胞系列の変異率は、ゲノム進化の速度を決定する一方で、それ自体が進化する媒介変数でもあります。しかし、変異率に関するこれまでの研究の大半は異なる方法論で単一の種に焦点を合わせたものだったので、その進化が何によって…
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ヨーロッパにおけるネアンデルタール人と現生人類の関係

 21世紀初頭時点でのヨーロッパにおけるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)との関係は、55000年前頃以降にアフリカからユーラシアへと拡散した現生人類がその後ある程度経た後にヨーロッパにも侵出し、ネアンデルタール人は現生人類との1万~2万年間程度の最低限の混合を伴うかま…
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大河ドラマ『どうする家康』第10回「側室をどうする!」

 今回は本多忠勝も榊原康政も石川数正も登場せず、ほぼ松平(徳川)家康の家庭事情が描かれました。喜劇調でしたが、外してしまった感は否めないというか、かなり賛否が分かれそうな演出だったので、さらに視聴率が低下するのではないか、と懸念されます。当時、大名も含めて領主の正妻あるいは「家」妻(家康にとってこの時点では瀬名)の家政への権限は強く、側…
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山本健『ヨーロッパ冷戦史』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2021年4月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、より広範な地域を対象とした冷戦史研究が進展した結果、冷戦史研究において冷戦の「主戦場」でもあったヨーロッパの相対的地位が低下し、蓄積されたヨーロッパに関する冷戦史研究の成果の多くが充分には活かされていない、との認識から、冷戦下のヨーロッパ…
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ブドウの栽培化と進化史

 ブドウの栽培化と進化史に関する研究(Dong et al., 2023)が公表されました。日本語の解説記事もあります。人類は栽培化と家畜化により周囲の生物を広範に変化させてきました。ブドウは現代人にとって身近な栽培化された植物であるため関心が高いようで、フランスの鉄器時代から中世までの種子のゲノム解析(関連記事)や、ヨーロッパの葡萄酒…
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イラン南部の更新世人類の証拠

 イラン南部の更新世人類の新たな証拠を報告した研究(Anjomrooz et al., 2022)が公表されました。イラン南部では、旧石器時代の人類居住の体系的調査はほとんど行なわれてきませんでした。本論文は、ホルムズ海峡の北側間地域の体系的な旧石器時代調査の最初の報告を提示し、下部旧石器時代以来の、この地域における人類の存在について、…
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現代人の高品質なゲノムデータから推測されるアフリカの複雑な人口史

 アフリカの広範な地域の現代人の高品質なゲノムデータを報告した研究(Fan et al., 2023)が公表されました。現生人類(Homo sapiens)の起源地であるアフリカは、最も現代人の遺伝的多様性が高い地域です。現代人の遺伝学的研究は、地域単位での比較では、ヨーロッパおよび北アメリカ大陸が最も進んでおり、それが現代人の遺伝的多…
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イベリア半島南部の上部旧石器時代個体のゲノムデータ

 イベリア半島南部の上部旧石器時代個体のゲノムデータを報告した研究(Villalba-Mouco et al., 2023)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、昨年(2022年)開催された人間進化研究ヨーロッパ協会第12回総会で、すでに概要が公表されていました(関連記事)。この研究は、ヨーロッパの…
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大河ドラマ『どうする家康』第9回「守るべきもの」

 今回は、三河一向一揆で家臣の離反が相次ぎ、苦戦に陥って疑心暗鬼となった松平(徳川)家康がいかにこの難局を乗り切るのか、注目されました。家臣団も苦戦で疲弊し、家中が分裂しそうな中で、家康に諫言したのは老臣の鳥居忠吉でした。主君が家臣を信じなければ、家臣は主君を信じない、というわけです。これで開き直った家康は家臣とともに出撃し、状況は次第…
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『卑弥呼』第103話「ならわし」

 『ビッグコミックオリジナル』2023年3月20日号掲載分の感想です。前回は、金砂(カナスナ)国の青谷(アオタニ)邑(現在の鳥取市青谷町でしょうか)にて、山社(ヤマト)を盟主とする筑紫島(ツクシノシマ、九州を指すと思われます)連合軍と、日下(ヒノモト)連合軍との直接的な衝突がついに始まり、フトニ王(大日本根子彦太瓊天皇、つまり記紀の第7…
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高橋のぼる『劉邦』第15集(小学館)

 電子書籍での購入です。第15集は、従う兵士が残り百人ほどとなり、圧倒的に優勢な漢軍相手に討ち死にしようと考えた項羽が、愛馬の騅とともに烏江へとわずか26人で出撃した、との報告を劉邦が女性と戯れながら受けている場面から始まります。項羽は投降するよう促す韓信を投げ捨て、必死に戦いつつ逃げますが、愛馬の騅が矢で射られて長くないのを見て、墓穴…
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上部旧石器時代から新石器時代のヨーロッパ狩猟採集民の大規模なゲノムデータ(追記有)

 上部旧石器時代から新石器時代のヨーロッパ狩猟採集民の大規模なゲノムデータを報告した研究(Posth et al., 2023)が公表されました。この研究は、ヨーロッパ全域の狩猟採集民116個体の新たな古代ゲノムデータを報告し、これまで不明なところが多分に残っていた最終氷期極大期(Last Glacial Maximum、略してLGM)…
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絶滅鳥類の卵殻から得られたミトコンドリアDNA

 絶滅鳥類の卵殻から抽出したミトコンドリアDNA(mtDNA)の解析結果を報告した研究(Grealy et al., 2023)が公表されました。マダガスカル島の絶滅鳥類であるゾウドリについては、化石記録における大きな間隙と骨格標本の生体分子保存性の低さから、その系統分類には依然として議論の余地があります。ゾウドリは空を飛べない大型鳥類…
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ヒッタイトの崩壊と旱魃

 ヒッタイトの崩壊と旱魃に関する研究(Manning et al., 2023)が報道されました。気候変動が人類史を大きく変化させる可能性は差し迫った関心事ですが、異なる種類の気候変動がもたらす具体的な影響についてはまだ不明です。この疑問には、古気候や考古学のデータを用いて取り組むことができます。たとえば、紀元前1200年頃の気候条件の…
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愛知県の縄文文化遺跡の人類遺骸のミトコンドリアDNA

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、愛知県の縄文文化遺跡の人類遺骸のミトコンドリアDNA(mtDNA)解析結果を報告した研究(Waku et al., 2022)が公表されました。渥美半島に位置する愛知県田原市の伊川津貝塚遺跡の人骨(IK002)では核DNAの解析が成功しており(関連記事)、現代日本人の遺伝的構成の地域差に関する研究(…
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大河ドラマ『どうする家康』第8回「三河一向一揆でどうする!」

 今回は、徳川(松平)家康にとって生涯でも有数の危機だったと思われる三河一向一揆の勃発が描かれました。前回、三河一向一揆へと至る過程と三河の真宗(一向一揆)寺院の内情が描かれていたので、三河一向一揆への展開にも説得力があったように思います。同じく家康を主人公とする1983年の大河ドラマ『徳川家康』では、三河一向一揆はあっさりとした描写だ…
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中国北西部の青銅器時代遺跡の学際的研究

 中国北西部の青銅器時代遺跡に関する学際的研究(Ren et al., 2023)が公表されました。本論文は、まだ予備的段階ですが、中華人民共和国甘粛省甘南チベット族自治州臨潭(Lintan)県磨溝(Mogou)遺跡の学際的研究の成果を報告しています。考古学や遺伝学などを統合した学際的研究は、古代DNA研究の進展したヨーロッパでとくに進…
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橋場弦『古代ギリシアの民主政』

 岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2022年9月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は古代ギリシアの民主政を、後世に美化されたり誹謗されたりした図式ではなく、当時の文脈で読み解こうとします。対象となるのはおもにアテナイですが、広く古代ギリシア世界全体が取り上げられています。アテナイ以外にも民主政のポリスはあった、という…
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フランス地中海地域におけるヨーロッパ最古となる弓矢技術

 フランス地中海地域におけるヨーロッパ最古となる弓矢技術を報告した研究(Metz et al., 2023)が公表されました。フランス地中海地域のマンドリン洞窟(Grotte Mandrin)では、54000年前頃と推定されている現生人類と分類されている歯が発見されています(関連記事)。しかし、その後のヨーロッパの人類化石と考古学と遺伝…
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3億1900万年前頃の条鰭類魚類の化石化した脳

 3億1900万年前頃の条鰭類魚類の化石化した脳を報告した研究(Figueroa et al., 2023)が公表されました。脳の構造からは、条鰭類魚類の系統間の類縁関係に関して重要な証拠が得られますが、二つの大きな限界のため、この主要な脊椎動物群の神経解剖学的進化の理解が不明瞭になっています。一方は、最初期に分岐した現生系統がそれらの…
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ニホンオオカミの遺伝的歴史

 ニホンオオカミ(Canis lupus hodophilax)の遺伝的歴史に関する概説(寺井., 2023)が公表されました。イヌ(Canis lupus familiaris)は恐らくヒトにとって最古の家畜であり、しかもその家畜化の年代は他の動物よりずっと古そうなことから、古代DNA研究も含めてイヌの遺伝学的研究は盛んで、当ブログで…
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『卑弥呼』第102話「囮」

 『ビッグコミックオリジナル』2023年3月5日号掲載分の感想です。前号では作画者の中村真理子氏が急病のため休載となり、案じられましたが、今号では無事掲載されていました。前回は、金砂(カナスナ)国の青谷(アオタニ)邑(現在の鳥取市青谷町でしょうか)にて、日下(ヒノモト)のフトニ王(大日本根子彦太瓊天皇、つまり記紀の第7代孝霊天皇でしょう…
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大河ドラマ『どうする家康』第7回「わしの家」

 今回は三河一向一揆へと至る過程が描かれました。同じく徳川家康(松平元康)を主人公とする大河ドラマである1983年放送の『徳川家康』では、三河一向一揆はあっさりとした描写だったように記憶していますが、本作ではやや詳しく描かれるようです。家康はまだ三河を平定できておらず、今川との対立関係も続いており、戦費が嵩んで松平(徳川)家の財政は苦し…
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現代日本人の遺伝的構成の地域差(追記有)

 現代日本人の遺伝的構成の地域差に関する研究(Watanabe, and Ohashi., 2023)が公表されました。日本人起源論への関心は現代日本社会においてそれなりに高いように思われ、関連する研究が注目されることもあります。そうした関心のある人々の間では、現代日本人の遺伝的構成に地域差があることもよく知られているでしょう。本論文は…
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中井謙太『新しいゲノムの教科書 DNAから探る最新・生命科学入門』

 講談社ブルーバックスの一冊として、講談社から2023年1月に刊行されました。進展著しいこの分野の最新の成果に少しでも追いつき、当ブログでよく取り上げている古代ゲノム研究をさらに理解し、理解の曖昧なところを解消するために読みました。新たな知見を得るとともに復習もしよう、というわけです。本書は細胞から説明を始め、復習という観点でも親切な構…
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人類進化史に関する認識の変化

 最近当ブログでは人類の進化、とくに古代ゲノム研究の英語論文を取り上げて日本語に訳すことが多くなり、論文について私見を述べることもありますが、ほぼ翻訳だけになってしまうことが大半なので、たまには独自の文章を掲載しようと考えたものの、いざ執筆しようとすると、さて何を題材にすべきか、と迷ってしまった次第です。人類の進化について関心のある問題…
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最古のアシナシイモリ類化石

 最古のアシナシイモリ類化石を報告した研究(Kligman et al., 2023)が公表されました。現生の両生類(平滑両生類)は、カエル類(無尾類)とサンショウウオ類(有尾類)から構成されるBatrachia(無尾・有尾類)と、肢がなく蠕虫に似たアシナシイモリ類(無足類)が含まれます。無足類と無尾・有尾類の分岐年代は分子的には古生代…
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古代エジプトの遺体防腐処置

 古代エジプトの遺体防腐処置に関する研究(Rageot et al., 2023)が公表されました。古代エジプト人の防腐処理によって死体を保存する能力は、古代から人々を魅了してきただけでなく、このきわめて優れた化学的・儀式的処理が実際にどのように達成されたのか、という疑問を絶えず提起してきました。古代エジプトのミイラ製作は長期間を要する…
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海面変化から推測されるアジア南部および南東部の先史時代の人類の移動

 海面変化からアジア南部および南東部の先史時代の人類の移動を推測した研究(Kim et al., 2023)が公表されました。本論文は、遺伝学的データと古地理学的データを統合し、海面変化が先史時代のアジア南部および南東部の人口集団の移動と分岐をもたらしたのではないか、と推測しています。先史時代の更新世の寒冷期には、ジャワ島やスマトラ島や…
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大河ドラマ『どうする家康』第6回「続・瀬名奪還作戦」

 今回は、松平元康(徳川家康)による妻子奪還作戦が描かれました。前回、家康は本多正信の策を採用したものの失敗しましたが、今回も正信の策を採用します。今回は、今川重臣の鵜殿長照の息子を捕らえて人質として、妻子と交換する、という策です。松平軍が籠城する鵜殿長照を攻めて自害に追い込み、その息子二人を捕らえるところまでは上手く進み、家康の妻子と…
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最古となるオルドワン石器(追記有)

 最古となるオルドワン(Oldowan)石器を報告した研究(Plummer et al., 2023)が公表されました。日本語の解説記事もあります。本論文は、現時点では最古となりそうなオルドワン石器と屠殺の痕跡を報告している点でもひじょうに意義深いと思いますが、石器を製作したのがパラントロプス属である可能性を指摘している点でもたいへん注…
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小峰和夫『満洲 マンチュリアの起源・植民・覇権』

 講談社学術文庫の一冊として、2011年2月に講談社より刊行されました。本書の親本『満洲 起源・植民・覇権』は1991年に御茶の水書房より刊行されました。電子書籍での購入です。本書はまず、満洲の定義が困難であることを指摘します。満洲はダイチン・グルン(大清帝国)において発祥地と考えられており、つまりは後にマンジュ(満洲)と呼ばれるジュシ…
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古代ゲノム研究に基づく中国の先史時代

 古代ゲノム研究に基づく中国の先史時代の概説(Gao, and Cui., 2023)が公表されました。本論文は、おもに現在の中華人民共和国の領土(中国)を対象として、近年の古代ゲノム研究を再検討します。ユーラシア西部、とくにヨーロッパと比較して、中国も含めてアジア東部の古代ゲノム研究が遅れていたことは否定できません(Liu et al…
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MIS3におけるチベット高原への人類と石刃技術の拡散

 海洋酸素同位体ステージ(MIS)3におけるチベット高原への人類と石刃技術の拡散に関する概説(Zhang et al., 2023)が公表されました。チベット高原への人類の拡散は古く、本論文では最近の公表のため取り上げる時間的余裕がなかったためか、言及されていない研究では、中期更新世となる226000~169000年前頃の人類の手と足の…
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哺乳類の社会組織と寿命との相関

 哺乳類の社会組織と寿命との相関について研究(Zhu et al., 2023)が公表されました。社会性と寿命の関係の解明は、動物の生活史がどのように進化してきたのか、より深い理解を可能にします。哺乳類の社会組織は多岐にわたり、単独生活、つがい生活、さまざまな形態の集団生活が観察されています。また、哺乳類の最長寿命は、トガリネズミの約2…
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ネアンデルタール人による草食動物頭蓋の象徴的使用

 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)による草食動物頭蓋の象徴的使用に関する研究(Baquedano et al., 2023)が公表されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。この研究は、スペイン中央部の甲板洞窟(Cueva Des-Cubierta)におけるネアンデルタール人集団の行動の可能…
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大河ドラマ『どうする家康』第5回「瀬名奪還作戦」

 今回は、松平元康(徳川家康)による駿府からの妻子奪還が中心に描かれました。ただ、近年の研究では、桶狭間の戦いの後に家康が岡崎城に入り、今川から明確に離反する1561年(以下、西暦は厳密な換算ではなく、1年単位での換算です)4月の前までに、瀬名(築山殿)は岡崎城に移っていた、との見解が有力なようです(関連記事)。なお、家康の長男の竹千代…
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性別と年齢により異なる概日遺伝子発現

 概日遺伝子発現の性別と年齢による違いを報告した研究(Talamanca et al., 2023)が公表されました。日本語の解説記事もあります。概日時計はヒトの生理機能を調節し、ヒトの生物学的性質の多くの側面を日々の環境および社会的手がかりと同期させています。しかし、遺伝子発現の周期変動的な概日変化はモデル生物ではよく報告されているも…
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森正人『「親米」日本の誕生』

 角川選書の一冊として、角川学芸出版より2018年1月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、第二次世界大戦で敗れた後の日本における対米観とその意味を、おもに生活史と文化史の観点から検証します。戦後日本は、米国への憧憬と現実のアメリカ合衆国の言動への嫌悪および反発を同居させながら、「アメリカ的価値観」を内面化し、アメリカに追いつ…
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