新石器時代以降の黄河下流域の人口史

 古代ゲノムデータに基づいて、新石器時代以降の黄河下流域の人口史を推測した研究(Du et al., 2024)が公表されました。本論文は、おもに山東省から構成される現在の中華人民共和国山東省の新石器時代から7世紀頃(5410~1345年前頃)までの人類69個体のゲノムデータを、山東省全域の現代人325個体や、他の既知の古代人および現代…
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フランスにおける46000年以上前のIUP的技術

 ヒト進化研究ヨーロッパ協会第14回総会で、フランスにおける46000年以上前の初期上部旧石器(Initial Upper Paleolithic、略してIUP)的技術を報告した研究(Djakovic et al., 2024)が報告されました。この研究の要約はPDFファイルで読めます(P44)。ユーラシアにおけるIUP技術は、5500…
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抽象的表現の神経学的基盤

 抽象的表現の神経学的基盤に関する研究(Courellis et al., 2024)が公表されました。ヒトは、変化する環境に素早く適応できる、卓越した認知能力を有しています。この能力の中心にあるのは高水準の抽象的表現を形成する能力で、外界に存在する規則性を利用して一般化を支えています。しかし、こうした表現が、神経細胞集団中でどのように…
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ネアンデルタール人と現生人類の交雑地域

 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)の交雑地域を検証した研究(Guran et al., 2024)が公表されました。現在では、ネアンデルタール人[28]や種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)と現生人類との間の交雑が複数回あった(関連記事)、と推測さ…
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大河ドラマ『光る君へ』第34回「目覚め」

 今回は、紫式部(まひろ、藤式部)と藤原道長(三郎)を中心とした宮中の人間模様を中心に、興福寺の強訴への対応も描かれました。本作前半は、紫式部と道長の身分の違いから活動舞台が大きく異なり、2人の視点で貴族の下層と上層とが描かれていました。紫式部が道長の娘で一条帝の中宮である彰子に仕えることで、2人の身分の違いは変わらないものの、2人の視…
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フランス南部の後期新石器時代墓地被葬者のゲノムデータ

 フランス南部の後期新石器時代の墓地被葬者のゲノムデータを報告した研究(Arzelier et al., 2024)が公表されました。本論文は、フランス南部ガール(Gard)県コルコンヌ(Corconne)のアヴェン・デ・ラ・ブークル(Aven de la Boucle、略してBOU)遺跡の集団埋葬の被葬者のゲノムデータを報告し、当時の…
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楊海英『モンゴル帝国 草原のダイナミズムと女たち』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2024年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、女性に焦点を当てたモンゴル帝国の歴史で、逸話を多く引用し、物語的にも読めるようになっており、一般層にも面白く読み進められる構成になっていると思います。モンゴル帝国以降、ユーラシア草原地帯においてチンギス・ハーンの父系子孫が尊重され、大き…
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カンブリア紀の真節足動物の幼生化石

 カンブリア紀の真節足動物の幼生化石を報告した研究(Smith et al., 2024)が公表されました。カンブリア紀の真節足動物の放散は適応性のあるボディープランに起因する、と考えられます。その複雑な脳と特殊化した摂食用付属肢は、連続的な繰り返し構造を持つ器官系と関節のある付属肢がより精緻化したもので、真節足動物の広範な生態学的環境…
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アジア中央部および南東部集団と非現生人類ホモ属との遺伝的混合

 ヒト進化研究ヨーロッパ協会第14回総会で、アジア中央部および南東部現代人の祖先集団と、非現生人類(Homo sapiens)ホモ属であるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)との遺伝的混合に関する研究(Antoine et al., 2024)が報告さ…
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ローマ帝国崩壊後のヨーロッパ社会の展開に関する学際的研究

 古代ゲノムデータと同位体データを用いて、ローマ帝国崩壊後のヨーロッパの農村社会の展開を検証した研究(Tian et al., 2024)が公表されました。中世前期のローマ帝国後のヨーロッパの形成において、大規模および小規模両方の水準で上流階層はひじょうに重要な役割を果たしました。イタリアのコッレーニョ(Collegno)における6~8…
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中世イベリア半島北部の農村集落の人口史

 中世イベリア半島北部の人類遺骸のゲノムデータを報告した研究(Rodríguez-Varela et al., 2024)が公表されました。本論文は、イベリア半島北部の中世のネクロポリス(大規模共同墓地)であるラス・ゴバス(Las Gobas)で発見された、7~11世紀にかけての33個体を分析し、その家族関係や健康状態が調べられました。…
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大河ドラマ『光る君へ』第33回「式部誕生」

 今回は、紫式部(まひろ)の宮仕えを中心に話が展開しました。紫式部は一条天皇の中宮である彰子に仕えるようになり、藤式部と呼ばれます。彰子のいる藤壺で後に『源氏物語』と呼ばれる物語の執筆を進めますが、彰子には多くの女房が仕えており、紫式部は何かと慌ただしい生活に慣れず、肝心の物語の執筆がままならず、彰子の父親である藤原道長(三郎)の猛反対…
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古人類学の記事のまとめ(53)2024年5月~2024年8月

 2024年5月~2024年8月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2024年5月~2024年8月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。とくに重要と判断した研究については、冒頭に★をつけています。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、当ブログは不特定多数の読者がいるという前…
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辻田真佐憲『「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2023年5月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はまず、肯定にせよ否定にせよ、実際とはかけ離れた都合のよい「戦前」像が提示されている、と指摘します。とはいえ、「戦前」も含めて常に多面的性格のある特定の期間を的確に把握することが難しいことも確かで、本書の視点は神話と国威発揚との関係です。そ…
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初期の小型哺乳類の成長

 初期の小型哺乳類の成長に関する研究(Panciroli et al., 2024)が公表されました。現生の哺乳類群は通常、幼体期に急速に成長し、成体期には成長が停止します。成体の体格が小さい種は一般的に、体格の大きい種よりも発育が早く、成熟が若く、寿命が短く、出産数が多くなります。一方で、最初期の哺乳型類(哺乳類およびそれらにごく近縁…
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モンゴル東部の中世のゲノムデータ

 モンゴル東部の中世の人類遺骸のゲノムデータを報告した研究(Lee et al., 2024)が公表されました。本論文は、モンゴル東部の2ヶ所の隣接する墓地である、ゴルバンドブ(Gurvan Dov、略してGD)およびタワン・ハイラースト(Tavan Khailaast、略してTK)遺跡の2世紀~15世紀頃の9個体のゲノムデータを報告し…
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ヨーロッパ中央部の紀元前千年紀の「初期ケルト」のゲノムデータから推測される「王朝」継承

 ドイツ南部で発見された紀元前千年紀の人類のゲノムデータを報告した研究(Gretzinger et al., 2024)が公表されました。アルプス山脈以北のヨーロッパの鉄器時代は、ハルシュタット(Hallstatt)文化(紀元前800~紀元前450年頃)とララ・テーヌ(La Tène)文化(紀元前450~紀元前50年頃)という二つの文化…
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貴州省の明代の人類のゲノムデータ

 中国南西部に位置する貴州省の明代の人類のゲノムデータを報告した研究(Zhang et al., 2024)が公表されました。本論文は、貴州省貴陽(Guiyang)市の大松山(Dasongshan、略してDSS)遺跡で発見された人類7個体のゲノムデータを報告し、現代人のみならず、上部旧石器時代(Upper Palaeolithic、略し…
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大河ドラマ『光る君へ』第32回「誰がために書く」

 今回は、紫式部(まひろ)が藤原道長(三郎)の長女で一条帝の后である彰子に仕えることになり、全48回だとすると、今回で全体の2/3まで到達したことになるわけで、当初の予想より展開が遅いわけですが、紫式部の没年は不明なので、本作がどこまで描くか分かるまで、判断の難しいところです。紫式部が執筆を開始した物語は道長を介して一条帝に献上され、道…
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新石器時代におけるヒトとイヌへのペスト感染

 新石器時代におけるヒトとイヌへのペスト感染を報告した研究(Susat et al., 2024)が公表されました。ペスト菌(Yersinia pestis)は完新世において人類に大きな影響を及ぼしており、高い関心を集めてきました。ペスト菌は歴史時代の感染がとくに有名ですが、先史時代においてもすでに新石器時代(Neolithic、略して…
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山田重郎『アッシリア 人類最古の帝国』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2024年6月に刊行されました。電子書籍での購入です。アッシリアは「帝国」としての期間こそ、後続のペルシア帝国やローマ帝国よりずっと短かったものの、紀元前三千年紀に都市国家として出現した時代から紀元前7世紀後半の滅亡まで、国家としての存続期間は長かったように思います。本書は国家としての長い歴史を有す…
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北アメリカ大陸太平洋沿岸の絶滅したイヌの歴史

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、北アメリカ大陸太平洋沿岸の絶滅したイヌの遺伝的歴史に関する研究(Lin et al., 2023)が報道されました。日本語の解説記事もあります。北アメリカ大陸の太平洋北西部(Pacific Northwest、略してPNW)沿岸の沿岸セイリッシュ(Coast Salish)など複数の先住民集団は、独…
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野生アフリカゾウの「名前」での呼びかけ

 野生アフリカゾウ(Loxodonta africana)の「名前」での呼びかけに関する研究(Pardo et al., 2024)が公表されました。個体名はヒト系統の普遍的特徴ですが、他の種には類例がほとんど存在しません。非ヒト動物では、イルカやオウムは相手の呼びかけを模倣して同種に呼びかけるのに対して、ヒトの名前は名指しされた個体が…
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『卑弥呼』第136話「大博打」

 『ビッグコミックオリジナル』2024年9月5日号掲載分の感想です。前回は、暈(クマ)国の夜萬加(ヤマカ)で、ヒルメがニニギ(ヤエト)に、両親の仇は山社(ヤマト)の女王である日見子(ヒミコ)、つまりヤノハと伝えたところで終了しました。ニニギはホデリとタマヨリに育てられていた、ヤノハとチカラオ(ナツハ)の姉弟間の息子です。今回は、ミマアキ…
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三畳紀のワニに似た小型爬虫類

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、三畳紀(約2億5200万年前~2億100万年前)のワニに似た小型爬虫類に関する研究(Müller., 2024)が公表されました。恐竜類や翼竜類の出現以前の三畳紀において、ワニ系統の爬虫類である偽鰐類が陸上生態系を支配していました。当時の四足爬虫類の一般的な形態だったこの系統は、いくつかのさほど包括…
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大河ドラマ『光る君へ』第31回「月の下で」

 先週は休止だったので、久々の視聴との感もあります。今回は、紫式部(まひろ)を訪ねてきた藤原道長(三郎)が、紫式部に、一条帝の后となったものの、一条帝から相手にされていない娘の彰子のため、物語を書くよう要請する場面から始まります。紫式部は一旦断りますが、艶めかしさがないから『枕草子』をあまり高く評価していない、と和泉式部から聞き、和泉式…
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ストーンヘンジの祭壇石の産地(追記有)

 ストーンヘンジ(Stonehenge)の祭壇石の産地に関する研究(Clarke et al., 2024)が公表されました。ストーンヘンジはイングランドのウィルトシャーのソールズベリー平原に位置する、イギリスにおける最大級の後期新石器時代~青銅器時代にかけての墓地遺跡で、世界的に有名な観光地にもなっています。ストーンヘンジに関しては、…
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Reza Aslan『人類はなぜ<神>を生み出したのか?』

 レザー・アスラン(Reza Aslan)著、白須英子訳で、文藝春秋社より2020年2月に刊行されました。原書の刊行は2019年です。電子書籍での購入です。本書は、人類史における「神」というか「宗教」の起源を検証し、その対象範囲は先史時代から歴史時代まで、現生人類(Homo sapiens)に留まらず、ネアンデルタール人(Homo ne…
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氷河の後退で出現した陸上生態系の発達

 氷河の後退で出現した陸上生態系の発達に関する研究(Ficetola et al., 2024)が公表されました。氷河の全球的な後退は山岳および高緯度地域の景観を劇的に変化させつつあり、一見不毛な土地から新たな生態系が発達しています。こうした新たに出現した生態系に関する研究は、気候変動が微小生息地や生物群集とどのように相互作用し、氷の消…
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最終氷期極大期に現在より深かった北大西洋亜熱帯循環

 最終氷期極大期(Last Glacial Maximum、略してLGM)において北大西洋亜熱帯循環は現在よりも深かったことを報告した研究(Wharton et al., 2024)が公表されました。亜熱帯循環(Subtropical gyre、略してSTG)の深さと強度は、風応力カールと海面浮力強制により制御されています。現在の海洋観…
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家畜番犬の進化史

 家畜番犬(Livestock guarding dog、略してLGD)の進化史に関する研究(Coutinho-Lima et al., 2024)が公表されました。本論文は、現代と古代のイヌ(Canis lupus familiaris)のゲノムデータを用いて、LGDの進化史を検証しました。その結果、現代のLGD品種は2系統に分かれ、…
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現代人の遺伝子発現の差異

 現代人の遺伝子発現の差異に関する研究(Taylor et al., 2024)が公表されました。遺伝子発現やスプライシングに影響を及ぼす遺伝的多様性は、表現型の多様性の重要な要因です。これらの結びつきをヒトにおいて調べる研究はひじょうに貴重ですが、参加者がヨーロッパ系に大きく偏っているため、これが一般化の制約となり、進化研究を妨げてい…
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初期の四肢類の地理的分布

 初期の四肢類の地理的分布に関する研究(Marsicano et al., 2024)が公表されました。四肢類の初期進化に関する現在の仮説では、石炭紀の古赤道の石炭を生成した、広範な湿地との密接な生態学的および生物地理的関係を前提としており、太古の四肢類群は後期石炭紀(約3億700万年前)に現代の羊膜類および平滑両生類の近縁動物によって…
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アメリカ合衆国の退役軍人の大規模なゲノムデータ

 アメリカ合衆国の退役軍人の大規模なゲノムデータを報告した研究(Verma et al., 2024)が公表されました。日本語の解説記事もあります。GWAS(genome-wide association studies、ゲノム規模関連研究)から得られた調査結果は、疾患の遺伝学的基礎の基本的知識を提供し、予防と治療のための精密な手法を促…
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楊海英『人類学と骨 日本人ルーツ探しの学説史』

 岩波書店より2023年12月に刊行されました。電子書籍での購入です。以下、敬称は省略します。本書は近現代の日本における人類学の研究史で、近現代日本において盛り上がった日本人起源論において、学者がどのように研究し、その主張が一般層にどう受容されていったのか、その倫理的問題とともに検証します。日本に限りませんが、現代の視点からは、近代の人…
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古代ゲノムデータに基づく祖先探し

 古代ゲノムデータに基づく祖先探しに関する解説記事(Callaway., 2024)が公表されました。科学者は消費者ゲノムデータベースを用いて、最近およびさほど近くはない過去の祖先へと生きている人々を結びつけています。しかし、これらのつながりの意味は必ずしも明確ではありません。この解説記事は、古代ゲノムデータを用いた商用の祖先探しについ…
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フローレス島の70万年前頃の人類遺骸

 インドネシア領フローレス島の70万年前頃の小柄な人類の遺骸を報告した研究(Kaifu et al., 2024)が公表されました。日本語の解説記事もあります。フローレス島西部のリアン・ブア(Liang Bua)洞窟では6万年以上前の小柄な人類遺骸が発見されており、ホモ・フロレシエンシス(Homo floresiensis)と分類されて…
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『卑弥呼』第135話「戦う女王」

 『ビッグコミックオリジナル』2024年8月20日号掲載分の感想です。前回は、公孫淵と会ってどのような話をするつもりなのか、とオオヒコに問われたヤノハが、公孫淵は倭という名は知っていても、どのような国かはまるで知らないので、倭国についての嘘をとうとうと吹き込むつもりだ、と答えたところで終了しました。今回は、暈(クマ)国の夜萬加(ヤマカ)…
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テレビが壊れる

 今月(2024年8月)1日までは、2018年12月に購入した49インチの4Kテレビ(関連記事)がとくに異状なく動作していましたが、今月3日に録画した朝ドラを視聴しようとしたところ、電源が入らず、コンセントの抜き差しやテレビ本体の電源を押すなど色々と試したものの、復旧しませんでした。先代のテレビは故障の前兆がありましたが(関連記事)、今…
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大河ドラマ『光る君へ』第30回「つながる言の葉」

 今回も、紫式部(まひろ)の周囲の話と、藤原道長(三郎)の視点を中心とする宮中の話が描かれました。紫式部の視点では夫の藤原宣孝が急死したように思えたでしょうし、父親は官職を得られず、今後の生活への不安が強いだろう中で、紫式部は女房たちに和歌を教えて、物語を披露するなどして、生計を立てているようです。この和歌の会に和泉式部が現れ、かなり奔…
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新石器時代スカンジナビア半島の社会構造とペスト感染

 新石器時代スカンジナビア半島の社会構造とペスト感染に関する研究(Seersholm et al., 2024)が公表されました。本論文は、新石器時代スカンジナビア半島の108個体のゲノムデータを報告するとともに、この集団は約120年間に少なくとも3回、異なるペスト感染を経た、と示しました。こうした繰り返しのペスト感染が、ヨーロッパ新石…
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村山吉廣『楊貴妃 大唐帝国の栄華と滅亡』

 講談社学術文庫の一冊として、2019年5月に講談社より刊行されました。本書の親本『楊貴妃 大唐帝国の栄華と暗転』は中公新書の一冊として中央公論新社より1997年2月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は楊貴妃の伝記ですが、「時代とともに楊貴妃を描く」ことが主題で、楊貴妃が時代にどう位置づけられるのか、という観点から注目して読み…
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5万年前頃以降のチベット高原のデニソワ人

 チベット高原における5万年前頃以降の種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)の存在を報告した研究(Xia et al., 2024)が公表されました。本論文は、中華人民共和国甘粛省甘南チベット族自治州夏河(Xiahe)県のチベット高原北東端の海抜3280mに位置する白石崖溶洞(Baishiya Karst Cave、略…
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中世シチリア島のイスラム教徒とキリスト教徒との間の遺伝的差異と生活の類似

 中世シチリア島の人類集団の学際的分析結果を報告した研究(Monnereau et al., 2024)が公表されました。本論文は、中世シチリア島西部に位置するセジェスタ(Segesta)遺跡のキリスト教徒とイスラム教徒の中世の墓地被葬者の、放射性炭素年代測定結果とゲノムデータと同位体データを報告しています。この学際的分析により明らかに…
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中国南部の近世の被葬者のゲノムデータ

 現在の中華人民共和国広西チワン族自治区の洞窟で発見された近世の被葬者のゲノムデータを報告した研究(Guo et al., 2024)が公表されました。本論文は、広西チワン族自治区のバイタイシャン(Baitaishan)およびフアトゥドン(Huatudong)洞窟で発見された、大元ウルス後期~明代にかけての被葬者4個体のゲノムデータを新…
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大河ドラマ『光る君へ』第29回「母として」

 今回は、定子没後の宮中の様子と、紫式部(まひろ)の子育てが描かれました。紫式部の父親である藤原為時は越前守を務めていましたが、無難に統治していたものの、宋人を帰国させることはできなかったため、受領功過定での評価は低く、除目では官職を得られませんでした。陣定や受領功過定など、当時の貴族の政務も描いているところは、本作の魅力というか、高評…
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大相撲名古屋場所千秋楽

 このところ休場の多い横綱の照ノ富士関の出場に注目していましたが、照ノ富士関は角番の貴景勝関とともに出場してきました。照ノ富士関は初日に勝ったものの、苦戦したので、今場所も苦しいのかな、と思っていたところ、2日目と3日目には圧倒的な強さを見せて勝ち、一定以上力を出せるならば、現役では抜けた力量の存在なだけに、今場所は優勝候補の筆頭かな、…
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ウマの家畜化と現代のウマの遺伝的起源

 古代ゲノムデータからウマの家畜化と現代のウマ系統の遺伝的起源を検証した研究(Librado et al., 2024)が公表されました。本論文は、現代の家畜ウマ系統につながる家畜化が始まったのは、紀元前2700年頃以降に始まった深刻なボトルネック(瓶首効果)後で、現代の家畜ウマ系統につながる繁殖管理は、近親交配と世代時間短縮によって紀…
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綾辻行人『Another』シリーズ

 『Another』と『Another エピソードS』と『Another 2001』はいずれも角川書店からそれぞれ、2009年10月と2013年7月と2020年9月に刊行されました。近年、小説を読むことが本当に少なくなり、小説に限らず映像作品も以前より楽しむ回数が激減し、ゲームは『ウイニングポスト』の体験版を数時間程度やったくらいですか…
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5万年以上前となるスラウェシ島の洞窟壁画

 スラウェシ島の洞窟壁画の新たな年代測定結果を報告した研究(Oktaviana et al., 2024)が公表されました。本論文は、スラウェシ島の具象的な洞窟壁画の年代が5万年以上前までさかのぼることを示し、これは具象的表現としては現時点で最古となります。こうした具象的表現は現時点で現生人類(Homo sapiens)でしか確認されて…
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