岩井淳『ヨーロッパ近世史』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2024年8月に刊行されました。電子書籍での購入です。近世は一般的には、時代区分に置いて古代→中世→近世→近代(→現代)の4(5)区分の中世と近代の間に位置づけられます。これまでの自分の時代区分認識で問題だったと考えているのは、中世は近代とは大きく異なる異質な時代で、近代を到達点として把握し、近世を…
コメント:0

続きを読むread more

中世イベリア半島北部の司教の遺骸の学際的研究

 中世イベリア半島北部の司教の遺骸の学際的な分析結果を報告した研究(Pérez-Ramallo et al., 2024)が公表されました。本論文は、サンティアゴ・デ・コンポステーラ(Santiago de Compostela)への巡礼と関わる重要人物とされている、イリア・フラビア(Iria Flavia)のテオドミロ(Teodomi…
コメント:0

続きを読むread more

クロアチアのネアンデルタール人のゲノムデータ

 ヒト進化研究ヨーロッパ協会第14回総会で、クロアチアで発見されたネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)のゲノムデータを報告した研究(Sümer et al., 2024)が報告されました。この研究の要約はPDFファイルで読めます(P169)。ネアンデルタール人の詳細な遺伝的歴史もしくはさまざまなネアンデルター…
コメント:0

続きを読むread more

ザンビアのバトゥア人の遺伝的歴史

 ザンビアのバトゥア人(Batwa)の遺伝的歴史に関する研究(Breton et al., 2024)が公表されました。本論文は、ザンビアのバトゥア人の比較的孤立した2集団の遺伝的歴史を、現代人と古代人のゲノムデータから推測しています。分析の結果、バトゥア人は、バントゥー諸語話者集団的な遺伝的構成要素とともに、過去に現在のザンビアに存在…
コメント:0

続きを読むread more

デニソワ人とアジア東部のホモ属の系統関係

 ヒト進化研究ヨーロッパ協会第14回総会で、種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)とアジア東部のホモ属の系統関係についての研究(Gousset et al., 2024)が報告されました。本論文は、デニソワ人とアジア東部で発見された中期~後期更新世の分類に議論があるホモ属遺骸との系統関係を検証しています。この研究の要約…
コメント:0

続きを読むread more

大河ドラマ『光る君へ』第37回「波紋」

 今回も、宮中の人間模様を中心に話が展開しました。前回、多くの人が紫式部(まひろ、藤式部)と藤原道長(三郎)との特別な関係を疑うようになったでしょうが、赤染衛門は紫式部に、道長の妻で彰子の母親である源倫子を傷つけないよう忠告します。彰子はすっかり紫式部に傾倒し、明るくなって自己主張できるようになっており、倫子はその点でも紫式部に対して複…
コメント:0

続きを読むread more

イタリア半島における中部旧石器時代から上部旧石器時代への移行

 イタリア半島における中部旧石器時代から上部旧石器時代への移行についての研究(Higham et al., 2024)が公表されました。ヨーロッパにおける中部旧石器時代から上部旧石器時代への移行は、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)のみが存在した期間から、ネアンデルタール人と現生人類(Homo sapien…
コメント:0

続きを読むread more

浮世博史『日本史の新事実 70 古代・中世・近世・近代 これまでの常識が覆る!』

 世界文化社より2022年4月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は近年の日本史の研究の進展に基づき、通俗的な歴史認識が改められていることを紹介します。すでに知っている新見解もありますが、手際よくまとめられており、新たに知った見解もありますし、改めて新見解を整理でき、復習にもなりした。著者は高校教師なので全時代を扱わねばならず、…
コメント:0

続きを読むread more

上部旧石器時代後期ヨーロッパ南東部人類の学際的研究

 ヒト進化研究ヨーロッパ協会第14回総会で、上部旧石器時代後期ヨーロッパ南東部人類の学際的研究(Borić et al., 2024)が報告されました。この研究の要約はPDFファイルで読めます(P17)。  ルーマニアのドナウ峡谷地域のクリメンテ2(Climente II)遺跡の1ヶ所の続グラヴェティアン(Epigravettia…
コメント:0

続きを読むread more

ヨーロッパ西部の狩猟採集民と最初期農耕民

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、ヨーロッパ西部の狩猟採集民と最初期農耕民に関する解説(Rowley-Conwy., 2024)が公表されました。本論文は、ヨーロッパ西部における狩猟採集民と最初期農耕民との関係について解説しています。ヨーロッパ西部においては、アナトリア半島(小アジア)起源の農耕民が到来したことで、農耕民がもたらされ…
コメント:0

続きを読むread more

西遼河地域の後期新石器時代における男性に偏った遺伝的混合

 西遼河地域において雑穀農耕の痕跡の増加とともに人類集団の遺伝的変容が見られ、それは男性に偏っていたことを報告した研究(Nakagome, and Cooke., 2024)が公表されました。本論文は、西遼河(West Liao River、略してWLR)地域の後期新石器時代において、雑穀農耕の痕跡増加とともに、黄河(Yellow Ri…
コメント:0

続きを読むread more

大河ドラマ『光る君へ』第36回「待ち望まれた日」

 今回は、彰子の妊娠をめぐる人間模様が中心に描かれました。藤原道長(三郎)の娘である彰子は一条帝の中宮となり、ついに妊娠します。懐妊から出産にかけての彰子の様子は『紫式部日記』に詳細に書かれており、道長が紫式部(まひろ、藤式部)に命じたのではないか、と推測されています。本作でも、道長が紫式部に、彰子の懐妊から出産までの様子を記録するよう…
コメント:0

続きを読むread more

大相撲秋場所千秋楽

 今年(2024年)初場所には1横綱4大関だったのが、霧島関と貴景勝関が陥落し、1横綱2大関となりました。横綱の照ノ富士関は満身創痍でいつ引退しても不思議ではなさそうですし、大関の豊昇龍関と琴櫻関は取りこぼしが多く、安定感に欠けるところもあるので、長期の横綱不在も懸念されます。そうした中で、大関から陥落した貴景勝関は、10勝以上での大関…
コメント:0

続きを読むread more

『卑弥呼』第137話「胎動」

 『ビッグコミックオリジナル』2024年9月20日号掲載分の感想です。前号は休載だったので、久々の感があります。前回は、遼東郡の襄平で、ヤノハが遼東太守の公孫淵に、本国の魏から独立するつもりなら、倭国の兵20万人を貸そう、と伝えたところで終了しました。今回は、遼東郡の襄平で、倭王への親書を受け取るためヤノハが公孫淵の公邸を訪れ、一行がヤ…
コメント:0

続きを読むread more

伊東俊太郎『十二世紀ルネサンス』

 講談社学術文庫の一冊として、2006年9月に講談社より刊行されました。本書の親本『十二世紀ルネサンス 西欧世界へのアラビア文明の影響』は岩波書店より1993年に刊行されました。電子書籍での購入です。今となっては親本の刊行は31年前とかなり古いものの、この問題については通俗的見解を表面的に把握しているくらいなので、本書で基本的な知見を得…
コメント:0

続きを読むread more

チベット高原の紀元前二千年紀のウシ属のゲノムデータ

 チベット高原の紀元前二千年紀のウシ属のゲノムデータを報告した研究(Chen et al., 2024)が公表されました。本論文は、中華人民共和国青海省海西モンゴル族チベット族自治州都蘭(Dulan)県の諾木洪(Nuomuhong)文化に属する関鍵詞為(Tawendaliha)遺跡で発見され、ウシ属遺骸3個体のゲノム解析によって、他のウ…
コメント:0

続きを読むread more

人工知能の人種差別的判断

 人工知能の人種差別的判断エピに関する研究(Hofmann et al., 2024)が公表されました。現在の一般的な「人種」概念に生物学的妥当性が欠けていることは、すでにかなり定着しているように思われますが、そうした一般的な「人種」概念が現在でもなお社会において強い影響力を有し、人種差別につながっていることは、とても否定できないでしょ…
コメント:0

続きを読むread more

中原の周代の人類のゲノムデータ

 中原の周代の人類のゲノムデータを報告した研究(Wu et al., 2024)が公表されました。本論文は、中華人民共和国河南省滎陽(Xingyang)市高村(Gaocun)郷の官荘(Guanzhuang)遺跡で発見された周代の人類11個体のゲノムデータを報告しています。この11個体は黄河流域新石器時代人類集団との顕著な遺伝的連続性を示…
コメント:0

続きを読むread more

ラパ・ヌイの人口史

 古代ゲノムデータに基づいて、イースター島としても知られているラパ・ヌイ(Rapa Nui)の人口史を検証した研究(Moreno-Mayar et al., 2024)が公表されました。ラパ・ヌイは世界でも有数の孤島で、南アメリカ大陸の西方約3700kmに位置し、最も近い有人島の西方1900km以上に位置しています。モアイと呼ばれる巨石…
コメント:0

続きを読むread more

大河ドラマ『光る君へ』第35回「中宮の涙」

 今回も、宮中の人間模様を中心に話が展開しました。藤原道長(三郎)は息子の頼通とともに娘で一条帝の中宮である彰子の懐妊を祈願し、御嶽詣へ向かいますが、険しい道程と悪天候のため、目的地である金峯山寺に到着したのは都を離れてから9日目でした。その帰途を、藤原伊周は平致頼に襲撃させようとしますが、伊周の弟の隆家が阻止します。当時、伊周と隆家が…
コメント:0

続きを読むread more

フランス地中海地域の孤立したネアンデルタール人

 フランス地中海地域の後期ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)のゲノムデータを報告した研究(Slimak et al., 2024)が公表されました。本論文はすでに昨年(2023年)4月、査読前に公開されており(関連記事)、分析結果や論旨の大きな変更はないと思われますが、この間の最新研究の成果も取り入れるなど…
コメント:0

続きを読むread more

氣賀澤保規『則天武后』

 講談社学術文庫の一冊として、2016年11月に講談社より刊行されました。本書の親本『則天武后』は1995年に白帝社より刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、則天武后(武則天、武照)を唐代前半の歴史に位置づけた伝記です。則天武后の没年は705年(以下、西暦は厳密な換算ではなく、1年単位での換算です)11月26日ですが、生年につい…
コメント:0

続きを読むread more

新石器時代以降の黄河下流域の人口史

 古代ゲノムデータに基づいて、新石器時代以降の黄河下流域の人口史を推測した研究(Du et al., 2024)が公表されました。本論文は、おもに山東省から構成される現在の中華人民共和国山東省の新石器時代から7世紀頃(5410~1345年前頃)までの人類69個体のゲノムデータを、山東省全域の現代人325個体や、他の既知の古代人および現代…
コメント:0

続きを読むread more

フランスにおける46000年以上前のIUP的技術

 ヒト進化研究ヨーロッパ協会第14回総会で、フランスにおける46000年以上前の初期上部旧石器(Initial Upper Paleolithic、略してIUP)的技術を報告した研究(Djakovic et al., 2024)が報告されました。この研究の要約はPDFファイルで読めます(P44)。ユーラシアにおけるIUP技術は、5500…
コメント:0

続きを読むread more

抽象的表現の神経学的基盤

 抽象的表現の神経学的基盤に関する研究(Courellis et al., 2024)が公表されました。ヒトは、変化する環境に素早く適応できる、卓越した認知能力を有しています。この能力の中心にあるのは高水準の抽象的表現を形成する能力で、外界に存在する規則性を利用して一般化を支えています。しかし、こうした表現が、神経細胞集団中でどのように…
コメント:0

続きを読むread more

ネアンデルタール人と現生人類の交雑地域

 ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)と現生人類(Homo sapiens)の交雑地域を検証した研究(Guran et al., 2024)が公表されました。現在では、ネアンデルタール人[28]や種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)と現生人類との間の交雑が複数回あった(関連記事)、と推測さ…
コメント:0

続きを読むread more

大河ドラマ『光る君へ』第34回「目覚め」

 今回は、紫式部(まひろ、藤式部)と藤原道長(三郎)を中心とした宮中の人間模様を中心に、興福寺の強訴への対応も描かれました。本作前半は、紫式部と道長の身分の違いから活動舞台が大きく異なり、2人の視点で貴族の下層と上層とが描かれていました。紫式部が道長の娘で一条帝の中宮である彰子に仕えることで、2人の身分の違いは変わらないものの、2人の視…
コメント:0

続きを読むread more

フランス南部の後期新石器時代墓地被葬者のゲノムデータ

 フランス南部の後期新石器時代の墓地被葬者のゲノムデータを報告した研究(Arzelier et al., 2024)が公表されました。本論文は、フランス南部ガール(Gard)県コルコンヌ(Corconne)のアヴェン・デ・ラ・ブークル(Aven de la Boucle、略してBOU)遺跡の集団埋葬の被葬者のゲノムデータを報告し、当時の…
コメント:0

続きを読むread more

楊海英『モンゴル帝国 草原のダイナミズムと女たち』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2024年7月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書は、女性に焦点を当てたモンゴル帝国の歴史で、逸話を多く引用し、物語的にも読めるようになっており、一般層にも面白く読み進められる構成になっていると思います。モンゴル帝国以降、ユーラシア草原地帯においてチンギス・ハーンの父系子孫が尊重され、大き…
コメント:0

続きを読むread more

カンブリア紀の真節足動物の幼生化石

 カンブリア紀の真節足動物の幼生化石を報告した研究(Smith et al., 2024)が公表されました。カンブリア紀の真節足動物の放散は適応性のあるボディープランに起因する、と考えられます。その複雑な脳と特殊化した摂食用付属肢は、連続的な繰り返し構造を持つ器官系と関節のある付属肢がより精緻化したもので、真節足動物の広範な生態学的環境…
コメント:0

続きを読むread more

アジア中央部および南東部集団と非現生人類ホモ属との遺伝的混合

 ヒト進化研究ヨーロッパ協会第14回総会で、アジア中央部および南東部現代人の祖先集団と、非現生人類(Homo sapiens)ホモ属であるネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)との遺伝的混合に関する研究(Antoine et al., 2024)が報告さ…
コメント:0

続きを読むread more

ローマ帝国崩壊後のヨーロッパ社会の展開に関する学際的研究

 古代ゲノムデータと同位体データを用いて、ローマ帝国崩壊後のヨーロッパの農村社会の展開を検証した研究(Tian et al., 2024)が公表されました。中世前期のローマ帝国後のヨーロッパの形成において、大規模および小規模両方の水準で上流階層はひじょうに重要な役割を果たしました。イタリアのコッレーニョ(Collegno)における6~8…
コメント:0

続きを読むread more

中世イベリア半島北部の農村集落の人口史

 中世イベリア半島北部の人類遺骸のゲノムデータを報告した研究(Rodríguez-Varela et al., 2024)が公表されました。本論文は、イベリア半島北部の中世のネクロポリス(大規模共同墓地)であるラス・ゴバス(Las Gobas)で発見された、7~11世紀にかけての33個体を分析し、その家族関係や健康状態が調べられました。…
コメント:0

続きを読むread more

大河ドラマ『光る君へ』第33回「式部誕生」

 今回は、紫式部(まひろ)の宮仕えを中心に話が展開しました。紫式部は一条天皇の中宮である彰子に仕えるようになり、藤式部と呼ばれます。彰子のいる藤壺で後に『源氏物語』と呼ばれる物語の執筆を進めますが、彰子には多くの女房が仕えており、紫式部は何かと慌ただしい生活に慣れず、肝心の物語の執筆がままならず、彰子の父親である藤原道長(三郎)の猛反対…
コメント:0

続きを読むread more

古人類学の記事のまとめ(53)2024年5月~2024年8月

 2024年5月~2024年8月のこのブログの古人類学関連の記事を以下に整理しておきます。なお、過去のまとめについては、2024年5月~2024年8月の古人類学関連の記事の後に一括して記載します。とくに重要と判断した研究については、冒頭に★をつけています。私以外の人には役立たないまとめでしょうが、当ブログは不特定多数の読者がいるという前…
コメント:0

続きを読むread more

辻田真佐憲『「戦前」の正体 愛国と神話の日本近現代史』

 講談社現代新書の一冊として、講談社より2023年5月に刊行されました。電子書籍での購入です。本書はまず、肯定にせよ否定にせよ、実際とはかけ離れた都合のよい「戦前」像が提示されている、と指摘します。とはいえ、「戦前」も含めて常に多面的性格のある特定の期間を的確に把握することが難しいことも確かで、本書の視点は神話と国威発揚との関係です。そ…
コメント:0

続きを読むread more

初期の小型哺乳類の成長

 初期の小型哺乳類の成長に関する研究(Panciroli et al., 2024)が公表されました。現生の哺乳類群は通常、幼体期に急速に成長し、成体期には成長が停止します。成体の体格が小さい種は一般的に、体格の大きい種よりも発育が早く、成熟が若く、寿命が短く、出産数が多くなります。一方で、最初期の哺乳型類(哺乳類およびそれらにごく近縁…
コメント:0

続きを読むread more

モンゴル東部の中世のゲノムデータ

 モンゴル東部の中世の人類遺骸のゲノムデータを報告した研究(Lee et al., 2024)が公表されました。本論文は、モンゴル東部の2ヶ所の隣接する墓地である、ゴルバンドブ(Gurvan Dov、略してGD)およびタワン・ハイラースト(Tavan Khailaast、略してTK)遺跡の2世紀~15世紀頃の9個体のゲノムデータを報告し…
コメント:0

続きを読むread more

ヨーロッパ中央部の紀元前千年紀の「初期ケルト」のゲノムデータから推測される「王朝」継承

 ドイツ南部で発見された紀元前千年紀の人類のゲノムデータを報告した研究(Gretzinger et al., 2024)が公表されました。アルプス山脈以北のヨーロッパの鉄器時代は、ハルシュタット(Hallstatt)文化(紀元前800~紀元前450年頃)とララ・テーヌ(La Tène)文化(紀元前450~紀元前50年頃)という二つの文化…
コメント:0

続きを読むread more

貴州省の明代の人類のゲノムデータ

 中国南西部に位置する貴州省の明代の人類のゲノムデータを報告した研究(Zhang et al., 2024)が公表されました。本論文は、貴州省貴陽(Guiyang)市の大松山(Dasongshan、略してDSS)遺跡で発見された人類7個体のゲノムデータを報告し、現代人のみならず、上部旧石器時代(Upper Palaeolithic、略し…
コメント:0

続きを読むread more

大河ドラマ『光る君へ』第32回「誰がために書く」

 今回は、紫式部(まひろ)が藤原道長(三郎)の長女で一条帝の后である彰子に仕えることになり、全48回だとすると、今回で全体の2/3まで到達したことになるわけで、当初の予想より展開が遅いわけですが、紫式部の没年は不明なので、本作がどこまで描くか分かるまで、判断の難しいところです。紫式部が執筆を開始した物語は道長を介して一条帝に献上され、道…
コメント:0

続きを読むread more

新石器時代におけるヒトとイヌへのペスト感染

 新石器時代におけるヒトとイヌへのペスト感染を報告した研究(Susat et al., 2024)が公表されました。ペスト菌(Yersinia pestis)は完新世において人類に大きな影響を及ぼしており、高い関心を集めてきました。ペスト菌は歴史時代の感染がとくに有名ですが、先史時代においてもすでに新石器時代(Neolithic、略して…
コメント:0

続きを読むread more

山田重郎『アッシリア 人類最古の帝国』

 ちくま新書の一冊として、筑摩書房より2024年6月に刊行されました。電子書籍での購入です。アッシリアは「帝国」としての期間こそ、後続のペルシア帝国やローマ帝国よりずっと短かったものの、紀元前三千年紀に都市国家として出現した時代から紀元前7世紀後半の滅亡まで、国家としての存続期間は長かったように思います。本書は国家としての長い歴史を有す…
コメント:0

続きを読むread more

北アメリカ大陸太平洋沿岸の絶滅したイヌの歴史

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、北アメリカ大陸太平洋沿岸の絶滅したイヌの遺伝的歴史に関する研究(Lin et al., 2023)が報道されました。日本語の解説記事もあります。北アメリカ大陸の太平洋北西部(Pacific Northwest、略してPNW)沿岸の沿岸セイリッシュ(Coast Salish)など複数の先住民集団は、独…
コメント:0

続きを読むread more

野生アフリカゾウの「名前」での呼びかけ

 野生アフリカゾウ(Loxodonta africana)の「名前」での呼びかけに関する研究(Pardo et al., 2024)が公表されました。個体名はヒト系統の普遍的特徴ですが、他の種には類例がほとんど存在しません。非ヒト動物では、イルカやオウムは相手の呼びかけを模倣して同種に呼びかけるのに対して、ヒトの名前は名指しされた個体が…
コメント:0

続きを読むread more

『卑弥呼』第136話「大博打」

 『ビッグコミックオリジナル』2024年9月5日号掲載分の感想です。前回は、暈(クマ)国の夜萬加(ヤマカ)で、ヒルメがニニギ(ヤエト)に、両親の仇は山社(ヤマト)の女王である日見子(ヒミコ)、つまりヤノハと伝えたところで終了しました。ニニギはホデリとタマヨリに育てられていた、ヤノハとチカラオ(ナツハ)の姉弟間の息子です。今回は、ミマアキ…
コメント:0

続きを読むread more

三畳紀のワニに似た小型爬虫類

 取り上げるのが遅れてしまいましたが、三畳紀(約2億5200万年前~2億100万年前)のワニに似た小型爬虫類に関する研究(Müller., 2024)が公表されました。恐竜類や翼竜類の出現以前の三畳紀において、ワニ系統の爬虫類である偽鰐類が陸上生態系を支配していました。当時の四足爬虫類の一般的な形態だったこの系統は、いくつかのさほど包括…
コメント:0

続きを読むread more

大河ドラマ『光る君へ』第31回「月の下で」

 先週は休止だったので、久々の視聴との感もあります。今回は、紫式部(まひろ)を訪ねてきた藤原道長(三郎)が、紫式部に、一条帝の后となったものの、一条帝から相手にされていない娘の彰子のため、物語を書くよう要請する場面から始まります。紫式部は一旦断りますが、艶めかしさがないから『枕草子』をあまり高く評価していない、と和泉式部から聞き、和泉式…
コメント:0

続きを読むread more

ストーンヘンジの祭壇石の産地(追記有)

 ストーンヘンジ(Stonehenge)の祭壇石の産地に関する研究(Clarke et al., 2024)が公表されました。ストーンヘンジはイングランドのウィルトシャーのソールズベリー平原に位置する、イギリスにおける最大級の後期新石器時代~青銅器時代にかけての墓地遺跡で、世界的に有名な観光地にもなっています。ストーンヘンジに関しては、…
コメント:0

続きを読むread more

Reza Aslan『人類はなぜ<神>を生み出したのか?』

 レザー・アスラン(Reza Aslan)著、白須英子訳で、文藝春秋社より2020年2月に刊行されました。原書の刊行は2019年です。電子書籍での購入です。本書は、人類史における「神」というか「宗教」の起源を検証し、その対象範囲は先史時代から歴史時代まで、現生人類(Homo sapiens)に留まらず、ネアンデルタール人(Homo ne…
コメント:0

続きを読むread more